注目の的
おまたせしました、遅くなってしまって申し訳ありません
長くも短くもない飛行機の時間が終わり、バスに揺られてしばらく経った俺達は工場を見学したあと、何事もなくホテルについた。
「よし、前座は終わったな」
「おい、失礼だろ。工場に謝れ」
俺が冗談を口走ると、それに乗っかってくる友樹。いや、確かに工場は色々世間に役立っているのだが、余程の勉強好きでなければ工場見学で喜ぶやつはいない。もっとも、リアラは初めて見る工場に少し驚きはしていたが。
「友樹は泳ぐだろ?」
「当たり前だろ。早く行こうぜ」
ホテルにチェックインを済ますと、早速部屋へと向かう。部屋は四人部屋で和室。部屋のメンバーは友樹と他二人は余っていたクラスメイトだ。
「早速泳ぎに行くか」
「そうだな、茜もリアラを連れてくるってよ」
よしよし、いつものメンバーで集まっていれば面倒なことにはならないだろう。リアラの水着姿も拝める……と思っていたが、ふと疑問が浮かんだ。
「……ん? そういえばリアラって水着持ってるのか?」
「……え、持ってないのか?」
「いや、知らねえよ。リアラの部屋なんて覗いたら頃されるからな」
「……まさか見学……だけ?」
拝めるものであればぜひ拝んでみたいリアラの水着姿。なぜだ一緒に買い物に行った時にそれを聞かなかったのかと少し後悔しながらも、俺達はプールの更衣室までたどり着いた。
「やっぱさすが野球部。いい体してるな」
俺は友樹にペチペチと腹筋を叩かれる。そういう友樹こそ、部活に入っていないのに体つきはがっしりしている。家で筋トレはしていると聞いているが、筋トレが好きなのかもしれない。
水着に着替え終わった俺達は更衣室の入口付近で茜とリアラの到着を待つ。そして待つこと五分。
「お待たせ! リアラちゃんももうすぐくると思う。水着は私が選んだから安心してね」
「えっ、いつの間に買ったんだ? しかもサイズは大丈夫なのかよ」
「ふっふっふ、私にかかれば造作もないことですよ。お金は後で和樹君から貰うけど」
「えっ……」
いや、リアラが水着持ってないの見越して買ってくれたのはいいんだけど、そこはプレゼント的な感じでタダにしてくれないの? ……リアラの水着を拝めるなら別にいいか。
「あ、リアラちゃん来たよ」
俺と友樹はそれはもう勢いよく更衣室の方を向いた。するとそこには天使がいた。
「……」
「……」
リアラが着ている水着は、青系の色で描かれた花柄に白を主体としたフリルビキニだ。当然他にもここのホテルに泊まっている人がいるわけだが、圧倒的に存在感があるのはリアラだ。特に男性からの視線が熱い。
「これは……すげえな」
隣に彼女がいるというのに、友樹はリアラに釘付けになってしまっている。そして案の定、茜からの二の腕つねり攻撃が炸裂する。
「あ、あまり見ないでください……」
恥ずかしそうに胸元を抑えている仕草も素晴らしい。というか、改めて見てもリアラは意外と胸が大きい。茜がこの大きさに追いつくことは恐らくないだろう。
「和樹君? なんか失礼なこと考えてない?」
「えっ? い、いやぁ〜、そ、そんなわけ無いだろ。あはは……」
「分かりやすい反応どうもっ!」
友樹と同様で俺は二の腕をつねられた。しかも友樹よりも一層力が入っているように感じる。やはり彼氏補正がかかっているのだろう。
「うぅ……痛い」
「ふんっ! ……どうせ私は小さいよ」
「いや、確かにリアラのは大きいが大きさがすべてじゃない。俺は大きくても小さく……ても……」
背筋が凍るかと思うほど冷たい視線を感じた。視線を感じた方を向くと、リアラが軽蔑したような光が宿っていない目で俺を見ていた。
「……変態はプールで溺れて死んでください」
「ぐふっ……」
折角俺への評価が上がってきただろうというときに、下系の話はしてはいけなかった。おかげでリアラは茜と一緒に俺を放って先に行ってしまった。まるでボディーブローを食らった感覚だ。
「ぶふっ……哀れだな、和樹」
「くそったれめ……」
さて……次はどうやって機嫌を直してもらおうか。




