ex.1(1)
あの日を過ぎた、最初の週末。……舞も一緒に昼寝するようになった。それも、いつも同じベッドで。距離、ちょっとずつ近づいてたような気はしたけど、吹っ切れたように甘えてくるな、最近は。
寝起きの、離れがたいようなまどろみ。向き合ってるとことか、『好き』を伝えあって、そのまま寝ちゃったときみたいな雰囲気。今は起きたとこだからその反対だけど、ほんわかな雰囲気に飲まれてるのは一緒。
「……舞?」
今日もなんか、いつもより距離を近づけてくる。後ろ髪、指で梳かれれてる。そんなことしといて、不満げな顔してる。ちょっと、どきっとしたせい?そんなので怒んないでよ、ねえ。止めてって言ったり、手でどかせば止めてくれるって分かってても、してないんだから。わかってよ。
「一華ちゃん、お願いしたいことあるんだけど」
「ん、……何?」
「あのさ、……髪洗わせてほしいの」
「お願いなのに、あげたいことなんだね」
髪梳いてたの、そのきっかけなのかな。相変わらず、優しいな。……あたしも、ちょっとくらいお返ししたほうがいいかな。それに、……近づきたいの、そっちだけじゃないんだよ。
「うん、……だめ?」
「いいけど、……それならさ、あたしも舞にしてもいい?」
「……こういうの、一華ちゃんから誘ってくれるなんて思わなかったよ……」
あたしもそう。こういう気持ち、知るつもりすらなかったのに。あの時に火を着けられた感情、まだ熱っぽいみたいだ。
「嫌じゃない?」
「当たり前だよ、……もっと近づきたいって思ってくれてるんでしょ?」
「ん、まあ……そう、だね」
まだ、頭撫でてくる手が止まらない。それどころか、ちょっと指で遊んでるような。『好き』でつながってから、なんていうか、……すっごく、甘えんぼだ。
「それならいっそ、体も洗いっこしてみる?」
「もう、どうしてそうなるのさ……、別に、してもいいけどさ」
「優しいよね、そういうとこ、……こういうの、つい思っちゃうんだよね、変なのはわかってるけど」
別に、嫌じゃない。想像もできないのに、……舞だから、なんだろうな。あのノートのせいで、あたしとしたいことあるのが分かってるのも、そういう気持ちに抵抗を持たなくなってる理由かも。
「そんなの今更だよ、あのノート見てるんだからさ」
「それもそっか、……好き」
不意打ちのような言葉、不意に近づいた顔。……ちゅー、したいの?寸止めしてくるの、ギリギリで持たせてる感じ。少し、覆い被さるようにして、……あの時と、おんなじ。
……いいよ、きても。そんな風に言うには、熱が足りない。背中に、手を回す。軽く引き寄せて、……それだけで、分かってくれる。
「舞……っ」
「っ……、ん、……ちゅ」
「……ぅ、ぁ、……、ふぅ」
一瞬だけ、これも、我慢してるみたいな。それだけなのに、頭の中がほどけていく。……舞だけじゃなくて、あたしも夢中になっちゃってる。
「そろそろ、起きなきゃだね、お風呂の前に、全部済ませておかなきゃ」
「んぁ……、そっか」
頭、まだふわふわしてるまま、うなずいてはみたけど、何言ってるんだろう。手、なんか離せないや。ゆっくり滑らすように下ろしても、……舞の体も、動くのゆっくりだ。
離れられないの、一緒なんだ。伝え方は全然違うのに、気持ちは一緒なんだね。気づかされて、少しだけ、ほっぺが上がったような気がした。




