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知人の医師

 病院へと辿り着いた二人、沖野 恵は病院の敷地内に明らかに一般人とは違う雰囲気を放つ複数の人物に気づく。


「先生、志乃さんの病室に行く前に飲み物を買いたいので、自動販売機に行ってきます。先生は何か飲まれますか?」


「一緒にいこうか?」


「いえ、すぐですし、車を出してもらったお礼ですから、お気になさらずに」


「なら、珈琲を頼むよ。そこのベンチで待ってるよ」


 斉藤がベンチに腰掛ける。その様子を窺うように視線を向ける数人の男達、格好こそ、一般人と変わらないが、辺りを見渡す仕草、鋭い視線は明らかに何かを警戒してのものだ。


 志乃 彩音の事件があり、警察は志乃の入院先である病院で同様の事件が起きないかを警戒していたのだ。


 病院の受付に向かう二人、斉藤の知人である医師が面会謝絶と書かれた病室内まで、案内していく。


「学、すまないな……急に呼んでしまって」


「構わないさ、それより、志乃さんの容態はどうなんだ?」


「それがな、頭を強く打っていてな、脳波なんかは、問題ないが……目覚めない可能性が高くてな」


 病室の前には警官と思われる男性が二人、立っており、案内した医師に斉藤と沖野について質問をする。


 予期していなかった警官の存在に、斉藤が動揺しながらも受け応えをする。


 医師の知人であり、志乃と面識がある事実が明らかになると、病室に通される。



 室内は静けさに包まれており、無数の点滴を腕につけた状態で真っ白なベッドに横になっている、志乃 彩音の姿があった。


 病室で志乃に軽く話し掛ける斉藤、その姿はまるで仲睦まじい恋人のように沖野 恵の目に写る。


 斉藤と志乃の姿を目にした知人の医師が軽く呟く。


「まるで、昔のままだな……」


 医師の言葉を耳にした沖野 恵は斉藤と志乃の過去に興味を示す。


 しかし、その場で話を聞くことはせず、その日は、斉藤と沖野 恵はマンションへと戻った。


 夕暮れ、病院へと車を走らせる沖野 恵の姿があった。


 職員用の駐車場が見える位置に車を停車させる。


 その日は何もせず、只、医師が車なのかのみを確かめる。そして、医師が駐車場に現れたのを確認し、車に乗り込み、発進するを見届けると、沖野 恵は車のエンジンを掛けた。


 医師が何処に向かうのか気になり、あとをつける。医師の車が停車したのは沖野 恵と斉藤の住むマンションであった。


 暫く様子を窺う沖野 恵の目にマンションから歩いて来る斉藤の姿が写る。


 マンションの前で軽く話を済ませると二人は沖野 恵に気づくことなく姿を消したのであった。


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