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個人情報

 志乃 彩音の自宅。


 古い木造の一軒家であり、大通りから離れた一角に位置する。


 浅野刑事は志乃宅に見張りを付け、更に近隣のパトロールの強化とポストに大野 健のIDカードを入れたであろう人物の情報を求め、近隣住民への聞き込みを行っていた。


「すみません……御協力感謝します」


 志乃が自宅に帰宅したのは19時過ぎであり、学生やサラリーマンと言った多くの人々が帰宅に急ぐ時間であったにも関わらず、19時頃の目撃情報は存在していなかった。


 しかし、ある主婦から有力とは言いがたいが、IDカードを入れたであろう人物の存在が口にされる。


「刑事さん、私ね見たんですよ。お昼過ぎに郵便局の人が再送を頼んでた手紙を届けてくれたんだけどね、バイクに乗った小柄の男が志乃さんの家のポストに何かを入れてたのよ! しかも、郵便局員の格好をしてたのよ」


 それだけを聞いたなら、犯人でない可能性が高いと誰もが考えるだろう、しかし、この主婦はハッキリと“郵便局員の格好をしていた”と口にしていたのだ。


「どういう事ですかね? 郵便局員が手紙を届けただけじゃ?」


「私も最初はそう思ったのよ、でも、再送してくれた郵便局のお兄さんが『あれ? 誰だろ、変だな?』って呟いたのよ」


 主婦は話のネタになると考えたのか、郵便局員の男性に質問をしていた。


 郵便局員は主婦や志乃の家のあるエリアを担当しており、他の局員が郵便物を届けている事実に驚いたと語っていた。


 主婦の証言を確める為に郵便局の配達員に話を聞きに向かう浅野。


 郵便局の各エリアに担当がおり、主婦の証言通り、再送があった事実が確認できた。


 しかし、志乃の家に郵便物を届けに向かった局員の存在は確認出来なかった。


 その事実から、バイクに乗った偽郵便局員の存在を捜して、通ったであろう経路を推測し、防犯カメラの映像を集めるように浅野は指示をだす。


 犯人に近づく手掛かりが明るみになっていく最中、ネットに志乃 彩音のフルネームと住所、職業、それにより犯人逮捕に繋がった事件と犯人のフルネームが一気に拡散されたのである。


 ネットの海に拡散された個人情報は瞬く間に広がっていくと初めから其処に存在していたかのようにネットで話題のワードになっていく。


 現場がひたすらに駆け回る最中、志乃の家を目指して、多くの人々が面白半分に集まりだしていた。


 郵便局員の存在が書き込まれるとその事実が捜査を妨害していく。


 防犯カメラに映らない犯人の顔に加えて、郵便局員のコスプレをして志乃宅を見に来る愚か者まで現れだしていた。


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