あっとらいぶらりー㉖
書きたい事が多すぎて、上手に纏められない…
如何にも散漫な文章になってしまって反省しきりです…。
「はい、これで最後。」
ん、了解。
渡された部誌を書架に戻し、ざっと全体を眺める。
うん。来た時と同じくピッタリと収まっている。通巻番号を確認しながら入れてるんだから抜けがあるはずはないんだけれど、こうして隙間無く収まっているのを見るとホッとするね。
梯子を降りると、なづなが自分の指先を見ながら
「昔の部誌…カバー付けてもらった方が良さそう、だね。」
ああ、擦るとインク落ちちゃいそうだったものね。ああいうのって、トレーシングペーパーみたいなので養生出来ないものなのかな?資料扱いするなら、そのくらいやっても良さそうなモノだけれど… 手間だからやってないだけ?
ふむ…要望書でも出しておこうかな?
なんか、投書箱みたいなのあったよね?あれって本のリクエスト以外でもよかったんだっけ?
「…普通に、満さんか遥お姉さまにお願いすれば良いんじゃない?」
…そりゃそうだ…。
後でお願いしておこうか。
さて、片付けも済んでしまったし、こうなると後は帰るだけなのだけれど…1階は今どんな状況なんだろうね?
まだお姉さま方は戻って来ていない様だし、みんな下にいるのだろうけれど、満さん達を肴に盛り上がっているとか?それとも既に一段落していて、雑談に興じているなんて事もあるかもしれない。はたまた満さん達に気を遣って使って、全員ミルクホールへ…は、流石にないか…。
2人でいい雰囲気になってたら気まずいけれど…素知らぬフリでサッと通り過ぎちゃえば大丈夫かな?
あ、いや、だからブックカバーの話をしなきゃ…って明日でもいいのか。
「どっちにしろ受付には寄らないと。私達、鞄置きっ放しだよ。」
え?あ、そういえば持って上がってないね?
いつの間にか手放していたらしい。
いつ何処に置いたんだ…全然、記憶にないぞ…?
「満さんとお話ししながら、遥お姉さまが降りて来るまで待ってた時だよ。カウンターの上にポンって。」
そうなの?!
その時点でで意識から完全に切り離されていたんだ…
うわぁ、これ気をつけないと持ち物尽くなくしそう。これから修学旅行みたいな行事もあるんだから注意しておかないと、旅先で荷物無くしたとか目も当てられないもの。
「私が一緒の時なら指摘してあげるけど…。」
よし。なづなから離れない様にしよう。
「それ、解決になってないからね?」
じゃあどうしろと?!
「貴重品はウエストバックとか肩掛けのポーチに入れるか…手首と鞄を繋いでおく、とか?鎖か手錠で。」
…前半二つは兎も角、後半の二つはどこぞの諜報員か…マフィアかギャングくらいしかやらないんじゃないですかね?!それ以前にそんな格好してたら、間違いなくお巡りさんに囲まれるって!
「なら、気をつけるしかないね。」
振り出しに戻った!
「せりって、そんなに忘れ物する方じゃないから今日は偶々…なんじゃないの?気にする程じゃないと思うけど?」
そ、そうかな?
そうだといいけれど。
「あんな事があった直後だもの。注意力が散漫になってたって仕方ないよ。」
…うん。思い返せば今日はイベント盛りだくさんだったよ…
新歓祭の前日案をひっくり返し、廊下や体育館でゲリラ撮影をしたり、椿さんを抱っこしたり、失神するわ腰を抜かすわ、挙句、覗き行為まで。
…イベントは1日一個でお願いします。
そういえば椿さんを抱きとめたのって2回目だったけれど…彼女、軽かった気がするなぁ。身長はボクより高いよね?
なづなの身長はボクと同じ。体重も誤差の範囲。
ふむ…。
なづな。
「うん?」
ちょっと抱かせて?
「…は?」
答えを聞かずに、ひょいッとお姫様抱っこで。
うん、良い抱き心地。ネコ科の動物を思わせるしなやかでみっちりと密度の高い感触。実に癒されるね。
二、三度揺らしたり、数歩歩いてみたりして感覚を確かめる。
「なっ…?!ちょっ!せり?!」
うーん。うん、だいたいわかった。
そっと なづなを立たせて半歩離れ…ん?
なんか、なづな、顔が赤いよ?
大丈夫?
「…っ!いきなり抱かせてなんて言われて抱き上げられたら赤くもなるよ!!」
おおぅごめんなさい?
え、でも抱っこするのは珍しい事じゃない様な気が…
「言い方っ!」
言い方…?なんか変だった?だったらごめんね?
「〜〜〜っ、ふぅ…そうだった、せりはこういう子なんだ…普段は気も回るし察しも良いのに、時々何か抜け落ちたみたいに天然ポンコツ化するんだよ、わかってる。わかってるんだけど。最近綺麗になっちゃったから、やってる事は同じでも…う〜〜〜……っ!」
こめかみをグリグリと抑えながらブツブツいい始めた…んん?途中から声が小さくなってよく聞こえなくなっちゃったけれど、なんかポンコツとか天然とか言われてる気がする?
いやね、ボクも自分で『抜けてるなぁ』とか『ダメだなぁ』と思ったりするけれど、人に言われるとちょっとクるモノがあるよ?!…人以外に言われたらもっとクるかもね!例えば犬とか!…っホラーじゃないか!
いや、そうじゃなくて!
なんだかよく分かんないんだけれど、ごめんよ〜。
何度目かの謝罪をした時、ピッと掌をボクに向けて制止のポーズを取って
「うん、もういい。大丈夫。」
ホント?
「でも。」
でも?
「他の子に同じ事しちゃ、ぜっっっっっっったいに!ダメだからね!」
え、お姫様抱っこ、ダメ?
緊急事態とかあるし、そういう時くらいは…
「…違うよぅ…抱かせてなんて言っちゃダメ、って言ってるの…。」
あぁそっちか。…うん、よくわかんないけどわかった。
何故か肩を落とし、脱力した様に言うなづな。
はて…?さっきの剣幕は何処にいったのやら…。
「…ホントにわかってる?」
わかってるよぅ。抱っこしたいとか、そう言う事は他の子には言わないから。でも、緊急搬送とかだったらお姫様抱っこしても良いんでしょ?
「…うん、まぁ…そうだね。なんか認識がズレてる気がするけど…。」
いや大丈夫、言わない様にするから。うん。約束するよ。
それよりほら、そろそろ帰ろう?
「…そうだね。」
そう言って差し出したボクの手を取り、隣で歩き始める。
…ふぅ…さっきまた少し、少しだけ、心が不安定になった感じがしたので、ちょっと無駄にテンション上げてみたんだけれど…思い通りにはいかないものだねぇ。如何にも空元気みたいになっちゃう。まぁ何もしないよりはずっと良いんだけれどさ。なづなに気づかれると要らない心配かけちゃうもん、せめて元気な顔だけでも見せておかないと。
『空元気でも元気は元気、そのうち本物になるよ』なんて言う人もいるくらいだからね。『笑う門に福来たる』みたいなもんだ。
手を繋いで階段を降りてゆくと階下から微かに話し声が聞こえてくる。
どうやら、幾人かは満さん達を肴に井戸端会議中らしい。
満さんには悪いけれど、幸せの御裾分けだと思って話のネタになって下さいな。
まぁ、今日ここで告白しちゃったのが原因ですから、今のところは堪えてもらうしかないですね。二人きりになってから思う存分いちゃいちゃすればいいよ。
2階から1階への階段を半分程降りたところで、満さんがボク達の存在に気づいたようだ。こちらに向かって大きく手を振った。
相変わらずオーバーアクションだなぁ。
「なづなさん!せりさん!ちょっといいかな?」
ちょっと満さん!お声が大きいですよ?図書委員ともあろう人が、図書室で大声を出したりしちゃ駄目だと思うのですけれど。
そんな事では、また遥お姉さまに叱られ…てますね。
しっかりお説教されてます。流石です遥お姉さま。
階段を降りきって、皆がいる受付カウンターまで歩みを進めて
「どうしたの?相談事?」
「相談事…というか…そうなのかな?」
ほほう?
まぁみんなの前で聞かれる事なんて大したものじゃないでしょう。
「え…っとね。」
うん。
「なづなさん達が行ったデートスポットで、お薦めのところってどこかな?」
…なんですって?




