あっとらいぶらりー⑫
すいません…
また短いです…
時間が足りない…
「だから、あのね?私は別にそういうんじゃ、なくて…なんて言ったらいいんだろ…。」
わかってるよぅ。
お付き合いしたいとかじゃないんでしょ?
ただ、昔みたいに仲良くしたいって思ってるだけだって、そう言いたいんだよね?
うんうん。わかってますって。
それが建前で、もうちょっと、ほんのちょっと奥に本心が隠れている事もね。
まぁ、本人は認めないだろうけれど。
けどなぁ、満さんは難しく捉えちゃってるけれど、実はこれとても簡単な事な気がするんだよなぁ…。
何方かが一歩踏み込んでしまえば、それだけで状況は劇的に変わる。今回の場合は満さんが踏み込む側だね。変化を望んでいるのは満さんなのだから。
「満さん。満さんはね、難しく考え過ぎなんじゃない、かな?」
お、なづなが切り出したね。
「…考え過ぎって?」
「何かをする時って、完成形を目指して始める訳じゃない?最終的にこういう形にしたいって目標を掲げて。」
…そりゃ、目的もなく漫然と始める人って極めて稀だと思うけれど。
「満さんはその完成形だけを想像して、失敗したらどうしよう、躓いたらどうしよう、って考えちゃってるんじゃない?」
「それは…… 」
「だからね、それは一旦置いといて、最初の一歩だけ考えてみようよ。」
取り敢えず最終的には『昔の様な気の置けない仲』だとして、最初の一歩って?手を繋ぐとか?
…初心かっ!
思春期かっ!
…あ。初心な思春期の女の子だった!
コホン。いや、でも、その辺りから徐々にっていう方が良いんだろうか?…ふむ…寧ろそうじゃないと一足飛びになっちゃうのか?ボクは、その一足飛びが多いからなぁ…光さんと菫さんにもいきなり髪弄ったり、ハグしたりね。まぁあれは“2人が受け入れてくれたから“ なのだけれど。
「ちょっとだけ、遥お姉さまに甘えてみたら?」
あれ!?いきなり甘えるまでいっちゃうの?!
人前でそれは、遥お姉さまが許さないんじゃ……あ?
…ああ、そうか!
なづなは二人だけの時に、って言ってるのか!
二人きりの時は『遥ちゃん』って呼んでもいいって言ってたんだもん、他に人が居ない状況なら甘えさせて貰える可能性は高いんだ。
なるほど。
そっかそっか。
ボクは普通に学校内みたいな場所を想定していたけれど、二人だけの状況から始めるのがスタート地点としては至極当然な気がする。う~ん、やっぱり浅慮だなぁ…。
「…甘えるって…どういう風に?」
「なんでもいいんだよ。二人でお茶をしたいとか、お出掛けしたいとか、他愛のない事で。一歩目なんだから。」
「ボクだったらこうかな?」
満さんにちょっとだけ寄って、床に着いた彼女の右手の直ぐ側に並べる様に自分の手を置く。そして、小指だけを、満さんの右手の小指に重ねて…
べしん!!
痛い!!!
いつの間にかボクの右側に寄って着ていた なづなに、おでこ叩かれた!何故に!?
「満さん。これ、真似しちゃダメだからね?」
そう言ってボクを睨む。
えぇ…凄く甘えてるっぽいと思うんだけれど…ダメなの?
「あのねぇ…私相手なら『甘えてる』で済ましてもいいけど、今のはあざといを通り越して『媚びてる』様に見えた。あんまり良くないよ、それ。」
媚びっ…てる!?
え、そんな嫌らしく見えた?!
あまりの言葉に驚いて、思わず満さんに向き直る。
…うわぁ…!?すんごい微妙な顔で苦笑してらっしゃる!え?!ホントに?!そんなダメダメだった?!
「…うん。せりさんって、いつもはキリッとしてるのに可愛いっていう…なんか変な言い方だけど、そんな感じなんだよね。」
…おおぅ…ありがとう?
「でも今のは、らしくないっていうか…。」
らしくない…!
「なんかこう…無理にエロくしてる、みたいな… 」
エロっ?!…ええ?!そんなつもりは…なかったんだけれど?!うーあー…。
…そうですか。駄目ですか…。
「そうだね。自然体なのが魅力なのに、下手に演じようとするから気持ち悪くなるんだよ。」
気持ち悪い!!
そこまででしたか!?
うぅ…そっか、ボク演技の才能無さそうだなぁ…。
演劇部だけは入らないでおこう…。
閑話休題
どんな風に甘えるのが良いんだろうね?
「満さんなりの甘え方でいいんだよ。せりみたいなのはアレだけど。」
アレって…。
「せりさんの真似は…しろって言われても、ちょっと出来そうにないけど。う~ん…どうすればいいのかな…?私なりのって…。」
「昔みたいにお出掛けしたいとか、一緒に読書したいとか、趣味の集まりに連れてってとか、なんでもいいんじゃない?」
「なんでも……。」
最初の一歩っていっても、どうすればいいか分かんないよねぇ。
まぁ、今すぐに決めなくたっていいんだからさ、ゆっくり考えようよ。
ちょっとボクは先走っちゃったみたいだけれど…。
「…うん。決めた!」
はい?いきなりどうしたの満さん?!
決めたって何を?!
「なづなさん、せりさん。ごめん。お手伝い途中だけど私ちょっと行ってくる。」
ホントにごめん、と言って階段の方へ駆け出す満さん。
遥お姉さまの所に行ったのは間違いないんだろうけれど…何を決めたんだろう?
気になる…。
ねぇ、なづな?気にならない?
「…う~ん…気にはなるけど…覗き見するのは…。」
いやいや、ボク達が煽ったんだから見届けるべきだと思うんだよ。
ちょっとだけ!
満さんが決めた事が何なのか、それを確認するだけ!
二階の階段上から、ちょ~っと見るだけだから。
ね?いいでしょ?
「…わかった。その代わり絶対邪魔しちゃダメだからね?」
勿論ですとも!




