あっとらいぶらりー⑧
サブタイトルを変更しました。
「ちょっと落ち着いて2人とも!なんでそんなグイグイ来るの?!」
なんでって、そりゃぁ最初に好奇心ですよ。我クラスに於いて元気っ子筆頭である桂ちゃんを体育会系元気っ子と定義するなら、満さんは双璧と言っても過言ではない文科系元気っ子ですからね。その文科系元気っ子がですよ?高等部のお姉さまを“ちゃん付け”で呼んで、2人ではにかみあって甘い雰囲気を醸し出しちゃってんですよ?側から見たら、あ〜これはそういう事なんだろうな、って感じだったんだから、そんなの気にならない訳がないじゃない、気にするなって方が無体な話ですよ、第二にそもそもボクは満さんの事を趣味を優先するタイプだと思っていたのに、先ずそこが誤解だったっていう可能性も浮上しているんでね何処で判断を誤ったのかを知る為にも事の仔細を詳らかにしたいという欲求も相俟って満さんと遥かお姉さまの関係が気になって仕方ないので聞かせて欲しいなって訳でさぁ吐いて貰いましょうかさぁさぁ!
…っぜはぁ〜〜〜…。
よっし、言い切った。
…あれ?満さん何故にそんな唖然茫然みたいな顔をしてらっしゃるのでしょうか…?
「早口過ぎて、なに言ってるのかわかんないよ!?」
…がーーーん!…が、頑張って喋ったのに…!
「大丈夫だよ満さん。大した事は言ってないから。要はお話し聞きたいな、って事。」
酷い略し方だ!?間違いってはないんだけれども!
「菫さんも言っていたけど、せりさんって本当に表情豊かよね。」
おぉっと、そんな風に可愛く微笑んでも逃がさないよ?ちゃんと遥お姉さまとの事は聞かせて貰いますからね?ってか、聞かせて下さいお願いします。
「…はいはい、わかりました。もう…意外としつこいんだね。ちょっとイメージ変わっちゃた。」
む。ごめん、なづな。評判下げちゃった。
「あ、違うの、なんか近くなったなって感じなの。悪い意味じゃないから!」
近くなったって…そんな遠い存在だと思われてたの?なんで?!
え?ボク達、普通にクラスの子達とお喋りしてたし、交流してたと思うんだけれど?あれ?ボクの勘違い?
「ちがうちがう、私達が勝手に思い込んでいただけだって。なんかこう…偶像崇拝的な?霞喰ってるんじゃないかとか、お手洗いも行かないんじゃないかとか、直視したら目が潰れる~みたいな。」
なんかもう、身振り手振りで説明してくれるんだけれど、その内容が…昭和のアイドルも真っ青って感じだよ。アイドルを見ても目は潰れないと思うけれどね?
それを聞いたなづなが、ひと言。
「御覧の通りただの愉快な双子、だよ?」
愉快な。
愉快なて。
まぁ愉快なんだろうな。菫さんにも言われたし。どう愉快なのかは気になるところではあるけれど。出来ればポンコツ系の意味じゃないと良いなぁ…。
「私達がね、勝手なイメージで壁を作ってたんだろうなぁって思って。今はグッと近づけた気がする。」
そっか。それは僥倖。
ボク達としても距離を置かれるのはちょっと寂しいからね。主になづなが。
まぁ、それはそれとして。
んで?
遙お姉さまとの関係についてのお話しに戻りましょうか?どうなんです、ホントのところ。
「あ〜…うん、話すのは良いんだけど、ホントに大した事ないよ?その、お付き合いしてるって訳じゃないからね?」
うんうん。
「えっとね、遥ちゃんとは幼馴染っていうか、遠い親戚なの。」
満さんによると、お父さんの妹さんの旦那さんのお姉さんの娘さん、らしい。え〜と、血縁関係はないんだから…親等には入らないんだよね?あれ?そもそもこれ親戚なの?なづなも、こんがらがってるッポイ。
ま…まぁいいや、それでそれで?
「近所に住んでたし、ウチの両親が忙しい人だったから小さい頃はよく面倒見てもらっててね。そのせいで漫画好きになっちゃったんだけどね。」
あれ?でも遥お姉さま、高等部から明之星に入って来た人だって聞いた覚えがあるんだけれど?
「そうなの。私は幼稚舎からずっとだったんだけど、遥ちゃんは公立の小中学校に通ってたんだ。だから遊ぶのは帰ってからでね。何方かの家に行って一緒にいる、みたいな感じ。」
ほうほう。そして徐々に大事な人になっていった、と。
「あはは、そんなんじゃないって。まあ遥ちゃんも一人っ子だから、姉妹みたいな関係って憧れがあったんじゃない?」
「中学に入って直ぐくらいだったかな?一気にオタク化が進んでね。すっごい勢いでマンガにアニメ、ラノベやら読み漁ってさ、学校の先輩とサークル活動し始めちゃってね。」
それで一緒に居る時間が減っちゃったんだって。
4学年違うんだから、当時の満さんはまだ初等部3年生か。そりゃいきなり仲のいいお姉さんが遊んでくれなくなったら寂しいよねぇ。
ボクだったら、どうするだろう?構ってもらおうとするかな?それとも我慢しちゃうかなぁ…?
すずな姉ちゃんには邪険にされた事なかったよね…?
試験期間中も大学の受験の時も、インターハイやら昇段試験の時だって普段と変わらず構ってくれてたし…いやいや、違うぞ、間違ってる。あの愛情溢れる人を基準にしたら駄目だ。同列に論じるべきじゃない。
おっとっと、続き続き。
「遥ちゃんってさ、影響受け易いっていうか思い込みが激しいっていうか…よく言えば素直で、悪く言えば単純なんだよね。」
あんまりな評価!そこは素直な方にしておこうよ!?
「…女の子同士の関係性をピックアップしたラノベに嵌ってね、それに憧れちゃったんだろうね。急に明之星に進学するって言いだしたらしいの。」
それは…ご両親も吃驚だったろうねぇ…。
GLと迄はいかなくても、所謂、百合作品に魅かれたって事かぁ…なるほど、ボク達を見て喜んだっていうのもその所為かな。
「まぁ以前ほど一緒にいなくなったってだけで、疎遠になった訳じゃないし…偶には一緒にお出掛けなんかもしてたんだよ。でもさ、遥ちゃんが明之星に入学るって聞いてさ、やっぱり嬉しかったんだよね。」
「…一人暮らししてたお姉ちゃんがさ、帰ってきてくれた、みたいな感覚っていうのかなぁ…そんな感じ?」
ボクは、なづなと顔を見合わせてクスリと笑みを交わした。
満さん可愛いなぁ。
恋には至っていない淡い想いなのか、姉妹の様に近しい人に対する親愛なのか…どっち付かずの曖昧な感情なかもしれないけれど、ちゃんと遥お姉さまの事を想っていたんだねぇ。
「ふぅん…で、満さんは遥お姉さまを慕って図書委員になったんだ?」
「え?!いや、そういうわけじゃ…!」
ないわけないよねぇ。
さっき二人で微笑み合っていた姿を見たらね、どうしたってそういう想いがね、無い様には見えないんだよ。自覚できる程にハッキリした形のある想いじゃないってだけでね。
これは、変に煽ったりせずに愛でるのが良いですな。うむ。
椿さんあたりは喜色満面で愛でそう。
「もし、なにかあったら相談に乗るくらいは出来る、よ?」
逆を言えば相談に乗るくらいしか出来ないんだけれど、話す事で気持ちに整理がついたり、覚悟が決まったりするからね。無駄にはならないと思う。
「だ、だから、そういうんじゃ…!」
別に恋愛相談とは言ってないからね?
「…っ!いじわるっ!」
真っ赤になってポコポコとボク達を叩く満さん。
煽ったりしないっていった傍から微妙に煽ってしまった…。
いや、満さんがね、可愛くてね?ちょっと悪戯しちゃったんだ。ごめんね?
なづなも同じ様な気持ちだったみたいだし、折角、近くに感じる様になったって満さんが言ってくれたんだもの。
親しいお友達みたいにさ、じゃれたっていいよね?




