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すくーるらいふ⑩

先日、誤って削除してしまった『すくーるらいふ⑨』

の続き部分、及びそれ以降のストック分。

サルベージ出来ませんでした…

15000文字程はあったはずなので結構ショックです。

仕方ないので全部書き直す事にして、気合い入れ直します。

頑張ります。(`・ω・´)=3







「楽しくなる、ですか?」


「そう。きっと、とても楽しくなるわよ〜。」

マリー先生曰く

明之星の七不思議は、怪談の様で怪談でないものが混じっていて、見た者に幸せが訪れるとか出会った者は友人に恵まれる等々(などなど)、色々な逸話があるんだとか。『百合の妖精』などはその最たるものらしい。確かにあれは、不思議ではあっても怪談ではないよね。


『影法師』や『昇降口の雨女』なんかも一見怪談の様だけれど、特に害がある訳でもないし…

まぁ七不思議というくらいだから、“不思議” な話であるのは必須だけれど、怖い話である必要はないからね。いやまぁ…不思議な話ってだいたい ”怖さ” は付いて来るんだけれど…。

今回のボクみたいに。


「興味があったら文芸部の部誌を見てみたら〜?結構面白いわよ〜。」

お。出た文芸部。マリー先生文芸部推しなのかな?在学中は文芸部員だったとか?

これだけ推されると、やっぱり気にはなるよね。


「それで、あの…不躾な質問で申し訳ないのですが…

お聞きした事が御座いまして…。」

…ん…?

なづなが妙に改まった言い方をしてる?

「いいわよ〜?なんでも聞いて?スリーサイズ?」

うん。やっぱりこれお約束なんだな。

「いえ、その、教えてくださるなら是非ゆっくりお聞きしたいと思いますけど、そうではなく…。」

お聞きしたいんだ?!

「じゃあそれは後でね〜。」

教えてくれるんだ?!


「で、聞きたい事って〜?」

「……えぇと、昨日の事なんですが… 」


コンコン

突然されたノックに驚き、会話が中断され皆の視線がドアに注がれるれ。

「…あ。頼んでおいたリストかな?せりさん、受け取って貰える?」

「あ、はい。わかりました。」

ボクは席を立って、ドアに向かって歩きながらノックに応える。

「は〜い、どうぞ。」

「失礼しま〜す。…あれ?せりちゃん?」

ドアを開けて入って来たその子は、ボクの顔を見て驚いた様だ。保健室にボクがいるなんて滅多にないからね。無理ないね。うん。

ちなみにこの子は野中 柚子(のなかゆずこ)ちゃん。

中等部一年生の時、つまり去年のクラスメイトで、とても仲良くしてもらった。凄く面倒見のいい性格でクラスのお姉ちゃん的存在だったんだよ。

初等部の頃からずっと保健委員をしている明之星のナイチンゲールちゃん。将来の夢はお医者さんでも看護師さんでもなく、薬剤師さんなのだそうな。

(ゆず)ちゃん、おひさ。」

おひさといっても、つい2週間前迄は同じ教室で毎日顔を合わせていたのだから、実際はそれ程長期間会っていなかった訳じゃないのだけれど…ボク達くらいの年齢だと二週間は充分に長い。


「リスト、持ってきてくれたの?」

「うん、え?なんで知ってるの?もしかして保健委員になったの?」

あ…そういう解釈になるのか。

「違うよう。ちょっとした体調不良で偶々(たまたま)いただけ。ついでにリスト受け取っておいてって言われたから。」

そう言いながらマリー先生を振り返ると、ニコニコと微笑みながら手を振っている。なづなもこちらを向いて、両手を小さく振ってアピールしてた。

「そうなんだ。あ、なづなちゃんも一緒なんだね。」

中を覗き込みながら手を振って軽い挨拶を交わす。


「寄っていくんでしょ?何も出ないけど。」

「あはは、お茶が出たりしたらビックリだよ。でも、他にも頼まれ事があるから行かないと。」

「そっか、気を付けてね。」

「うん、ありがと。じゃ、またね。」

それだけ言うと、パタパタと小走りで去っていった。

相変わらず献身的な子だなぁ。


受け取ったリストを見ると、薬や包帯それに消毒液などの備品リストの様だった。へぇ…消毒液って消費期限があるんだね。知らなかった。

「マリー先生、こちらのリストで間違いありませんか?」

渡されたリストが間違っているとは思わないけれど、確認はしておかないといけないからね。

マリー先生が確認しているリストをなんとなく覗き込んでいると、最初の方こそ市販の風邪薬だったり絆創膏だったりと、よく目にする名前が書いてあったのだけれど…後半はもう訳わかんない片仮名でいっぱいだった。

塩化ベン…塩化ベンザル…ベンザルコニウム?

(ゆず)ちゃん、こういうの覚えなきゃなんだねぇ。大変そう。

「ええ、大丈夫~。これで追加する物とか交換する物なんかをチェックするの~。結構面倒でしょう?」

デスクに貼ってあった付箋にチェックを入れて少し億劫そうに立ち上がる。

確かにあのリストを見る限り結構な量があったし…一人でやるのは中々骨が折れそうだね。

「マリー先生、お手伝いします。」

「ええ、手が多い方がいいですよ、ね?」

「え~?保健委員でもないのに悪いわ~… 」

ああ、それは気にしなくても大丈夫です。(むし)ろここで手伝わない方がボク達の精神衛生上よろしくないので。

「…そお?ならあまえちゃおうかしら~?」


なづなとボクが収納棚から該当する品を探し、マリー先生がリストの確認をする。確認項目は消費期限だったりストック数であったりと色々だ。

けれど、まぁホント面倒だねこれ。リストの品は全部収納棚に収まっているものだと思っていたんだけれど、全然そんな事はなかった。

なんと、懐炉(かいろ)とか氷嚢(ひょうのう)みたいな小さいものもあったり、担架やAEDなんて大きいものも常備されているんだって。

あんまり使わないものは何処に仕舞ってあるのかわからなくなっちゃってたりしてね。毎年チェックしてるのに、何故かこうなるんだって。

…凄いな保健室。


そんなこんなで、リストの半分ほどが終わった頃。

コンコンコンとドアがノックされた。

「は~い、どうぞ~。」

「邪魔するぞ。」

マリー先生が答えるのとほぼ同時にドアが開いて、マキ先生が入って来た。

室内を見回しボク達を見つけると、心底呆れたような顔で…

「鈴代せりを見舞いに来たんだが…なんで働いてるんだお前ら?」

なんで、と言われましても…成り行きでなんとなく?

「…せり、お前…自分が患者だった自覚はあるか?」

…そうでした、忘れてました…

だ、だって、マリー先生とお話ししていたら、なんか落ち着いちゃったんですもん!正直なところ体はなんともないし。

「なづなは、止めなかったのか?」

「…その発想はありませんでした…。」

はぁ…と溜息を吐き、()()()()()()()()()()()()()なぁと笑ってボク達の頭をぐりぐりと撫でてくれる。ちょっと乱暴に。

「黄瀬先生、この二人は迷惑ではなかったか?」

ちょ、マキ先生!迷惑は酷くないですか?!

ちゃんとお手伝いしてたんですって!

奥の棚で作業していたマリー先生がにこやかにパタパタとバインダーを振って迷惑じゃないアピールをしてくれる。やったね!迷惑じゃないってさ!

「ならいいのだが…。」


「ああ、そうだ、なづな。せりに明日の予定は話したのか?」

「いえ、まだです。帰宅してからでもいいと思っていたので。」

「ふむ、まぁそうだな。任せるよ。それはそうと… 」

明日の予定?なんかあったっけ…って、もしかしてボクの欠席したHRで何か決まったのかな?

なづなが後で良いと言うなら緊急性がある訳でもないのだろうから(あわ)てて聞かなく

「あら、お揃いでどうしたの~?」

…え?

今、聞こえたのは、マリー先生の声、だよね?

お揃いでって…

ボクは声のした方向…()()()()()目を向ける。

「なになに?みんな変な顔して~。」

そこには大量の荷物を抱えたマリー先生が立っていた。

ついさっきまで部屋の奥の棚でチェック作業をしていたはずのマリー先生が

…え?あれ?

「ど、どうしたの~?私の顔、なんか付いてる~?」

訳がわからない、どういう事?

なづなを見ると、驚いた顔のままドアの方を凝視して固まっている。

マキ先生も同じだ。目を見開いてマリー先生を見ていた。

ボク達はゆっくりとお互いの顔を見て、

更にゆっくりと、棚の方に振り返る。


そこには誰もいなかった。

床にバインダーが落ちていただけで。

ボクは、なづなとマキ先生の服を掴み、(すが)るように身体を寄せ、必死に声を絞り出した。

「あ、あの、マキ先生、い、今の、な、なに… 」

そんな事聞いたってわかる訳ないのに…いや、たぶん返ってくるであろう答えはひとつしかない。わかってる。わかってるけれど…

影法師(ドッペルゲンガー)…?」

誰が言ったのかはわからないけれど、その声を合図にしたようにボク達は顔を見合わせて…



きゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!




野中 柚子(のなかゆずこ)さん

鈴代姉妹の元クラスメイトで万年保健委員。

穏やかな顔立ちで色白。そばかすアリ。

黒いセミロングの髪を首の後ろで一本に束ねている。

身長は高め。

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[気になる点] 最後の方 ボクは、せりとマキ先生の服を掴み、 なづなとマキ先生じゃないですか?
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