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すくーるらいふ⑤

短いです。

すいません…。






「ご、ごきげんよう、お姉さま方!」


丁度、体育館への渡り廊下で一年生の子達とすれ違った。いやぁこの間も思ったけれど、みんな初々しくてね〜。

まだ数える程しか袖を通していない真新しい制服。

おろしたての上履き。ピッカピカの一年生だねぇ。

ボク達に向き合った時にちょっと緊張してるのも、

かっわいいんだよ〜。

パタパタと小走りに去ってゆく後ろ姿を見送りながら、あぁボク達もあんなんだったんだろうなぁ…なんて考えちゃってね。

中身はあんまり変わってないのに“お姉さま” って呼ばれる様になって、正直まだ全然慣れないけれどボク達を慕ってくれる子がいるなら、ちゃんとお姉さまって呼ばれるに相応しい人にならないとなぁ、って。


「1年生…可愛いですね。」

挨拶をしては通り過ぎてゆく一年生をに応えながら、椿さんが囁いてきた。

ホントにねぇ。

去年、自分が一年生だった時は二年生三年生のお姉さま方は凄く大人に見えていたし、実際いろんな事を教えて下さった。

入学前の学校見学に来た時にも、わざわざ手を引いて案内をして下さった方もいらっしゃったっけ。

お名前を伺っておけば良かったと、後になって気づいてねぇ…あれは失敗だった。

でも、自分が “お姉さま” と呼ばれる側になるとさ、凄く気になっちゃうよね?

ボクは、()()()()()()()みたいに、大人なお姉さまに見えているんだろうか?ちゃんとお姉さま出来ているだろうか?入学式の時ボクを好きだと言ってくれた子。あの子が憧れてくれるに値する様な、素敵なお姉さまに、少しでも近づけているのだろうか?


「せりさん。」

光さんが腰を折って下から覗き込む様に、ボクに声をかけてきた。

「な、なんでしょう?」

「考え事?」

「ちょっと…ね。」

「…どんな?」

「あ〜…うん。今のボクは、お姉さまって呼ばれるに値するのかなぁ…って。」

…そう言ったら、光さんと椿さんは顔を見合わせて、ものすごく呆れた様に、深い深ぁ〜い溜息を付いた。

…えぇ〜…そんなにがっかりされる程、見合ってないの…?そ、それは一寸(ちょっと)ショック。


「何を言ってるんでか。逆ですよ。逆。」

…逆、とは?

「せりさん が “お姉さま” と呼ばれるに相応しくないのだったら、私達の学年はほとんど落第じゃないかしら?」

…は?

はぁ?!

そんなはずはないでしょう?!

「いえ、その通りだと思いますよ?」

椿さんまで!?


「だって、テストの学年順位は毎回10位前後、書にも通じ運動能力も高く、正に(まさに)文武両道。性格は温厚で周囲からの信頼も厚く見目も麗しい。そしてそれを鼻にかける事もない。理想のお姉さまじゃないですか。」


なんかとんでもない事を言い出す椿さんと、うんうん、と頷く光さん。

…いや、待って?何その完璧超人。ってか誰それ?!

なづな の事を言っているのなら、ちょっと大袈裟だけれど、まぁそんな感じだねって思わなくもない。

でも、今、ボクに向けて言ったんでしょ!?

最初に “せりさんが” って言ったもんね?

あ!聞き違い?あぁそっか、聞き違いか!なぁんだ、びっくりしたなぁもう。


「…これですもの。困った人よね、椿さん?」

「本当に…。」

また2人して、大きな溜息を吐いて苦笑し合う。

「でも、そんなところもイイんじゃないですか?」

「…そう言われると、そうかもしれないわね。」

うふふ。

…って、何その通じ合ってる感!

ボクだけおいてけ堀感!

あれぇ?!

「大丈夫よ、せりさん。誰でも、黙って微笑んでいればお姉さまっぽく見えるらしいから。」

それ中身伴ってないじゃないですかーーー!

「慌てても一足飛びに大人になる訳ではないもの。ゆっくりで良いのではなくて?」

「そうですよ。1年後振り返って、成長したなって思えれば…いいんじゃないですか?」

むぅ…?

今、足りないと嘆くんじゃなく、1年後に足りている様に自分を磨けって事…?

ふむ…なるほど…おぉ、なるほどね!

椿さんカッコいいね!


「…な、なにか斜め上の解釈されたような気がしますけど…お役に立ててよかったです。」

「良いのではなくて?こういうところも せりさんらしさだと思うわ。」

「…そうですね。」

うふふ。

ちょ、また2人だけで通じ合って!

仲間に入れて?!


「あの…。」

うわぁ!!

意識の外から声をかけられたんで、すっごい驚いた!

勤めて平静を保っているフリをしながら振り返る。

ボクの背後、渡り廊下の端、体育館のドアの陰から声をかけてきたのは皐月(さつき)さんだった。

「もう配布が始まってますよ?」

え?あ、一年生を見送ってたつもりだったけれど、いつの間にか完全に入れ替わっていたのか。

失敗失敗。

「ごめんなさい皐月さん。ちょっと話し込んじゃった。今行きます。」

「私達が最後、ですか?」

「いえ、沙羅さんがまだ…あ、来ましたね。」

そう言われて、渡り廊下の校舎側に目をやると、小走りでこちらに向かって来る沙羅さんが見えた。


「これで全員ですね。じゃあ、中へ行きましょうか。」

合流した沙羅さんと共に、皐月さんに伴われて体育館に入ると、既に並んでいる皆が見える。

体育館の中に机を並べて、その上に教科毎の山を置いてあるのか。

ああなるほど、進みながら順番に一冊づつ取っていけば良いのか。その都度鞄に放り込んでいけば良いだけだから楽なモノだ。最初からこの方法にすれば良かったのにね。

…待って。体育館のフロアシート貼ってあるよね…?

ボク達一昨日片付けたよ?

片付けたよね?

え?じゃあこれ、今朝か昨日の放課後に敷き直したの?今朝はそんな時間ある訳ないもんね。昨日の放課後だよねぇ?

誰が?

そりゃ先生方だよね?

先生方がボクらの下校後に用意したんだ。

あ〜…それですずな姉ちゃん、あんなに汗だくになってたのかぁ…ホントに大変なんだなぁ…先生って…。


今日帰ったらいっぱい労ってあげなきゃいけないね。













次話の投稿は明後日

9/2を予定しております。


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