すくーるらいふ
クラスメイトの皆様と交流開始ですよ。
「この時間だと人少ないねぇ。」
いつものバス停に立っていると、なづながそんな感想を漏らしたんだけれど…たぶんその感想は間違っているよ?
こういうのは誰もいないって言うんじゃないかな?
「私達がいるじゃない?」
ボク達以外は誰もいない、とも言える訳で。
「主観の相違…?」
視点の違いじゃない?
「う〜ん、難しいねぇ。」
まぁ人がいないのも当然と言えば当然で、中等部の登校時間には少し早いからだろうね。
といっても、通りに人が歩いていないって訳じゃないんだ。あくまでバス停にいないってだけね。更に言えば明之星学院の学生がいないって事。
公立の小中高校の子達が登校しているから、人そのものはいるんだよ?いくら田舎とはいえ人っ子ひとり歩いてないってわけじゃないからね?
公立の学校って、全部、街の北の方にあって駅より南側って明之星以外は3校しかないんだよ。
3校もあるじゃんって思うでしょ?小学校が22校、中学校が13校、高校が4校ある内の3校だからね。
少ないでしょ?
で、何故ボク達が人の少ない時間のバス停にいるかと言うと理由は単純で、すずな姉ちゃんと同じ時間に起きちゃったから。先生の方が学校行くの早いんだよね、初等部の頃はそんな事気にした事もなかったんだけれど。
そんなんで一緒に起きて一緒に朝御飯食べて、一緒に家を出たら普段の登校時間よりちょっと早いってわけで。
すずな姉ちゃんも一緒なのかって?
残念ながら別行動。すずな姉ちゃんは一足先に車でご出勤でございますよ。
目的地が同じなんだから乗せてってくれれば良いのにって思うでしょ?ところが、それはダメなんだって。
通勤時に生徒を同乗させるのは、特定の生徒を贔屓していると取られかねないのでしない様にって事らしいよ。
下校時は場合によっては同乗も容認されるんだって。
例えば日没後に一人で返すのは危険だと判断される時とか、教師の判断で送る事も推奨されてるみたい。
結構、面倒だよね
「どしたの、せり?誰に話してる、の?」」
「え?ううん。誰とも話してないよ?」
「?…そう?」
ええ?独り言なんて言ってた?
ぶつぶつ独り言を言ってるとか、アブナイ人みたいじゃない。ああ、でも、こういうのが癖になったらいけないので気をつける様にしよ…。
定刻通りにやってきたバスに乗り、運転手さんにご挨拶して、いつもの席に向かう。。やはり少し早い時間だけあって乗っている人は少ないね。高等部の制服を着たお姉さま方が3人ほどだ。
後ろの席に纏って座っているお姉さま方に一礼すると
いつも通り華やいだ声を上げて挨拶を返してくれた。
ご挨拶は勿論、カーテシーだよ?
ボク達の乗るバス停から学院までは、ほとんど道路が混む様な事もないのでスムーズに進んで行く。通勤の車は市街地中央に向かうから、街外れで、かつ山の上にある明之星学院とは進行方向が逆方向なんだ。
途中で乗る生徒もいなかったので、あっという間に到着した。通常授業が始まると、この時間でもバスは混む様になってくるのだけれど…そうなったらもう一本早いバスにしても良いかな?すずな姉ちゃんに行動を合わせれば出来そうだし。
「「おはよー。」」
「おはよう〜昨日はお疲れ様。」
「あ、おはよう。」
教室に到着したら、もう結構な人数が来ていた。三分の一くらいはいる。あれ?みんな早いね?
「ああ、来週から朝練解禁だから。どの時間帯に乗るのが良いのか試してるのよ。」
なるほど。じゃあここにいる子はみんな運動部の子達なのか。ほうほう。
「体育祭とか球技大会で活躍してくれるメンバーが今ここに居る訳だ。」
「あら。2人にも期待してるのよ?」
「…私達に?」
「なづなさん、去年はバスケで凄かったじゃない。クラスは負けちゃったけどさ。」
あ、あれか。あれは確かに凄かった。
なづなはバスケットボールにエントリーしてたけど、未経験者という事で控えにいたんだ。出番が無いまま第3クォーター迄試合が進んで、もう負けも確定って程に点差もついちゃってね。ここまできちゃったら、全員出して楽しく終わろうって事になって、控えの子も順次入れ替えていったんだけれど…
なづなが交代する時に
「3ポイントシュートだけなら出来る、と思う。」
って言い出してね。
どうせ負け確なんだから、やってみようって事で なづなにボールを集めて兎に角スリーポイントだけを狙って打ち込んでいく作戦に出たんだ。
そしたらさ。
もう、決める決める。
打てば入るってレベルで決めまくって、みるみる点差を詰めていってね、あわや逆転ってとこまで迫ったんだけれど…まぁ、そんなに上手くはいかなかったね。
いやホント凄かったんだよ!
1番遠かったシュートなんて、センターサークルから決めてたからね?
終わった後に冗談で、ゴール下からでも入りそうみたいなこと言われてさ『1〜2回なら行けると思うけど、たぶん体力が保たない。』って真顔で答えてドン引きされてたっけ。
後日、体育の授業の時に試してみて、実際入れた時はみんな唖然としてたよね。そりゃそうだ。
まぁ本人曰く『…肩、抜けちゃう…。』そうだから実戦投入は無理っぽいけれど。
あの後しばらく、バスケ部からの勧誘が凄かったよねぇ。習い事があるので無理ですって、断ってたのは覚えてるんだけれど…何を習ってる設定だったんだっけ?
「あれを期待されると困っちゃうなぁ…。」
「まだ先の話だもの、でも考えておいてね。」
せりさんもね、って言われてもなぁ…ボク、決定的にチームワークのセンスが無いからなぁ…。
マルチタスクとか並列思考とか苦手でね、自分で動きながら全体を把握とか無理だから。
…確かにまだまだ先の話ではあるから、今からうじうじ考えても仕方ない。
「個人競技があればお役に立てると思うのだけれど…どうなんだろうね…?」
「個人競技は……あるのかしら?」
「何年か前にはテニスがあったはずだけど…時間がかかるからって、なくなったのではなかったかしら?」
あらまぁ。
…って、もしあったとしても、ウチのクラスには桂ちゃんという現役テニス部員がいるんだから、ボクの出番はないよね。
「個人競技なら、体育祭でいっぱい見せ場がありそうよね。せりさん、足早いもの。」
むぅ…中長距離はそこそこいけると思うけれど、陸上部の子だっているじゃない?本職には敵いませんよ?
それに…半年先の話じゃないですか。
やっぱり運動部の子はスポーツイベントの方が楽しみなんだろうか?得意分野ではあるのだろうから、わからなくは無いけれど。
ていうか、それ以前に新歓祭という難敵があるの、皆さん忘れてやしませんかね?
P.S. 第61話『いってきます』に挿絵を一枚挿入。
よければ、見てやって下さいませ。




