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みるくほーるみーてぃんぐ③

「せりさん、こんな感じで、どうでしょう?」


沙羅さんが撮った写真を見せてくれたんだけど、これがなかなかに良いんだよね。

二十数枚の写真はみんな表情が明るくて、笑顔で。真剣な表情なのにどこか楽しそうで。

構図も凝ってる訳じゃないのに、収まりが良いというか、しっくりくるというか。

これは被写体が魅力的なんだろうか?

それとも沙羅さんが、その一瞬を切り取るのが上手いのか?どちらにしろこれを使わない手はない。


「これは良いわね。」

画面を覗き込んでいた光さんがポツリと呟き、画面をスワイプしていく。


「…沙羅さん、明日からで良いからクラスメイトの写真を撮って貰えないかしら?休み時間、部活中、何時でも何処でも。みんなには私が話しておくから。」

「出来れば授業中のも欲しいね。」

「じゅ、授業中、ですか?」

「…先生方にも許可を取らないといけない、ね?」


クラスの皆の了解は得られるだろうけれど…授業中に写真撮影って許可下りるかな?

卒業アルバムじゃないんだからプロの人に頼む訳にもいかないし、生徒が勝手に動き回ってパシャパシャ撮るというのも問題だろうしなぁ…。

授業中に席を立って動き回っても良いなんて…いっそ先生にお願いするというのは…う〜ん…

授業しながら写真撮って下さい、って…?

ダメでしょう、そんなの。授業の妨害だよ。

なんか上手い方法はないものだろうか?

授業参観みたいな行事でもあればなぁ…。

授業参観……先生…?

…あ。

「授業中の撮影、副担任の先生にお願いするっていうのは?」

「副担任…?」

「副担任…ああ。新任教師の授業見学の時に頼むって事?確かに授業中に自由に動いて撮影が出来る、ね…枚数を撮って貰ってその中から選べば… 。」

「なるほど。是非お願いしてみましょう。」

ただ、この案なら副担任の先生より新任引率の先生にお願いした方が良いのかもしれない。


あとはマキ先生が許可をくれれば…いや、たぶんマキ先生は許可はしてくれる。ちゃんとお願いすれば、他の先生への根回しもしてくれるんじゃないだろうか?

けど、う〜ん…甘えちゃって良いものか…?

「遠慮しても仕方ないと思う、よ?」

…やるんだったら全力で、か。

そうだね。そう言ったんだもんね。変に遠慮して機会を棒に振るのも馬鹿らしいし、先生にも協力してもらおう。


「私、みんなに写真の事言ってくるわ。」

「あ、光さん、ちょっと待って。」

どうせなら先生の伝言も伝えてもらおう。

ホントはボクが伝えるべきなんだろうけれど、さっき伝えそびれちゃったから少々バツが悪いんで、申し訳ないのだけれどお願いします、と、そんな風にお願いした。

「わかった。ついでに伝えておくわ。」

光さんは可笑しそうに目を細めて了承してくれた。

「せりさんもそういう事、気にしたりするのね。」

そりゃまぁ…何となくですけど、日に何回も失態を見られるのって、妙に恥ずかしい気がしませんかね?

天然ドジっ子とか?そういう愛されキャラ属性の子だったら気にしなくても大丈夫なんだろうけどさ。

そうだねぇ、例えば…。

例えば桂ちゃんみたいな子が失敗しても、ちょっと沈んだ顔でごめんって言われれば、ドンマイって思うじゃない?次いこう、次!って励ましちゃったりするでしょ?

沙羅さんみたいな子がドジってもさ、シュンとした顔でごめんなさいって言われたら、許しちゃわない?

椿さんなんかは、こっちが恐縮しちゃうくらい頭下げてそうだなぁ…。で、フォローしようと周りが盛り上がるっていう。

光さんだってそうだよ。

光さんが何か失敗して……光さんが失敗するイメージが湧かないね……?

ごめん、これはナシで。


「あ、あの、私ってそんなイメージ、なんですか?」

なんとなくシュンとした表情で、沙羅さんが問い掛けてきた。あ、いや、うん、イメージというか雰囲気的に?許しちゃう気がする?みたいな?

「やっぱり、背が小さいから、ですか…?」

それはまぁ…無いとは言わないけれど、どっちかと言うと性格とか人柄の方が比率は大きいと思うよ?


「沙羅さんて私達から見ても小柄だし、控えめで謙虚な振る舞いがね、守ってあげたくなるみたいな感じ、かな?」

うん。なづなの意見には同意するね。

「そ、そうですか…。」

「…私、これでも、クラスで一番、年上だと思うんです、けど…。」

え?

「誕生日、早いの?」

あ、誕生日の話か。

びっくりした。

留年してるのかと思った。

いや中学生に留年制度って無かった気がするけれど…あれ?私立だとあるんだっけ?じゃウチはあるかもしれないのか?いや、今はどうでもいいや。

「4月の3日、です。」

え、じゃあもう14歳なんじゃない!

「あ、お誕生日おめでとう!」

「もう過ぎちゃってるけど、おめでとう。」

「あ、ありがとうございます。」

「そっか。確かにお姉さんだ。」

「だねぇ。随分上だねぇ。」

「お二人は、いつなんですか?」

「ボク達?次は来年。」

「今年は2週間くらい前、だね。」

なんか、えらく驚かれているんだけれど、そんなに驚く事かな?

「ご、ごめんなさい。その、2人共、凄くしっかりしてるから、大人っぽく見えてたんです。容姿は兎も角。」

……容姿は兎も角…?

微妙に引っ掛かるけれど、まぁいいか。

「ほとんど、ひとつ違うじゃない、ですか。」

「ホントだねぇ。」

「お姉さんなんだねぇ。」

なづなと2人で左右から挟む様に移動して、沙羅さんと腕を組んで顔を覗き込む様にして

「「お誕生日おめでとう。」」

「ひ、ぁ、あり、がと…。」

んお?なんか固まっちゃったぞ?

沙羅さん?沙羅さーん?

これ毎年すずな姉ちゃんや桂ちゃんにやっていて、とても喜んでくれるので、仲良くなった子には(たま)にやるんだけれど…あれ?お気に召さなかったかな?

沙羅さーん、大丈夫?

こういうのイヤだった?

だったらゴメンね?

「い、え、大丈夫です、その、ちょっと顔が熱いだけで、イヤとかでは、ないので。はい、大丈夫です。」

そう?なら良いんだけれど。


「写真の件と伝言、伝えて来たわ。」

戻ってきた光さんと、一緒に来た菫さんと椿さんが今のボク達の状況を見て

「何?どうしたの?連行するの?」

連行って、何処に!?

「沙羅さんがお誕生日過ぎたっていうから、お祝いを言っていただけ、だよ?」

「沙羅さん、誕生日だったの?最近?」

「3日だって。」

「まぁ!おめでとう沙羅さん!」

「遅れ馳せながら、おめでとう沙羅さん。」

「おめでとうございます。」

「あ、ありがとうございます。」

口々に発せられる祝いの言葉に、顔を赤くして照れるクラスで一番お姉さんのはずの沙羅さん。可愛い。


「今回の………は……さん、か…。」

そんな呟きが聞こえて、声の方を見ると立っていたのは椿さん。

「椿さん?どうしたの?気になる事、あった?」

「え?!いえ!なんでもないデスよ!?」

そうデスか?

「沙羅さんってさ、ウチのクラスで一番お姉さんなんだって。」

「ああ、それで甘えてるの?」

そういう風に見えてる?なら乗っかっておこう。

「んふふ、そう。お姉さんに甘えてるの。」

ねーって、なづなと一緒に沙羅さんにしがみつく。

「あら良いわね、私も甘えたいわ。」

菫さんも乗ってきて、沙羅さんの後ろから覆い被さる様に身体を預けてくる。

「ふふ、沙羅さんって抱き心地が良いわ。」


「もう、みんなして何をしてるの?」

少し呆れた様な口調でそう言ったのは委員長だ。

撤収準備してこちらに来たらしい。

「沙羅さんの誕生祝い?」

「…なんで疑問形なのか理解(わか)らないんだけど?ていうか、お祝いなの?それ。」

「お祝いのハグ、かしら?」

「まあ、それはいいわ。それで?沙羅さんの誕生日っていつだったの?」

「あ、はい。3日です。」

「春休み中だったのね。」

委員長、副委員長をはじめ数人がお祝いを述べてゆくと、沙羅さんは恐縮して縮こまりながら

「ありがとうございます。クラスメイトにお祝いされる事って、あまり無いので…嬉しいです。」


長期の休み中に誕生日がある子は結構そういう感じだよね。かく言う僕らの誕生日も春休みに入って直ぐなので、クラスメイトにお祝いの言葉を貰った事は殆んど無いと思う。

桂ちゃんは、わざわざ部活帰りに家に寄ってくれたり、電話くれたり、必ずおめでとうって言ってくれるんだけどね。ホント優しい子なんだよ。


「そうだわ。なづなさん、せりさん。」

「はい?」

「この後、職員室に寄っていこうと思うんだけど、一緒に行ってもらっても良いかしら?」

先生にお願いする件かな?

勿論ご一緒しますよ。一応発案者ですからね、言った事を投げっぱなしにしたりはしませんて。

じゃあ早速行ってみますか。

菫さん達はどうするかな?

「あまりゾロゾロと行っても仕方ないわよね…?」

そうだね。お願いするだけだったらボク達だけでも良いくらいだし。あんまり大勢で押しかけても意味ないね。

「なら、先に昇降口に行っているわね。」

「…そうね。私もそうさせてもらうわ。」

光さんと菫さんは別行動、と。

椿さんは?

「私はお先に失礼しようかと。」

了解。気をつけてね。

沙羅さんも?

「はい、私もお先に。」

うん、また明日ね。


「じゃ、此処で解散という事で。みんな、お疲れ様でした。また明日ね。」

委員長の号令で三々五々バラけていく。


「さて、じゃあ行きますか委員長。」

「ええ、よろしくね。」











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