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あわーくらするーむ⑨

「用務員室に行った後ここに来たんだけど、やっぱり誰もいなくて。」

「職員室に戻ろうとした時に、外から戻って来た先生に院長先生宛の伝言を頼まれちゃった。」

院長先生探して駆けずり回っていたんだって。

結局、2度目に戻ってきた時に、ここで捕まえたらしい。


大まかに言うと

予定時間になっても業者さんから搬入の連絡がなかったので、こちらから連絡した。

連絡が取れた業者さんが、なんらかのトラブルで学院に来れなくなっていて、こちらから車を出す事になって、用務員さんと施設管理の人達、職員室にいた先生方数名が受け取りに向かう事になった。

職員室に伝言は残してあるのだけど、いつもの癖か、うっかりかはわからないけれど、当直の先生が施錠してしまった

…って事みたい。


ボク達は、その合間合間で勝手にバタバタしてたらしい。ボク達が職員室の前でボ〜っとしてても遅かれ早かれ事態は動いたはずだ。

“骨折り損のくたびれもうけ”を地で行ったってわけ。

でもまぁ、何もせずに呆けているのも性に合わないので、何かしら手伝いを買って出てただろうと思う。

なづなは そういう子だもん。

いずれにせよ、今ボクらに出来る事は無くなってしまった訳で…光さんと満さんを回収して教室に戻るか、配布物が到着するのを待つか…

…職員室前まで戻るのはマストだね。


「職員室まで戻ろうか。ここに居ても出来る事ないし。」

「そう…だね。そうしよう。」

「椿さん、身体は大丈夫?」

「ぅえ!?あ、はい!大丈夫!デス!」

声が裏返ってますが本当に大丈夫ですか?

「椿さん、体調悪かった、の?」

「大丈夫、大丈夫!全然平気!」

なんか顔が赤いけど、熱があるとかじゃないよね?

さっき倒れちゃったし心配だなぁ…。

「無理しちゃダメだよ椿さん。気分悪かったら言ってね?椿さん()()()するくらい、楽勝なんだからね?頼ってね?」

「え、ええ…え?!おんぶ?!」

「…抱っこの方が良ければ、そうするけど?」

「抱っこ…。」

どういう想像をしてるのかわからないけど、なんかうっとりしてるね。

ごめんね、王子様じゃなくて。

「私でも良ければ、するよ?抱っこ。」

なづなも、抱っこするって。

「…えぇ、そんな、ぅれしぃ… 」

モジモジしちゃって、可愛いなぁ。

椿さん乙女だね。

じゃあ、って抱き抱えようとしたんだけど

「あ、あっ!待って!い、今は大丈夫っ…!」

「…そう?無理してない?」

「うん!してない!平気!」

ふむ…、元気そうではあるけど…

「わかった。でも無理そうだったら勝手に抱っこするからね?」

「う、うん、ありがとう…その時はお願いします。」


移動と言ってもほとんど階段を上るだけなんだけど、もし、万が一、階段で意識が無くなったりしたら大変な事になりかねない。

ボクが椿さんの斜め後ろに位置すると、察したらしい なづなが逆側斜め前進み出て椿さんの手を引きエスコートする。

ナチュラルにあれが出来るのはイケメンだなぁ。

…あ、司お姉さまがこんな感じだったっけ。

なるほど。髪が短いのも共通点だね。なづなも ああなるのかな?

…なりそう。

高等部3年生になったくらいにさ、後輩の子達にあんな風に笑顔振り撒いちゃったり手を差し伸べたりしてさ、隣で見てるボクがヤキモチ妬いて、ぷぅって膨れっ面になるところ迄容易に想像出来ちゃったよ…。


…あれ?

ボクも司お姉さまと同じタイプ…とかって誰かに言われた様な…?ボクもああなるの?無理でしょ?

んん?…まぁいいか。


職員室の前には、まだ大勢の生徒がいて、先生が今後の説明をしている最中だった。

光さんと満さんは…え〜と?

あ、1番前にいるのがそうかな?

「先生の話が終わってからがいい、かな?」

「うん。後でまとめて教えてもらった方がわかりやすいでしょ。ね?椿さん。」

「はい。そう思います。」


先生の話が終わるのを待って光さん達のところに行く事にして、現在は廊下の端で待機中。

ここに集まっている人の中には菫さんはいないみたいだから、教室で足留めされているんだろうな。

高等部の教室には担任、副担任が揃っていたというから、中等部も同じだと考えるのが妥当だろう。


本来ならこの時間には配布物は、既に教室に運び終わっていたはずなんだけどなぁ…未だに学院に届いてすらいない。

授業自体は明後日からという予定なので、教科書や参考書の配布は明日でも問題ないと言えば問題ないのだけれど…。

それなら、解散しても良いと思うんだけどなぁ。



「そういう訳なので、みんな教室に戻ってよろしい。予定が変わってしまってすまないが、また明日、よろしく頼む。」

では解散、という先生の声で集まっていた生徒達が動き出した。

キョロキョロしている光さんに向かって、大きく手を振ってココに居ますアピールをする。あ、気付いた。

t満さん、ぶんぶん手を振ってるよ。

動きがなんか犬っぽいな。尻尾が見える気がする。

光さん達と合流し、配布物の取り扱いについて説明を受けたんだけど、やり方が全面的に変更される様だ。

どうやら今日の配布は無理だと判断されたって事で、明日改めて配布するらしい。ただ、今日みたいに代表者が受け取りに来るのではなく、クラス毎に全員で取りに行く方法になったのだそうだ。


…最初からそうすれば良かったんじゃない?

なんで代表者が受け取りに行くなんて面倒なやり方にしたんだろう?


「それなら私達はお役御免という事なの、かな?」

「それとも明日の準備を手伝うのか…。」

「まだ配布物そのものが無い状態なので、手伝える事がないみたいなのよ。」

あぁ、まだ届いてないんじゃ手伝い以前の話だね。

あ、そうだ。

「なづな。」

「ん?」

「えっとね、さっきセリナ様から言われたんだけど。」

「セリナ…様?」

「うん、執行部の百合沢セリナ様。」

「せりさん、セリナお姉さまと親しかったの!?」

「い、いつ親しくなったんですかっ!?」

光さんと満さんが、凄い勢いで食いついて来ましたよ?!何事ですか?!

「え?あ、うんとね、親しかった訳じゃなくて…。」

「ホントについさっき、声をかけて頂いて。試験明けに時間を取ってくれ、って。」

「そ、それじゃ呼び方の説明になってないじゃない!」

む。確かに。

「え〜…と。すっごく簡単に言うと、ボク達の事は名前で呼んでくれると嬉しいですって言ったら、なら、お姉さまは付けずにセリナと呼びなさいって言われたの。」

「だから、セリナ様って呼ぶ事になった。」

「試験明けに時間を、って?」

「用事そのものは聞いてない。ただ、なづな も誘うから言っておけって。」

「わ…私もっ!?」

「らしいよ?」


なぁに、ほんとに大した用事じゃないかもしれないじゃない?

大丈夫、大丈夫。


たぶん。




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