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ほわいどんちゅーだんす⑲

再投稿です。

「どう? こうじゃないかな? 」


うん…うん。

そうだよ、これだ。こうだった。

キレはあっても鋭くなり過ぎないステップ、大きく優雅な、ゆったりとした振り付け。

こういうのを目指してたはずなんだ。

おぉ…。

おおお、そうだ、こんな感じだよ。

うん、出来てる、出来ている!


やっぱり なづなも同じ事を考えていて、そして一歩先へとその考えを進めたんだ。うぬぅ…ボクなんか、なづなにリードされて踊り始めてから漸くそこに辿り着いたってのに、自分で考えて答えを出しているんだから凄いよ。流石は なづなだ。


「んっふ〜♪そりゃ『お姉ちゃん』ですから♪」


『自慢のお姉ちゃん』であるのは確かにその通りなのだが…何故か妙に得意げな顔をしているのは、まぁいいとして…今回の()()()()()()()()()に関しては『お姉ちゃん』って関係なくない? 関係ないよね? いやツッコまないよ? ツッコまないからね?

そう言った瞬間なづなは ()()()()()()()頬を膨らまし、直後に破顔した。


「ふ、ふふ。ワルツってこういう感じだよね。あ〜…そうだよ、そうだった。なんか()()()()くるなぁ。」


うん、確かにしっくりくる。

“出来ている感”が半端ない。

傍目に見ればまだまだ荒いのだろうけれど、なんかひとつ()()()()()、みたいな?

…そこは『山』じゃないのかって?

いやぁ…そんな大層なモノじゃなかったでしょ。

でもまぁボクとしては、だ。思っていたモノに近いダンスが踊れている事よりも、目の前の なづなの顔が本当に楽しそうだっていう部分が…一番のポイント、かな。


「ね、せり!もう一周!」


ん?!

あ、あぁ、もちろん。

何周だって付き合いますとも。


        ・

        ・

        ・

        ・


「これで〜……フィニッシュ!」


なづなはグッと前傾してボクに覆い被さる様に、ボクは なづなにぶら下がる様に背を反らせた体勢で。止まり方もピタリと急停止ではなく、緩やかに減速して静止する。

ボクの顔の前…ていうか上? …まぁどっちでもいいや。目の前には実に満足気な なづなの顔がある。


…それはそうだろう。

そりゃあ満足したでしょうよ!

よもや『あと一周』から5回も6回もやらされるとは思わなかったもん!

確かに!確かに何周だって付き合うって言ったけれども!言ったけれどもぉ…!


思った通りに身体が動かせているのが余程楽しかったとみえて、もう一回、もう一回って()()()()されてさ、気がつけば最初のルーティン×3回の優に2〜3倍の運動量をこなしてしまった訳だ。いやボクも楽しかったし、気持ち良かったのだけれど…それはそれ。

まぁね、気持ちは理解(わか)らないでもないよ?

突然出来る様になった事が嬉しくて、楽しくて、つい()()()()()()()というのはね、よくある事だからね。ボクも似た様な経験あるし。

例えるなら…ホンの数分前まで乗れなかった自転車に突然当たり前の様に乗れてしまった…みたいな? そんな感覚だったんだと思う。いきなり『あれ? 出来た?!』ってなったら、そりゃあ夢中になっちゃうよね。

なづなが()()なるのは中々に珍しい事なので少々驚いたけれど。


少しだけ乱れた息を整えながら、ゆっくりと体を起こし なづなと向かい合う。

いつもやっている事とはいえ今日は凛蘭さんという観客もいるのだし、やはり最後はちゃんと礼で決めないとね。

ボクはパートナー役なので当然カーテシーで、なづなはリーダーだからボウ・アンド・スクレープで、少し丁寧に深めの礼をそれぞれ行う。

体勢を戻し、目を開くと…



「おおお〜!」


「すっご〜い!」


「え?!ちょっと先生、あの子たち誰!?」


「嘘でしょ、なにアレ?!外人選手?!」


「ジュニアかしら? 」


「じゃないかな? ユースには見えないね。」


「いやいや!そんな事よりあの完成度よ!」


「確かに!」


…って、うおぉっ?!

びっくりした!

突然横から…いや、実際は少し離れた場所からなのだが…若干悲鳴交じりの歓声の様なものが聞こえてきた。このスタジオには今現在ボクと なづなと凛蘭さんの三人しか居なかったはずなのだけれど?!

…などと言ったところで声がしたのは事実であるから、ボク達以外の人はいるのだ。しかも複数人。それはつまり…その複数人に()()()()()()()ところを見られたって事で…いや、そりゃ、ここはダンス教室のスタジオで、午後の教室の生徒さんが来るっていうのも理解していたのだけれど…うおぉ…またしてもやってしまった…か?


恐る恐る声のした方向、入り口の方へゆっくりと首を回すと…うわぁ…受付カウンターに寄り掛かってニヤニヤしている奥さん先生と、おそらく生徒さんであろう人達が…ひい、ふう、みい…7人ほどか、入口の近くでこちらを見物しているじゃないですか。

ど、どのあたりから見られていたんだろうか…? うっわ…変な汗出てきた!?



なづなはと言えば…見られていた事自体に驚きはしても、それほど動揺はしていない様子だ。

寧ろ思う様に身体が動いた歓びで高揚しているのか、ちょっとドヤ顔している様にすら見える。


「はいはい、ちゃんと紹介するから。ちょっと待ってね。」


奥さん先生は『まぁまぁ』と両掌を上下させるジェスチャーで生徒さん方を宥めながら、ボク達の方に歩み寄って来た。

…別に叱られる訳でもないのだろうが、微妙に圧が強いって言うか…じっと見つめられてるのは何故だろうか? さっきのダンス、何かマズかった?

ボク達の目の前でピタリと止まり、腰に手を当てて なづなとボクを交互に見て『ふむ…』と息を漏らした。


「ちょっと目を離した隙に随分と変わっているじゃない。なに? なんかあった? 」


あ、よかった不味かった訳ではないのか。


「あ〜…いえ、特に何かあった訳ではないのですが…3人で話していたら…その、なんとなく? 」


まぁその通りだ。実際、何か劇的なきっかけがあった訳ではなく、話の流れと思いつきでやってみたら嵌まった…という感じなのだからこれ以上詳しく説明のしようもない。

いやまぁ、ボクと違って なづなの頭の中では本人すら認識していない『劇的な変化』があったのかもしれないけれどさ。


ボクに至っては なづなの言う通りにしただけで自分で気付いた訳ではない。

確かに“なんとなく理解った感じ”はあるのだけれど…まだしっかりと意識していないければ再現出来ない…と、思う。流石に染み付いたクセというのは、そう簡単に払拭出来るものではないだろうからね。


「ふぅん? 」


奥さん先生は なづなの答えを聞いて再びボク達を交互に眺め、ちょっと面白そうに笑った。


「まぁいいわ。なんにせよ“一皮剥けた”かしらね。」


…むぅ、残念だけど一皮剥けたとすれば、それは なづなの方であってボクではないんだよなぁ。一応さっきので意識しさえすれば出来る様にはなっている…はず、だけれど…本当に一皮剥けたと言える様になるのは、さっきの動きがナチュラルに出来る様になった時だろう。

…それが微妙に難しいんだけれど…。

ま…まぁ、身体に染み込むまで反復すればモノには出来るだろうから、ここから先は練習あるのみだな。うん。


「さて、じゃあみんなに紹介するわね。」


あ、みんな“()”ではなく、みんな“()”なんですね。

ああ、でもそれはそうか。先程の会話からすればこの人達はこのスタジオの正式な生徒さんなんだろうから、先生にしてみれば外様であるボク達を正規のメンバーに紹介する、というのが正しいのか。うむ、言葉って難しいね。

どうもまだ微妙に、()()だという意識があるっぽい…来なくなって半年も経つのだから古株も何もないだろうに。いかんなぁ。

あ、誤解のない様に言っておくけれど、別に古株マウントとか先輩面したいとかって訳じゃないからね? えぇと、なんて言ったら伝わるかな…そうだな…暫くぶりに秘密基地に行ったら新メンバーがたくさん居て、ちょっと疎外感を感じる、みたいな?

……

………

いや、子供か!

『ここボクの陣地!』とか言ってるのと変わらないじゃないか!

うっわ、恥ずかしい!?

あ、あれ?!ボクってこんなに子供っぽかったっけ?!

うおぉ、なんて恥ずかし


「せり。ほら、行くよ。」


トンッ、と脇腹を突つかれて思考が現実に戻ってくる。

んお?!

お? おぉ、しまった、注目されていた気恥ずかしさから逃れる為に別の事を考えていたのに、その別の事でも自爆思考に陥いってしまうとは…!なづな が肘で突ついてくれなかったら、またぞろネガティヴ思考でぐるぐるしちゃってたかもしれない。

しっかりしろ。ボク。


「渡邊さん…凛蘭ちゃんだったわよね? こっちおいで。」


「え? あ、はい!」


凛蘭さんも奥さん先生に促されて慌てて立ち上がり、小走りでボク達のところ迄やって来た。ちょっと疲れているのか少し身体が重そうだ。

…いや、お腹が重いのかな…?

確かにいっぱい食べてたもんなぁ…いやまぁ、よく食べるのは良いんですよ。ボクらの年齢だとまさに成長期だし『いっぱい食べる君が好き』って歌もあるくらいだもん、それはそれで魅力的である。

ただね? 当初の目的がね?

ダイエットだったはずなんだよねぇ?


「は〜い、みんなちゅーも〜く。」


わいわいと喋っていた生徒さん達が先生の一言で一斉に視線をこちらに向けてくる。

うひっ!少人数でも面識の無い人達に注目されるのは…やっぱり恥ずかしいなぁ。


「こっちの子は新人さん。ダイエット目的で体験しに来たんだけれど、なかなか筋が良いので勧誘中。」


ポンっと肩を叩かれ、若干恐縮気味な凛蘭さん。

しかしそうか、勧誘されてるんだ。

まぁ筋が良いとか先生に言われたら嬉しいよね。たとえ御世辞だと理解っていても、ボクなんかその気になっちゃうかもしれないもん。


「で、この子達は以前ここに通っていた子達でね、久しぶりに鍛え直したいって言ってきたのよ。」


…うん、ちょっと大袈裟な言い方な気はしますけれど…。

まぁ大凡(おおよそ)その通りですデス。


「実力は見ての通り、なかなか動ける子達なんでね。午後も居られるって事だから貴方達の練習に混ざって貰おうと思ってるの。」


…ん?


「少し停滞気味の貴方達には良い刺激になるなると思うわよ。」


んん?


「そんな訳で着替えたら早速始めましょうか。ほら、3人とも準備してちょうだい。」


え…?


ええぇ?!





体調をみながら、ぼちぼちと投稿していこうと思っております。

またお付き合い頂けると嬉しく思います。

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