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ほわいどんちゅーだんす⑱

お久しぶりです。

ご無沙汰してしまい申し訳も御座いません…。

「…せり。」


………


「せ〜り? 」


………


「せりってば。」


ぅひゃい!?

うっわ、変な声出た!

『なんか照れる』とか考えてたところに囁くみたいに名前を呼ばれたもんだから、めっちゃ動揺してしまった!平常心平常心!

ななななんでしょうか?

ななななんか姿勢がおかしいかゃな?!

…うおぉ!? 呂律が回ってない!?

落ち着けボク!


「な、なに焦ってるの? 」


あ、いや、ちょっとね、別に大した事じゃないんだけど。

うん。大丈夫。ホント大した事じゃないから、気にしないで。


「そう? ならいいけど。」


で、なに?

なんか言おうとしてたんじゃないの?


「あ、そうだった。えっとね、ステップはさっき せりがやった()()()()()()()()()()でいいからね。」


はい?

()()でやるの?


「そう。でも腰から上は全部私に預けてね。」


え、そりゃあリーダーは なづな なんだから預けるのは吝かではないが。

てか全部預けるって『脱力して逆らうな』って事だよね?

でもステップはクセのままで?

…なんだかよく判らないけれど…まぁ言うとおりにしますよ。説明じゃなく体感しろってくらいだから()()()()()んだろうし、なにより なづなの言う事だからね。

わかった。

やってみる。


「ん。じゃあ…やってみようか。あぁステップ幅が合わなくて踏んじゃったらゴメンね? 」


え、いやそんな事は心配していないけれど…

なに? ステップに()()()()()()()()()()()をするつもりなの?


「いや? そんなに難しいことじゃないよ? …分ければ。」


…分ければ。

分ければ?


「じゃ、やってみよう。凛蘭さん、どんな風に変ったか見ててね。」


「は、はい、わかりました。」


ほう、そんなに変わって見えると予想しているのか。なるほど。

じゃあステップはしっかりと集中して踏むとしましょう。

で、上半身は支えるだけで動きは全部 なづなにまかせちゃう、と。

ん…OK。いつでもどうぞ。


「ん。いくよ~…さん、しっ、」


なづなの言った通り、ボクはクセのまま少し溜めて()()()()()()()()()()ような、良く言えばスピード感とキレのある動きでステップを踏んでいく。

あんまり意識すると溜め過ぎちゃうので、ちょっと気を付けて…うん、大丈夫そうだ。いつもとそれほど変わりない。これなら意識せずに踏めるね。

あ、“足を”じゃなくてステップの話だからね?

…が、問題は腰から上である。ボクのする事は態勢を崩さない様にする事だけで、動きは完全に なづなに依存している。そう、依存しているのだ。その動きにボクの意思は一切介在しておらず、なづなに動かされるまま、振り回されるままなのだ。

いやぁこれが意外とキツイんだよ。

足元はストップ&ゴーという動きなのに上半身は絶え間なく流れる様に動き続けていて、例えるなら…そうだなぁ…普通に歩いているのに上半身だけジェットコースターに乗せられている様な…って言っても想像し難いよね、ボクも上手に伝えられている自信が全くないもの。


前にも言ったかもしれないけれど、ボクは複数の思考を同時にやるってのがあまり得意ではないので…いや、むしろ苦手な部類だからさ…残念ながら今現在、側からどんな風に見えているのか全く想像出来ないんだ。

兎に角、ステップが上半身に引っ張られてしまわない様にするだけでいっぱいいっぱいなんですよ。

まぁそれでも?そこそこ慣れて来たけれどね。

…なんて思ったのはルーティンを一周半したくらいの頃だろうか? ほんの数秒前まで真剣な顔をしていた なづなが、まるで見計らった様にニコリと笑い、呟いた。


「…よし、いけそうだね。じゃあもう一周、今度は完全に私のリードに合わせて。」


え? ステップもって事?

ここに来てまたステップ変えるの?

いや、そりゃあまぁ、やれって言うならやりますけれどね? なづなだって、『ボクなら合わせられる』って思ってるから言ったんだろうし。

やりますよ。

やりますともさ。

やらいでか。

お。五七五。


「いい? 」


お? おぉオいっすぅ!

むぉ?!また変な声出ちゃった?!

いかんいかん、余分な事考えてたよ。

集中集中。

…うん、大丈夫。いつでもどうぞ。


「いくよ〜? せーの、」


スイッ、スイッ、クルリ、フワリ。

なづなのリードに合わせてステップを踏み、柔らかく舞う。

ステップそのものはと言えば、普段から自分でやっている動きと大差ないので違和感は無い。上半身の動きにしても、さっき覚えたから問題なく動けている。はずだ。…たぶん大丈夫。

ステップの鋭さに比べて上半身は嫋やかに優しく、それでいて大きくダイナミックに。

ああ、なんか馴染んできた。

というより“思い出してきた“…かな?

思い返してみれば、習い始めたばかりの頃は『大きく、ゆったりと 』って言われていたはずだ。それが段々と慣れてくるにしたがって『鋭い踏み込みが格好良い』とか『機敏な動きが美しい』とか、そんな風にボクの意識が変わっていってしまったのだろう。

実際、半年くらい前は競技ダンスの動画とかケーブルテレビの番組なんかをよく観てたからね。しかも、だ。よりによって世界大会とかのヤツを。アレに影響された感は…あるなぁ。

ダンスに限らず色々なスポーツ…いや、それこそ何事においてもなんだけれど、『 慣れてきたな 』って頃に何か理解(わか)った気になってさ、自分流のアレンジ入れて調子を崩しちゃったり、当然の様に出来ていた事が突然出来なくなっちゃたり、果ては()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()なんて事よくあるじゃない?

今回のボクの場合って正にそれなんじゃないかな?

要は…素人(ヘタクソ)が調子に乗って基本を疎かにした挙句自己流に()()()、妙な癖がついた歪なスタイルになっている事にも気付かずいい気になって、その事実を目の当たりにして愕然とし、一丁前に落ち込んだ、と。


…うぐぐ…言葉にすると結構ダメなヤツだな…ボク。自惚れが過ぎる…。

ま、まあ、自省、反省、内省、自戒、自己省察は大切な事だからね、今回は成長の為の良い機会をもらったと思えば…うん。


おっと、自己嫌悪や内観は後回し。

考えすぎるのも遺憾なぁ…集中って言った傍からこれだよ。

今は なづなのリードで踊る。()()()()でいいんだ。


()()()()していた思考をグッと押し込め、改めて踊る事に意識を持って行く。

なづなの顔を見れば、さっき迄とは違い余裕の笑みを浮かべていた。









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