ほわいどんちゅーだんす⑩
「どんな…と言われても…ちょっと変わった可愛い子…? 」
なるほど?
確かに なづなは可愛いからね。
うん。実に正しい認識だと思う。
そしておそらく『 ちょっと変わった 』の方はボクの事だろう。普通から大きく逸脱はしていなくても、若干、若干ね? 変わり者かなぁと思わなくも無いからさ。いや、自分ではそれ程変わってるとは思わないのだけれど…周りの反応を見るとね…ちょっとね、ほんのちょっと、ね。
とはいえ、改めて『 変わっている 』言われると少々ショックではあるけれど…これもまぁいつもの事だし、精神的ダメージを喰らう程の事でもないのでいちいち気にはしないです、はい。
「変わってるよねぇ。見た目もこんな感じだし。」
なづな がそう言ってポニーテールに結えたボクの髪を一房持ち上げ、サラサラと流して見せる。
「まぁ、私は気に入ってるけど。」
『手前味噌だけど、綺麗でしょ? 』だって。
なづな が自賛するのはなかなか珍しいが、これに関しては完全に同意である。当然ながらボクだって気に入ってますとも。なんたって なづなとお揃いで、稀に見る色合いの自慢の逸品ですからね。
…っと、それはそれとして。
凛蘭さん、ステップをいくつか覚えたって言ってたよね? どう? 踊ってみて。ちょっとは楽しめてる?
「急に話題変えたね? 」
はい。そーいうツッコミは入れなくていいから。
まぁ…正直な話さっきの話題に乗っかっていたら、またバンバン脱線して行ったであろうからね。事前に話題を修正しようと思ったのは概ねその通りです。
「確かに。で、どうかな凛蘭さん? 」
「まだ教わったばかりだから、足元ばっかり気にしちゃいますね。1人でやっている分には良いんですけど… 」
あぁわかる。パートナーが居ると足を踏んじゃうんじゃないかって心配になるよね。ボク達も最初の頃は結構おっかなびっくりだったもんなぁ。
ボクの場合は なづなが上手に避けてくれたからそうそう踏んじゃう事は無かったけれど、相手の足を気にし過ぎるのも逆効果なんだって。
踏まない様にって思うと、そのうち踏んじゃっても大丈夫な様に足先に体重を載せなくなっちゃって、しっかりした体重移動が出来なくなっていく。そうなるとステップそのものがおかしくなって動きが小さくなり、相手に着いていけなくなる。そしたら次は何とか着いて行こうとして無理にステップを大きくとって、やがて足を踏む…と。
堂々巡りになる訳ですよ。
「まぁ今のは極端な話だけどね。足を踏まない様にって考えると、足のない所に踏み出そうとしちゃうんだよね。」
うんうんと頷いて『 わかるわかる 』と同意を示した後、『 でも 』と区切って
「それだと せりが言ったみたいに動きがバラバラになっちゃうから踏み出す場所は相手の足の間。ちょっと遅らせて足を着くつもりでいると良いかもね。」
…また難しい事を言う…。
ちょっと遅らせてとか…そんなの慣れないうちは分かんないって。
「そうかな? リズムが合っていれば上半身の動きで判るじゃない。」
こんな風に、ってフワリと上半身を捻って見せる。座ったままだから本当に身体を捻っただけなのだが…ちゃんと踊っている様に見えるのは動きがそれらしいからだろうか。
実に滑らかな動作である。
…あれ? なんか凄く柔らかくなってない? 確かにだいぶ良くなったとは言われた気がするけれど…『キレが良過ぎる』を意識した直後でこれだけ修正出来ているとは…。
あまりの変わりっぷりに驚いていると、なづな はクックッと笑って、さっきと同じ様な動きを片腕だけでやって見せる。
けれどこれは…先ほどとも少し違って見える。なんというか、もっと…
「んふふ、 ぬるっとした動きだったでしょ? 」
ぬるっと!表現はアレだが確かにそんな感じだった。え、なにこれ?!
『タネ明かしは後でね』とはぐらかされてしまったが、凛蘭さんとの会話の最中であった訳だし…これは仕方ないか…。




