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すいんぐばい⑤

加筆予定です。






「うん、よし。これでOK。」


「お〜、ありがと なづな。」


桂ちゃんの服装を整え満足げな表情を見せる なづなと、屈託のない笑顔で礼を述べる桂ちゃん。

うむ、やはりこの光景は最近見ていなかったな。

何時ぶりだろう?

え〜と…前回見たのは…

あ、前年度の修了式…だったろうか? 確か…遅刻ギリギリで滑り込んで来た桂ちゃんのボサボサになってた髪や制服を、小言混じりに整えていたんじゃ…なかったかな?

春休み中に顔を合わせる事があっても、その時は普段着だったりジャージだったりと、敢えて整える必要の無い服装だったしね。

進級式の時は確か…走ってきて、捲し立てて、クラスの確認をして、お姉さまの手伝いがあるからって走り去って行っちゃったんだ。

うん、そうだそうだ。そうだった。

あの時は なづなは手を出していない、普通に会話をしただけだった。あの時は全く疑問に思わなかったけれど、走って来たんだからタイもセーラーカラーも乱れていたはず。それに気づいていないワケが無い。

にも関わらず()()()()()

今回だって似た様なものなのに世話をやいたのは何故だろう?

何か理由が? 進級式の時とないか違いは…?

いやまぁ、どうでもいい事と言えばどうでも良い事なのだけれど、ちょっとだけ気になっちゃったな。あとで…移動中にでも聞いてみようか。


「小梅さんもボウリング、やるの?!」


服装を正し終えた桂ちゃんが近づいて来て、シュッとボウリングの投球フォームを作ってみせる。


「ええ、ちょっとね、得意なの。」


“得意”なのか。

同い年くらいの子でボウリングを“得意”だと言ったのは小梅さんが初めてかもしれない。まぁそもそもボウリング場が少ないのもあって、日常的にやるモノでもないしねぇ。当然と言えば当然か。


「ほほう、では御手並拝見といきましょうか。」


「うふふ、負けないわよ? 」


ちょっと桂ちゃん…そんな上から目線で…小梅さん、たぶん結構上手だよ?

かなり自信有り気だし。まぁ桂ちゃんの事だから言葉の意味を履き違えているのだろうが…後で()()()()()訂正しておこう。


「それでね、実は南口路線のバス…さっき出ちゃったんだけど、どうする? 待つ? それとも歩いちゃう? 」


お? なづなが歩きの提案をしましたね。

小梅さんを歩かせるのは、ちょっとなぁ…なんて思ってたんだけれど、歩いた方が早いのは間違いないし、バスを待っていたらその分帰宅が遅くなるんだから、避けた方がいいよなぁ…。


「さっき行ったんだったらバスが戻って来る迄時間あるよね? なら歩いちゃおうよ。駅までだから大してかからないし。ね、小梅さん。」


「そうしましょう。実は私、駅のこちら側を歩いた事ないのよ。」


え?!

そうなの?!

あ、いや、お社の方が生活圏ならそうかもしれない。

ショッピングモールに行くとしても家族と車でとかだろうし、駅の南側は栄えてるとは言い難い街だから態々(わざわざ)見て回ろうとは思わないだろう。なんたって大きな施設は市立総合病院と自然公園くらいしかないんだから。


「案内するほど見る所もないけど、ぼちぼち行きますか。」


「ここからだと、どのくらいかかるの? 」


ん~…20分くらいかな。

ゆっくり歩いても30…はかからないね。

光さん達ともお喋りしながらプラプラ歩いていたけれど、あっという間だったし。


「あ、そのくらいなんだ。ウチから国道沿いのボウリング場に行くよりも近いのね。」


は? お社から国道沿いの? って…え? ボク、裏道とか全然知らないから少し違うかもだけれど、歩いたら40分くらい…かかるんじゃない?!

そのボウリング場もう無いのだけれど。でも、そうか、得意って言ってたくらいだから通っていた可能性もあるのか? 歩いて、じゃないよな…あ、でも自転車なら余裕か?


「あ、ちがうの、歩いて行っていた訳じゃなくて3kmちょっとだったはずだから、そのくらいかなって思っただけなの。」


ああ、なんだ、時間的にそのくらいの距離だろうという推察って事ね。

なるほどなるほど。


「いっちばん長く感じるのは下の信号までの坂だよ。まっすぐでずっと見通せちゃうから妙に長く感じるんだよね。でも、それさえ抜けちゃえばアッという間だから。」


そうそう。坂を下ってしまえば、あとは入り組んだ道をクネクネと進むからね、あまり長い道を歩いている様な感覚は受け無いはずだよ。それに話しながらだからだと一層短く感じるはず。まぁ直ぐだよ直ぐ。

校門をくぐり学校前の坂道を下る。

先日も通ったけれど、カーブを抜けて道が一直線になる辺りの景色がさ、街を一望のもとに見渡す事が出来る程に(ひら)けるんだ。普段はバスで通る道なので前後の景色というのはあまり目にしないのだけれど、徒歩の時に見える開けた視界いっぱいに広がる単独峰の美しさ。これは毎日見ても飽きないと思う。

…などと、地元民相手に観光案内をしながら長い坂を下っていく。

“見る所がない”なんて言っておきながら市内を走る川や水路、それに纏わる信仰などの解説をしていたら、あら不思議。いつの間にやら既にボクらの家のすぐ近く…ボクらが通学に使うバス停まで数十メートルという所まで来てしまった。

が、しかし。

本日の目的地はショッピングモール内のボウリング場。

バス停を少し過ぎた辺りで東西にはしる所謂バス通りへと曲がり、更に歩いていると、向かい側から明之星のスクールバスが走って来るのが見えた。

おぉ…今から学院に戻るのか…これ、歩いて来て正解だったね。

学院でバスを待っていたら、ボウリング場に着くのがあと30~40分遅れてたって事だもんなぁ…。





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