すいんぐばい③
すすすすいません!
超冒頭のみで投稿してしまいました…!
消すのも…アレなのでこのまま加筆致します…
ちょっと怪我をしまして心が折れてました…。
明日、手術だそうです…。
「さて、私達もお先に失礼するわね。」
あ、彩葵子さんに皐月さん。
日誌書き終わったんだ、ご苦労様です~。
もう帰っちゃうの?
「ええ、現状居ても役に立てないしね。」
チラリと椿さん達に目を遣って小さく手を振った。
沙羅さんは気付いた様で手を振り返してくれるが、椿さんはモニターをみつめたまま気付きもしない。集中力が凄いと言うか…すっかり夢中というか。沙羅さんに肩を揺すられて、ようやく気付くといった有様だ。
あの集中力は椿さんの長所だよね。
半面、のめり込み過ぎるという短所でもあるのだろうけれど。
「じゃあまた来週。ごきげんよう。」
「ええ、また週明けに。」
「気を付けてね。」
寄り道しないで帰るんだよ~。
「…これから寄り道をする気満々の人に言われてもね…。」
あ、聞いてらっしゃったんデスか。
スイマセン。
「まぁ、あまり遅くならない様に帰りなさいよ? 小梅さんもね。」
「ええ、そのつもり。」
にこやかに挨拶を交わし彩葵子さんと皐月さんは教室から退出してゆく。…あ。ボウリング誘ってみればよかったかな? 濃い交流をしていたから麻痺してるけれど、まともに話すようになったのってつい数日前なんだよね…。交流を深める意味でも一緒に遊ぶというのは良い手だった気がするのだが…むう、失敗した。
まぁこれから先にも機会はあるだろうから、その時は誘おう。
「椿さん、そろそろ時間よ。降りて待ちましょう? 」
ん?
今のは紗羅さんか。
『時間』と言うのはスクールバスの発着時刻の事かな?
ちらと黒板の上にある時計を見れば、既に15時を回っている。
思ったより時間経ってた…って、この時間でまだ桂ちゃんから連絡来ないって事は、庭球部って部活終わってないの!? 試験前なのに頑張り過ぎじゃ無い?!
「私達もそろそろ降りようか。」
まだ桂ちゃんから連絡ないけれど、下で待つの?
部活終わってないんじゃないの?
「ううん、終わってるはずだよ。早ければそろそろ着替えてる頃だと思う。」
何故にその様な確信を持って言えるのか…なづながキッパリ言い切るくらいだから、何かしら根拠があっての発言だとは思うのだが…そんな話をテニスコートでしてた覚えはない…よねぇ? はて…?
「今日、部活動は15時迄なんだって。」
「あ、そうなの? 」
「うん。さっきソフトボール部のお姉様に聞いたの、試験前だから15時でお終いなんだって。『部活終われば撮り放題なんだけど、3時迄待たせるのも悪いし、休憩短いけど我慢してね。』って。で、ソフト部は3時迄なんですか?って聞いたら『部活が』って言われたわけ。」
なるほどね。
確定情報な訳か。
「桂ちゃんの事だから着替えながら電話寄越すんじゃないかな? 『今どこ?!』って。」
ああ、ありそうだねぇ。
いや寧ろその言い方以外の想像が出来ない。
「っと、言ってる側から…。」
スカートのポケットに入っていたスマホを取り出し『ほら、桂ちゃんだ』と呟いて、スイッと画面を撫でると途端に桂ちゃんの声が響きわたる。スピーカーにしたらしい。
『あ!なづな? 今どこ? 直ぐ出られる? 私はね、今着替えてるとこだからもうちょいかかる。どうする? 玄関で待ち合わせで良い? それともロータリーのバス停? あ、待てよ、もしかしてまだ忙しい? もしそうなら私がそっち行くけど、って、今どこ?!」
うん、こちらに喋る隙を与えない一気呵成の質問ラッシュの挙句最初の質問に戻っちゃったよ。だから、少しは喋らせて?
まぁ今回の電話はなづな宛だから、喋るのはなづななのだけれど。
その なづなは、くすくすと笑いながら、思いっ切り体から離して持っていたスマホに向かって、ゆっくりと話し出す。
「私達はまだ教室。今出るとこだったんだけど…そうだね、ロータリーにしようか。桂ちゃんも慌てなくて良いからね? いい? 慌てなくていいんだからね? 」
…お母さんかな?
『あはは、わかった。ゆっくり行くよ。じゃあロータリーで。』
「うん、またあとで。………だってさ。」
りょ〜か〜い。
それなら、ぼちぼち降りますかね。
小梅さんもOK?
「うん、準備できてる。」
ひょいと持ち上げた鞄を、ポンと一つ叩いて見せる。
ボクも問題なし…ないよね…教科書は全部入れたし筆箱も入れた、辞書は置いてっても大丈夫だし…
「携帯は? 」
あ……いや、大丈夫。ポケットに入ってた。はず。
慌ててスカートのポケットを上から触って感触を確かめれば、確かにスマホの形を確認出来る。うん、ある。うぅむ…やはりどうも持ちつけないというか何というか…いや携帯なんだからちゃんと携帯しろよってハナシなんだけれどさ。
「ん。じゃあ行こうか。椿さん、紗羅さん、お先に。」
「あ、はい!ごきげんよう。」
紗羅さんが、相変わらずモニターと睨めっこしている椿さんの肩を叩くものの、集中しすぎているのか全く気づいていない様だ。
あっはっは、いいよいいよ、放っといてあげて。折角集中してるのを邪魔するのも悪いからね。っていうか任せちゃってごめんね?
それじゃ、また来週。
シュタッ!と手を上げ、なんちゃって敬礼をすると、紗羅さんは苦笑しながら、ひらひらと手を振って挨拶を返してくれる。
むぅ…敬礼、ウケなかったかぁ…まぁ今迄でウケてくれたのって、桂ちゃんだけなんだけれどさ。
たわいもない話をしながら玄関へと向かう。
階段を降りながら、そういえば今日はここを何度も通ったっけなぁなんて考えていたら、ふと今日会った一年生の二人の事を思い出した。
そうそう、「カクタ ユズ」ちゃんと「ツノダ ユズコ」ちゃん。
ユズとユズコだったので漢字は『柚子』だと勝手に思っていた。なぜか? そりゃあ知己に柚子ちゃんがいるからだ。野中柚子ちゃんと読み方が同じだったから、思い込みで『柚子』と書くものだと思っちゃったんだよねぇ…。
いやまぁ『柚子』であってくれた方が面白いから、是非そうであってほしいんだけれどね。
「へぇ。同姓同名はそこそこ居ると思うけど、同じ字で読みが違うのは珍しいかもしれないわね。」
だよね。小梅さんもそう思うでしょ?
苗字で読みが違うのって、ぱっと思いつかないもん。
「…そうでもないんじゃないかな? 」
なに?
なづな、そういう人に心当たりあるの?
「真弓お姉さま。『タツカワ マユミ』でしょ。」
…あ。そっか、普通に読んだらタチカワか。
タチカワ マユミさん…むぅ、普通にいそうだな。
「なづなさんと せりさんには読み違いの名前の人はいなさそうね。」
いないだろうねぇ。
いたらビックリだよ。
だって、平仮名だもん。




