あふたーすくーるあくてぃびてぃ㊿
加筆予定です。
「3人とも、写真選ばなくても良いの? 」
彩葵子さんが、飲み物を片手に僕たちの方に歩いて来る。いまだPCの画面を見てはワイワイと騒ぐクラスメイト達から避難してきた、といった風情だ。お顔にお疲れが滲んでいる。
あぁ、ボクはいいや。
正直に言って写真に関しては、直感的に“良い”と感じる事はあっても『これとコレを比べて何方が良いモノか選ぶ 』なんていう事は出来ない。圧倒的に写真という物の知識が少な過ぎるのだ。知識が無ければ何が良くて何が駄目なのか、構図、背景、余白、光の加減、それぞれがどんな状況でどう作用するか、全く理解らないのだから。
まぁ、明らかに駄目な物は流石に分かる。
例えば、そうだな…『背景が綺麗に撮れてて被写体がブレブレ』とかね。
……いやでも、それも味か?
…狙ってそういう写真を撮る事だって有り得るのか…ふむ…いやしかし…わざわざそんな…あぁでも、もしかするとそういうアートだって言われたら…いやいや、今回に限ればアート関係ないから。けれどもし…もしも、そんな狙いがあったのだとしたら……むぅ…
って、ほらぁ!ね? わかるでしょ!?
知識が足りないからこんな風に迷っちゃうんだよ!
こんなんで選べる訳ないじゃん!
……こほん。で何だっけ?
ああ、そうそう写真を選ばなくて良いのかって話だったね。
えっとね、強いてあげるなら小梅さんのアレがイチオシってくらいで、自分のは使われてようが使われまいが如何でも宜しい。結果良いものが完成すれば良いのだ。
という訳で、ボクは大丈夫です。
「私も特に…この後の編集を頑張ります。」
紗羅さんも写真そのものにこだわるよりも、上手に、効果的に見せる方が難しいので、其方に注力するという。もちろん良い写真は多い方が良いけれど、そこは皆さんにお任せします。だそうだ。
「う〜ん…自分ではなかなか見栄えのする写真が撮れたと思うけど…使う使わないは任せるよ。みんなのだってそれぞれ良かったもん。私には選べないなぁ。」
「同じく私も選べないわね。っていうか、ずっと画面眺めていたらクラクラしてきちゃったわ。椿さん凄いわよね、あれだけ眺めてて平気だなんて… 」
あぁ画面酔いってヤツですかね?
あれって車酔いと同じなんだっけ?
それならちょっと楽になる方法が…
「せり。ちょっと待って。」
…ツボの事を言おうとしたのだけれど、何故か なづなに止められた。なんで?
「彩葵子さん少し待ってて。」
「え? ええ。」
そう言って なづなはクラスメイト達が集まっている場所へと近付いてゆき、その一団の中にいる皐月さんに声を掛けた。
なにかヒソヒソと話しているが、流石にここからでは聞こえない。
まぁ、ボク達に聞こえない様に小声で話しているのだろうから当然といえば当然か。『ボク達に』というより彩葵子さんに、かな?
おかげで なづながしたい事はなんとなく理解ったけれど…それ、お節介じゃないかなぁ…大きなお世話って思われたりしない? そもそも皐月さんの気持ちを直接確かめた訳じゃないし、下手をすると最悪ボクらの勝手な想像、妄想だったなんて事も…いや、いくら何でもそこまで間違ってはいないか…。
と、心配していたのだけれど、どうやら杞憂であった様で、少し戸惑いながらも引かれる手に抗わずついて来ている。
「彩葵子さん彩葵子さん。皐月さんがね、いい方法があるって。」
「いい方法? 」
「画面酔いの解消法。ね、皐月さん。」
「う、うん。そ…そう。」
ああ、やっぱり。なづなは、皐月さんに“マッサージ”というスキンシップをさせるつもりなんだ。見る限り、皐月さんもその提案を受け入れている様子だ…ふむ、お節介やら大きなお世話やらって思われてはいないみたいで一安心、かな。
「はい、彩葵子さんはここ座って。じゃあ皐月さんそっちをよろしく。」
「は、はい。」
あ、二人掛かりで両腕同時なんだ。
腕のツボって痛い所が多いんだけれど、今ふたりが押している酔い止めのツボは全然痛くないんだよね。その所為かイマイチ効いている気がしないんだよなぁ…あの『あぁ~効いてる効いてる…』って感じが無いんだ。
あ。あくまで個人の見解ですからね? ちゃんと効きますよ?
「ど、どうかな? 」
「ん~…目が回ってる感じはなくなった、かな。」
「まだ駄目かぁ、じゃあ皐月さん脚やってあげて。」
「う、うん。彩葵子ちゃん、脚、出してくれる? 」
皐月さんが彩葵子さんの正面にしゃがみ込んで上履きを脱ぐようにと促すと、ヒュッと足を引いて椅子の下に隠してしまった。
「え? 脚? 脚って、え? 足の裏? い、痛いのはイヤよ?!」
「違う違う。脛の横だよ。痛くないから大丈夫だよ…たぶん。」
たぶんって。なづなも適当だなぁ。
いや、それよりもだ。酔い止めのツボって脛の横にもあるんだね?
それは知らなかったなぁ。お腹に効くツボが脛の脇にあるっていうのと、膝の斜め下に超痛いツボがあるのは知ってるんだけれど…あれは何のツボだったっけ? …あとでパパに聞けばいいか。
「ホントに痛くない? 絶対? 」
「痛くしないから、脚、出して? 」
皐月さんに言われて渋々と脚を出す。
おや? まじまじと見たのは初めてだが…彩葵子さん脚長いね?
「ちょ…!何を…!? 」
いえね? 膝下が長くてバランスが良いと言うか?
肌だってさ、どこかの文学表現に『若い桐のように足のよく伸びた…』みたいなのが有ったけれど、色白で光沢があり正にそんな感じだ。
要は足が綺麗だって事なんだけれど。
あ。誤解のないように言っておくけれど、脚だけじゃないからね?
「わかった!わかったから、あんまり見ないで!? 」
スカートをグイッと引っ張って脚を隠そうとするんだけれど、既に片足は上履きを脱がされて皐月さんにホールドされている。したがって見放題である。
まぁ、あまりしつこくして嫌われちゃったら悲しいので、程々にしておくけれど。
腕はなづなが 脚は皐月さんが、それぞれ揉んでいるのだが今一つ手答えがよろしくない様に感じる。もっとこう…桂ちゃんみたいなオーバーリアクションと迄とは言わないけれど、反応がね? 欲しいなぁなんて思ったりするんですよ。
桂ちゃんの場合は運動後のストレッチやリラクゼーションなので今回の彩葵子さんと同列ではないのだが、やはり物足りない。物足りないが…!
さっきも言ったように嫌われちゃったら元も子もないので、ぐっとこらえて口には出さずにおく。
…こんな事を言うと変なヤツだって思われそうだし。
ボクが変わっているのは事実だけれど、さ。
…沙羅さんもやってみる?
っていうか、やられてみる?
「え?!いえ、私は大丈夫です!」
そう? 別に遠慮しなくてもいいんだよ?
ボク揉みほぐすの結構上手だし。




