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あふたーすくーるあくてぃびてぃ㊾

「ただいま。どう? 良いの集まった? 」


僅かな希望が粉微塵に砕け散った哀しみの余韻に揺られていると、ガラリ、と教室のドアが開き彩葵子さん達が入って来た。

“達”というのは、彩葵子さんだけではなく、飲み物を買いにミルクホールへ行っていた一団が一斉に戻ってきたからだ。

ん? …あれ? 増えてる?

あ、校庭に残った子達が写真撮り終えて合流したのか。

随分早いね。おかえり〜。


「お帰りなさい。かなり良いですよ。見て下さい。」


「どれどれ?」


わらわらと集まって来るクラスメイト達に座っていた場所を明け渡し、ボク達は数歩離れた場所に移動する。ボク達は一度見てるからね。それにみんなも正面の方が見易いでしょう?


PCのモニターを覗き込みながら、あれが良いこれが良い、わいわいがやがやと意見を交わしている。

その中でも なづなと小梅さんのはとても好評だった。次点でボクのって感じだ。

なづなの? いやもうプロっぽ過ぎて評価の対象外になってたよ。良い悪いを超えて『凄い』しか感想が出てきていなかったもん。語彙力が家出したみたいな感想だネ。


「なづなさんは抹茶でよかったんですよね? せりさんは、いちご、と。」


はいどうぞ、と紗羅さんが飲み物をボク達に手渡し、そのまま並ぶ様に壁に寄りかかる。

あら、ありがとう。


「あとは全員の集合写真だけ撮れれば、だいたい終わりですね。」


そうだね。素材はそれで一応は揃うんじゃないかな?

でも問題はその先なんだよねぇ…。素材を繋げて一本の映像作品にする訳だけれど、ボクにはその編集に関わる部分の知識も技術も無い。手伝えないどころか全く役に立たないんだよ? 椿さんは『自分がやる』と言ってはいるけれど、椿さん一人に皺寄せが行っちゃってるのがなぁ…。そもそもボクらが先頭に立ってって話だったのに、気づけば皆に頼りきりで何も出来て無いんだもん。

非常に申し訳ないよねぇ…。


「大丈夫です。なづなさんと せりさんの写真と動画、バッチリ目立つ様に使いますから。充分な貢献だと思いますよ……。」


んん…? 最後に小声で『後の迷惑料込みで』って聞こえた気がするけれど…それがどういう意味なのかは解らないが、役に立っているのならば…まぁ…いいか。

…いいかなぁ?


「それに編集作業は私も手伝いますし。椿さんだけに頼っている訳じゃないですからご心配なく。」


あ、そうなんだ。凄いな沙羅さん動画編集も出来るんだね。ボクはそっち方面はまるきり疎いんで、今回はお任せするしかないのだけれど…またこういう事があるかもしれないし、ちょっと勉強してみようかなぁ。


「やってみると意外と簡単にできちゃいますよ。」


ふむ、なら暇を見て少しやってみようか。


とはいえ、そっち方面には明るくないからなぁ…出来れば誰かに教えてもらえれば助かるんだけれど…。

あ、じゃあ紗羅さん、わかんなくなったら聞いても良いかな? ボクPCなんて調べ物するくらいしか出来ないからさ、かなり初期の段階でつまづいちゃうと思うんだよね。

どうだろう? 頼んで良いかな?

そう言うと『そのくらいなら何時でも』と紗羅さんは快く了承してくれた。とても嬉しそうだ。

…うん…?

…もしかして…もしかしてだけれど。

紗羅さんって“頼られるのが嬉しい人“なのかな? ちょいと失礼かもしれないが、紗羅さんって身体も小さいし見た目が幼いから、どちらかと言えば守ってあげたいと思わせるタイプなんだよね。多分クラスの皆もそう思っているんじゃなかろうか? おそらく彼女の友人達も。

そのせい…かどうかは判らないけれど、頼まれたり頼られたりっていうのに喜びを感じるのではないか?

…言ってしまえば劣等感(コンプレックス)の裏返しなのだけれど…それが良い方に働く場合もあるので一概に悪いとは言えない。


クラスで一番年上って(アピール)もしていたし…なんかそんな気がする。まぁボクも頼まれると張り切っちゃう方だから、人の事は言えないんだけれど、ね。

それにしても……嬉しそうな紗羅さん、なんか仔犬みたいだねぇ。ブンブン振ってる尻尾が見えs…アゥチ?!


「ど、どうしたの?!」


突然呻いたボクの声に驚いて、みんなの方を見ていた紗羅さんが此方に振り返えった。


「平気平気なんでもないよぅ。ちょっと手が当たっちゃっただけ。せりったら大袈裟なんだから。」


「そ、そうですか? 」


いやいや!実際にはなんでもなくはないよ!?

紗羅さんの笑顔が『仔犬っぽいなぁ』って思いかけたところで、右脇腹に抜き手をかまされたんです!なづなに!勿論、本気でやられた訳じゃなくて“突かれた”程度ではあるのだけれど、これがまた地味に響くんですよ。

っていうか突然なにすんの!?

びっくりしたでしょうが?!

なづなはジトリとした目を向けてきて、ボクにだけ聞こえる様に小さな声で


「今、なんか失礼な事考えてたでしょ? 」


…だって!

そそそそんな事はないヨ?!紗羅さんが可愛いなぁって思ってただけでね?!決して失礼ではないと思うよ?!


「…ふぅん。」


『ふぅん』て。

…なんなのもう。

嘘じゃないよ? ホントだってば。

…言ってない事はあるけれど。

まぁ、なづなの方は特に不機嫌になっている訳じゃあなさそうだし、察するにボクの『考えてる事が顔に出てた』からツッコミを喰らった…ってところかな?






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