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あふたーすくーるあくてぃびてぃ㉛

本来ならば 『あふたーすくーるあくてぃびてぃ㉚」中盤以降となる部分なのですが、昨日加筆出来なかった為、分割させて頂きました。


大変申し訳ございません。

「そうそう。それにね、こういう時は“ありがとう”の方が良いんじゃないかなぁ。」


「でも…いえ、そうね。沙羅さんありがとう、助かったわ。」


「いえいえ、どう致しまして。」


クスクスと笑いながら椿さんからの御礼を受け取る沙羅さんの顔が、なんというか、少しお姉さんっぽい? 何か少し大人びた印象というか、ほんの数日程前に初めて見た時とは随分と違って見える。沙羅さんはウチのクラスでも相当に小柄で、見た目の印象だけならば間違いなく“妹”キャラだし、ボクもそんな風に思っていた。けれども今の顔は…ちゃんと年上に見える。

…っと、これは流石に失礼か?

沙羅さん、ごめんなさい。

まぁ誕生日が早いから実際にはクラスで1番のお姉さんなのだが…ひょっとすると精神的にも少しお姉さんなのかもしれないな、なんて思った。む…これも大概失礼な言い方では無かろうか? 反省。

あ、でも、ボク達もお姉さんっぽいって言われたんだよなぁ、沙羅さんに。

最後に『 容姿は兎も角 』って一文が付いていたけれど…。

ところで…ねぇねぇ、なづな?

ちょいちょいと服を引っ張って小声で話しかけると、なづなも一層潜めた声で返事を返して来た。


「…なに? どうしたの? 」


「…凄くどうでもいい話なのだけれど… 」


「うん。」


「なんかさ、椿さんと紗羅さん、随分親しくなってない? 」


「…そう? 席も近いし普通に話してるだけなんじゃないの? それに放課後よく一緒にいるんだもの、あんなものじゃないかなぁ? 」


いやいや、それは理解(わか)るんだけれどさ。

…なんていうか…なんだろう…?

こう、ほら、あれだ、砕けてるっていうか…

…あ!

それだ!

言葉遣い!

そうだよ、それだよ!

二人で話す時には普通に喋っているのに、ボク達には()()()()で話してるんだよ!


「…何? ヤキモチ? 」


「そ…!…そういうのじゃないけど…!」


少し予想外の切り返しに、思わず大きな声を上げてしまうところだった。あぶない、あぶない。そんな事でヤキモチとか。ナイナイ。


「私達にだって菫さんや光さん、彩葵子さんも砕けた口調で話してくれてるじゃない。何かご不満? 」


「だからさ、椿さん達にはまだ距離を取られているのかなぁって。」


「…しょうがないね。まだそこまで信頼を勝ち得ていないんじゃな…い……あぁ、これかぁ…そうか、なるほど、そうかぁ… 」


言っている最中に表情を変え、終いには天を仰ぐ様に上を向いて独り言の様になってしまった。

え? なに? どういう事?


「馬鹿丁寧な話し方について。」


「馬鹿丁寧って、菊乃お姉さまに言われたヤツ? 」


なんの話かと思えば…随分と唐突に話が変わったね?


「そう、それ。お姉さま達は私達の言葉遣いが丁寧であればある程『自分達はまだ信頼されていない』と感じていたんじゃないか、って事。」


ええ? いや、アレはただ単に目上の人に対する礼儀として使っているに過ぎないのだから、信用信頼が無いとかそんな訳ではなくて…


「うん。私たちが()()()()()でも、相手はそう取ってはくれない…んじゃない、かな。」


そ…れは……ん?


「お姉さま方が『距離を取られている』って感じているとしたら…。」


「で、でも、いきなり砕けた態度なんてとれないよぅ。」


「うん、わかってる。適切な距離感を測りかねているって感じだもんね。だから失礼の無い様に(かしこ)まっちゃう。それ自体は間違いじゃあないと思う。私達の癖みたいなモノ、育ちの問題だしね。」


まぁそうだね。礼儀作法はママが、言葉遣いはパパがうるさかったから、小さい頃からみっちり仕込まれたもんなぁ。


「菊乃お姉さまが言ってたでしょう?『ちょっとずつ直していきましょう。』って。あれ、今考えると“私達を知って頂戴”って意味なんじゃないかなってね、思うんだ。」


ふむふむ。


「私達はここに居るから寄っておいで、って。」


うん…うん?


「で、それを踏まえた上でさっきの話に戻るんだけど…。」


さっきの話?


「椿さんの言葉遣い、だよぅ。」


あぁ、はい。それか。

…そんな呆れた顔しないで?

ごめんて。

先をどうぞ。


「 椿さん達に私達を知って貰わないといけないんじゃないかなぁ。」


え? 知ってもらうって言たって…いやボク達、壁を造らずオープンに構えてるよね? 如何しろと?


「…わかんない。」


わかんないのかい!


「そんなの答えられる程の知識も経験も無いよぅ。」


…そりゃそうだ…。


「想像でしかないんだけど、椿さんって私達の事を微妙に遠く思ってるんじゃないかな? 例えば…檻の中のライオンみたいな、近くに寄れるけどお触り厳禁、入るな危険!的な。」


ひっどい例えだなぁ。


「私達に出来るのって、怖くないよ〜危なくないよ〜って示し続ける事しかないんじゃないかなぁ… 」


具体的には?


「ん〜…いつも通りに振る舞う事、かな。」


それが解決策?

なんか“時間が解決してくれる”みたいな感じだねぇ。


「うん、まぁそうだね。無理に『フランクに接して』なんて言ったって、()()()()()()()はなれないもの。普通にゆっくり関係を構築しないと。奥手な人は特に、ね。」


…なるほど。

なんかわかった様な、わかんない様な…。

まぁ なづなが言うなら“当たらずと(いえど)も遠からず”なのだろう。

じゃあ当面は、慌てずゆっくりじっくり仲良くなっていく方向で。

そうだな、二年生の内に軽口を叩き合えるくらいになるのを目標にしようか? そのくらいならいけそうじゃないかな? ちょいと遠大気味ではあるけれど、その位のつもりでいた方が気が楽というもので。

取り敢えず、対象者は椿さん沙羅さん皐月さん辺りがそのタイプだよね。あと凛蘭さんもかな。


「凛蘭さんは直感で距離が詰まるタイプだよ。彩葵子さんと似てるかな。」


え? そうなの?

てか、なんでわかるの?!


「趣味が合ったりすると門が開くタイプでさ、一気にグイッて近くなるんだよ。実際服の話したら饒舌になったもん。自分で縫ったりするって言ってたよ。」


いつの間にかそんな…あ、明日の約束した時か?

そっか、ボクは椿さんと話してたから聞いてなかったんだな。


「あの、なづなさん、せりさん、皐月さんが呼んでますよ? 」


ぅお!?

びっくりした!





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