あふたーすくーるあくてぃびてぃ㉚
…椿さん?
椿さーん?
おーい。
「え? は、はい? 聞いてます、聞いてますよ? 」
あ、そう? それなら良いのだけれど。
どうも写真のチェックに没頭し過ぎて、さっきから微妙に上の空というか、心ここに有らずというか散漫な感じがするんだよねぇ。集中するのは良いけれど“し過ぎる”のはちょっと問題だ。大丈夫かなぁ…? また何処かにぶつかりそうになったりするんじゃなかろうか…?
「沙羅さんがサポートするんじゃない? さっきみたいに、さ。ね、沙羅さん。」
「はい? え? いえ、あれはその……はい。」
あらあら、お顔を赤くしちゃって。
そんなに照れなくても良いでしょうに、ホホホ。
逆に椿さんは何の事か全然わかっていない様で、きょとんとしている。
「あの…『さっきみたいに』って…何の事ですか? 」
おや、椿さんは憶えて…ないよなぁ。そりゃあ、あれだけ集中していたら当然だ。傍から見ていただけでも正に没頭していたもの。
趣味人だけあって集中力は人一倍…いや人数倍といったところか。
「私達が見たのは渡り廊下の辺りからだけど…ずっと手元を見てた椿さんが壁にぶつからない様にって沙羅さんが誘導してたんだよ。こう、袖を引いたり肩を掴んだりしてね。」
なづなの身振り手振りの説明を聞いた椿さんはゆっくりと沙羅さんの方に首を回し、暫くの間パクパクと口を動かしたあと
「……え、ホントに…? 」
と、確認とも独り言ともつかない声をもらした。
「え、ええ…だって椿さんフラフラしてて危なっかしかったし、もし壁にぶつかったりしたら眼鏡、割れちゃうかもしれないでしょう? 大事な物だって言ってたから…ぶつからない様にちょっと方向転換してただけよ? 」
「あ、あぁ…もう、私ったら…。」
ごめんなさい沙羅さんと頭を下げ、髪の毛をくしゃくしゃとやりながら、それはもう申し訳なさそうな表情でうーうーと唸っている。
「そ、そんなそんな、別に大した事じゃないし!気にしないで!」
大した事じゃないかどうかは兎も角、そこまで唸る程の事?
もしかして何度も同じ事をしているとか?
「…そうなんですぅ~…私、何度も何度も…その度に反省はするのだけど、全然なおらなくて…。」
そんなに度々やってるの? 沙羅さん?
「ええと…まぁ、そこそこ? 」
ああ、これは頻繁にあの状態に陥ってるんだな。
やっぱり集中が深いタイプなんだね。
そういえば先日…あれは体育館に向かってる時だっけ? ボクが椿さんを抱き留めて転んだ事があったけれど、アレも何か考え事に集中しちゃってたんじゃなかったかな? ん? でもあの時はボクが何か質問をして、それで考えこんじゃったんだっけ…?
「気を付けているつもりなのに…沙羅さんホントにごめんなさい… 」
「ううん。別に嫌々やっていた訳じゃないし…私が進んでやっている事なんだからホントに気にしなくていいのよ? 」




