あふたーすくーるあくてぃびてぃ㉙
毎度申し訳ありません。
加筆予定です。
あ、なづな、皐月さん、みんな。
椿さん達戻って来たみたいだよ。
ほら、渡り廊下を歩いてるのが見える。
「えぇ…? よく見えるわね? 」
お喋りしていたクラスメイトの一人が、手で庇を作り目を細めて乗り出す様に渡り廊下の方を見ながら独り言つ。
ふっふっふ。この距離なら顔の判別くらい楽勝楽勝、造作も無い事ですよ。なんならどんな表情しているかだってばっちり見えてるからね。視力2.0は伊達じゃない。
…おや? 他の子の姿が見えないけれど…もしかして2人だけで行ってたの?
「ああ、そうそう。体育館は2人で行ったの。」
そうなのか。
いやしかし、庭球部は桂ちゃん1人に4人掛かりで、体育館には派遣されたのが2人だけというのは…なんか人数の振り分けが大雑把過ぎる気がするのだけれど…。なんでそんな振り分けになってるんだ? 何か理由が? よもやバレー部やバスケ部にはウチのクラスの子がいない…なんて理由じゃないだろうし、居なかったのならそもそも行く必要がないんだから振り分けた意味が無い。
「それは、ですね…。」
それは、なんでしょう皐月さん。
「なんとなくなんです…。」
なんとなく!
なんたる予想外!
理由そのものが無かった!?
「バレー部が今日はお休みらしくて、ついでにバスケ部にもウチの子は1人しかいないので…『じゃあ体育館とテニスコートで』って分かれたら…こんな振り分けに…。」
「そ、そうなんだ…。」
あぁ、個人の自由意志で適当に分かれたら偶然こうなったと。
ふぅむ、挙って庭球部に集まるなんて…桂ちゃん既にモテモテじゃん?
まぁね、今はまだ蕾だけれど、あと2〜3年もすれば褐色肌の素敵なお姉さまになるだろう事はボクが保証しちゃうよ?
根拠? そんなモノは無い。ボクの中に“桂ちゃんならそう成るであろう”という確信があるだけの事だからね。
そのうち『桂ちゃんの友達なんだぜ』って自慢出来る日が来るに違いないと思ってるもの。
…ごめん脱線した。
軌道修正。
「あれ? じゃあ彩葵子さんの方は何人行っているの? 」
「えっと、彩葵子ちゃん含めて…5人ですかね…。」
ひぃ、ふぅ、み、と指折り数えて人数を計る皐月さん。
あら古風。最近の子でそう数えるのは珍しい気がするなぁ。
「彩葵子さん達はグラウンドの方に行ってるんでしょう?そっちの部活はどのくらいあるの? 」
「ええ。陸上部とソフトボール部、それとハンドボール部ですね。」
みっつ!?
三つを回るの?
あ、でも5人いるなら手分けすれば良いのか…良いのか?
「…でも陸上部って、種目別に練習してるんじゃないの? 陸上部って、ウチのクラスの子何人いたっけ? 2~3にんいるんじゃなかった? 」
居た気がする…少なくとも赤池さん…香澄さんは陸上部だったはず。
他にも…あの時、下着談義の時に菫さんが話してた子達、あの中に桂ちゃんみたいな焼け方してた子が居たはず…あ~…誰だったかなぁ…!
もっとちゃんと意識して見ておけばよかった。
「ねえ、彩葵子さんに連絡してあっちに合流した方が良いんじゃない?」
うむ、確かに。
どうせここに居たってただ駄弁っているだけだし、何もしていないのと変わらない。ていうか、実際ボク達は合流しただけで何もしてないし。
如何だろう皐月さん?
椿さん達が着き次第、彩葵子さんに相談してみては?
「そうですね。ちょっと連絡してみましょう。」
皐月さんが再び携帯を操作し始めた時、ちょうど椿さん達が昇降口から出て来た。椿さんは画像チェックに夢中な様で、ふらふらというかヨレヨレというか、あっちに行ったりこっちに行ったりして危なっかしい。それでもぶつからずに済んでいるのは沙羅さんが甲斐甲斐しくサポートしているからだろう。
袖を引っ張ったり肩を押したり、時には強引に体の向きを変えさせたり。
あらあらまあまあ。
「ただいま戻りました…あ、せりさんに なづなさん。あちらは済んだんですね。お疲れ様でした。」
沙羅さんおかえり〜。そしてただいま〜。
“あちら”はですねぇ…思っていたのと少々違いまして、ホンの2〜3分で済んでしまいました。マキ先生も最初から言ってくれれば良いのにね。勿体ぶるからてっきり叱られるものだと身構えちゃっていたよ。
「そうなんですか? え? じゃあ何の用事だったんです? 」
「執行部正式所属の意思確認。会社で言えば『辞令が出たので頑張ってね』って感じかな。」
「ああ、なるほど。それじゃあ お二人はもう執行部の人だから部の勧誘も避けられますね。」
正確には週明けからなのだろうけれど…そうだね、勧誘は減ってくれるんじゃないかな? 無所属の時は事ある毎に運動部からのお誘いが激しかったからねぇ。特に体育祭と球技大会の後が。
まぁそっちはね、細かな問題はあったにせよ概ね無事に終わりましたから、良かったといえば、よかったのですよ。ええ。
強いて言うなら高等部二年生のお姉さま方と、中等部三年生のお姉さまにご挨拶出来ていないという部分がね、ちょっとね、って思ってるとこ。
「中等部三年生というと百合沢のお姉さま方ですよね…? 」
「そう。せりはセリナお姉さまに会ってるのに、私は未だご挨拶出来てないの。もうひと方はせりも会ってないらしいけど。情けない事にお名前も知らないの… 」
ボクなんて、つい最近まで興味すら無かったから執行部のお姉さま方の名前全員知らなかったもんね。今も会っていない方達の名前は知らないんだけれど。
調べとくぐらいしとけって?
…ごもっともです、はい。
「いえ、ですから…セリナお姉さまと、もうひと方も…百合沢様とおっしゃるんですよ。」
…はい?
え?!
どういう…
あ?!姉妹? なの?!
え、うそ、…な訳ないな。沙羅さんがそんな嘘吐く意味がない。なづなは知って…なかったみたいだね。
目がまんまるだ。
ちょ、ちょっと、沙羅さん!それ、詳しく!
「え、えっとですね、姉妹ではなく、ご親戚だと聞いてますけど…確か従姉妹だったか再従姉妹だったんじゃなかったかな…? 」
…親戚…
なんと…なんとまぁ…
「…去年の信任投票の時、投票用紙にお名前書いてあったと思うんですが… 」
うぐぅ…!?
ぜんっぜん覚えてないデス…。
『その様ですね』と、沙羅さんは苦笑しつつも先を続けてくれる。ちょっとは頑張ろうよボクの記憶力…。
「お名前は…え、と…あ。そうそう、“百合沢アスカ”様です」
凄いな沙羅さん。ちゃんと覚えてるんだねぇ。
アスカお姉さま、か。
ふむ…従姉妹っていうならセリナ様に似てるのかな?
…あんな華やかな容姿だったら目に止まっている気がするのだけれど、朝礼とか全校集会の時にいたかなぁ…う〜ん?
「前を見てなかった、とか? 」
いやいや!ちゃんと朝礼台に注目してましたよ!?
そりゃずっと見てた訳じゃないけれどね?
そういう なづなは覚えてるの?
「台の上に立っていた人なら兎も角、後ろの方に並んでいた人までは…流石に覚えてないなぁ…セリナお姉さまですらこの前初めて意識したくらいだもん。」
だよねぇ。
自分が関わる事は無いだろうと思っていた人達の事だもの、覚えてるわけないよなぁ。
「来週には会う事になるんだから、その時のお楽しみでいいんじゃない、かな? 」
おや? おやおや? おやおやおやぁ? さっき迄アウェー感がどうのって言っていた人とは思えない意見が出ましたね?
「もう覚悟決まっちゃってるもん。」
ふふん、と笑う なづなには、ほんの数十分前の焦燥感は既になくなっている様だ。
「えぇ? …なづなさんでもアウェー感とか感じたりするんですね…。 」
「…沙羅さん…? あの…私をなんだと思っているのかな? 」
「あ!いえ、ほら、なずなさんって、なんていうか、凄く自然に馴染むじゃないですか?!だ、だからですね、不利な立ち位置に立つ印象が無いっていうか、いつの間にか入り込んでるっていうか…えと、その、決して悪い意味ではなくて、」
いつの間にか入り込んでるって“ぬらりひょん”か。
ほらほら、なづな。沙羅さん困っちゃってるから、そんなほっぺ膨らませないで。いや、可愛いのは認めるけれど。
「私だって人並みに尻込みするんですぅ。」
はいはい、知ってますよ。
一生懸命それを表に出さない様にしてるんだもんね。
「でもでも、なづなさんは誰とでも直ぐに打ち解けるじゃないですか。そういう所、凄いなって思うんです。私には…なかなか出来ない事だから。」
ふぅん…沙羅さんは自分の事をそういう風に思ってるんだ。
まぁ人と仲良くなるっていうのは、ある意味才能だからねぇ。
物怖じしないとか相手に興味をもつとか本音を見せるとか。
さっきの椿さんのサポートしてたのを見ると、沙羅さんって結構世話好きな感じがするんだよね…それって仲良くなる秘訣のひとつだと思うんだけれど。
ねぇ、椿さん?
…椿さん?
あれ?
P.M.15:40
加筆しました。




