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あふたーすくーるあくてぃびてぃ㉗

「広小路!練習始めるぞ!」


「はい!すぐ戻ります!」


テニスコートの中のお姉さまから声がかかり、桂ちゃんが応えた。

ああ、もう休憩が終わるのか。ていうか休憩10分しかなかったはずなんだけれど、結構な時間話していた気がする…そんなにサクッと撮影済んだのかな?


「さて、戻らなきゃ。皐月さんありがとね!みんなも!じゃね!…って、そうだ なづな、せり、帰りの時間が合うようならさ、ちょっと寄って行かない?」


駆け出そうとして思い出したように振り向いた桂ちゃんが、そう言ってアンダースローの様なフォームをとる。

あ、あぁ~それかぁ。

ふむ、そういえばここ最近行ってないよね…ボウリング。

で、でも、


「私は行くよ。」


「ボクは、う、うぅ~…お小遣いがちょっと…1ゲームだけなら…。」


「おっけ!じゃ1ゲームだけ行こうか!取り敢えず部活あがったら連絡するから!もし()()だったら一度帰ってからでもいいよ!」


それだけ言ってダッシュでコートに戻ってしまった。

あうぅ…決定しちゃったよ…。

いや、行くのはいいんだ、行くのはね?


「えぇ? せり、お小遣い無いって何に使ったの?まだ貰ったばかりじゃない。」


え? いや、まだ使ってないよ!? ただちょっと予定が…って、あれ? なづなにも話したはずなんだけれどな。


「…そんな話…あ、そっか母の日? 」


ですです。

その分をわけてあるので手持ちがね?

なづなだって、たいして変わらない筈なんだけれど、随分余裕じゃない?


「私は貯めてたもん。今月分はまるまる平気だよ? 」


嘘でしょ!?

使ってる金額なんて大差ないはずなのに、いったいどうやって…!?


「塵も積もれば山となる、雨垂れ石をも穿(うが)つ、積羽(せきう)舟を沈む、涓涓塞(けんけんふさ )がざれば(つい)江河(こうが)となる、だよ。」


全部同じ意味じゃん!

要はコツコツと貯めてたって事ね!

くぅ、ご利用は計画的に!


「あの、なづなさん、せりさん? そろそろ移動しませんか…? 」


声をかけられて周りを見れば、他の子達は皐月さんの傍に集まっていて移動準備は既に整っている様だ。おおぅごめんなさい、すぐ行きます。



    ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「ねえねえ、なづなさん達は間島さんと幼馴染なんですって? 」


ボク達と桂ちゃんの距離が近いのが気になっていたらしいクラスメイト達が、どんな関係なのかと質問をぶつけてくる。まぁ普通の幼馴染よりは距離感はは近いからね、不思議に思うかもしれない。…偏にボク達のスキンシップが激しい所為なのだけれど、それは置いといて。


「ええ幼稚舎からずっと一緒でね、一番最初のお友達なの。」


「しかも、ず~っと同じクラス。」


「そうなの!? え? 幼稚舎から? 」


そうなんですよ~。

ボク達とは今年はじめて同じクラスになった子というのも、やはりそれなりに居るもので、ウチのクラスでは8割近い人数が()()である。そんな中で桂ちゃんだけが()()()()()()()()()だった訳で。


「前からお友達だったとは聞いていたけど…そんなに前からだったのね。」


そんなに前からだったんです。

ほら、ボク達って()()()()()()()でしょう? その所為か小さい頃はみんな遠巻きで見るだけで、なかなか近寄ってこなかったんだよ。で、まぁ最初に話しかけてきてくれたのが桂ちゃんってわけ。恐る恐るだったけれどね。

最初は確か『こんにちは』って言われたから『こんにちは』って返したんだけれど…その後がね、まぁ失礼で。


「なんて言われたの? 」


「『お人形がしゃべった!!』…って。」


「それはヒドイ。」


いや解からなくもないけど、それを言っちゃ駄目でしょうと皆が笑う。

仕方ないと言えば仕方ないよね、なんたってまだ3~4歳の子供だもん。相手に気を遣うとか(おもんばか)るなんて芸当が出来るはずもないし。


「でも、それで仲良くなったんだ? 」


「うん。桂ちゃんぐいぐい来るタイプだから。」


あ〜わかる〜。だよね〜。と口々に賛同の声をあげている。

ほぉら桂ちゃん、やっぱり君もボクと同じ距離が近いタイプなんだよ。クックック、類友類友。


「けどね、桂ちゃんのお陰で凄く助かったんだ。せりは小さい頃もの凄い人見知りだったからねぇ。一時期だけだけど、私にも近寄ってこなかったんだよ? 」


「そうなの?!信じられない!」


あ、あのね、それは、間違ってはいないかもしれないけれど、そうじゃなくってね?

ボクとしての自我が確立されてないのに加えて、朧気(おぼろげ)以前(ぜんせ)の記憶があったりしたものだから人との付き合い方がわからなかったというか、距離感を計りかねていたというか…なづなの事もよく思い出せていなかったし…ぶっちゃけると“怖かった”んだよね。

…って、あれ!?……立派な人見知りだった…!?

…え~…と、ち、小さい頃の話だからね?

いや、まあ、これも以前(ぜんせ)の記憶の所為だから、他の人には絶対に言えないんだけれどさ。言う気もないし。


「ち、小さい頃の話だよ?!今は違うからね?!」


…って言ったらさ…どっと笑いが起きて『言われなくたって知っているわよ。』だとか『今も人見知りだったら逆に凄いわ。』とか、終いには『人見知りのままだったら深窓の令嬢みたいで良かったんじゃ…。』だの『ミステリアスだったかもね。』とかね、もう言いたい放題言われてしまった。大概失礼だなキミたち。


「…人見知りでも人と話したくない訳じゃない場合もあるものね…。」


そんな風に独り言つ皐月さんに皆の視線が集中する。


「…っあ、いえ、そのっ…!しょ、昇降口!昇降口に行かないと!み、皆さん、行きましょう!ね!」


あ、誤魔化した。







名前の訂正及び、修正。


桂ちゃんの名前間違えてました…。

『間島』と書いてしまいましたが、間島さんは満ちゃんです。

大変失礼致しました。


正しくは『広小路 桂』さんです。

父方の祖父、または曾祖父あたりが京都出身なのでしょうか、明之星女子学院のある地域では非常に珍しい苗字であります。

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