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緊急議題

前話、若干の加筆修正を行いました。






お菊はソファーの背もたれに身体を沈め、腕を組み、脚を組んで、まあ偉そうな態度で。貴女ねぇ、何時もセッちゃんに態度がどうの、気配りが如何のって言っているクセに、自分がその態度っていうのは良くないんじゃないかしら?


「わ、わかってるわよ。」


私が指摘すると、慌てて組んでいた手足を解きスカートの裾を直す。

そんな私達のやり取りを見ていたであろう蓬がクスクスと笑いながら応接間のソファー…奥側の3人掛けに二人並んで腰を下ろしている私達の前に座る。いつも座っている場所とは違う、いわゆる下座側だ。


「せりちゃんは?」


「お茶をお願いしちゃった。」


せりちゃんは奥の部屋でお茶の用意をしているらしい。

蓬によると、動いてないと気が休まらないから手伝うと言われたとか何とか。まだ正所属ではないというのに既に()()()()()とは…なかなかに苦労性な子だこと。まぁ前回来た時もそんな感じではあったけど。

それはいいわ。今は呼び出された理由よ。


「それで?応接間で何があったっていうの?」


「そうそう、それよそれ。来てみたら、中から話し声は聞こえるけど切羽詰まっている様な様子は感じられなかったし、静かに来いって言うくらいだから“気付かれない様に”行動しろって意味なんだとは理解(わか)ったんだけどさ。」


蓬がわざわざ『静かに』と念押ししたのだから何事かがあったのは間違いない。そのはずだ。そのはずなのだが、実際には双子ちゃんの片割れである鈴代せりちゃんが居ただけ。

彼女に内緒で私達に招集をかける意味が解らない。

お菊は新歓祭の準備をしている最中にあのメールを受け取ったというし、私にしてもクラスの用事をしていて、終わり次第こちらに来るつもりだったのだ。放って置いても集合する事がわかっている人間にわざわざ『早く来て』なんて言うのだから…気にならない訳がない。


「最初はGでも出たのかと思ったんだけど、違うわよね?せりちゃんがいるのも聞いてなかったし…顔合わせは済んでるんだから()()とは違うんでしょう? 」


お菊ってば、そんな事考えてたの?

Gが出て、慌てて連絡してきたって?

ああ、でも、そうね。お菊だったらそういう事しそう。あなた、Gは苦手だったものね。なるほど自分に当て嵌めたら、そう考えるのも納得だわ。

せりちゃんの事も同意ね。

顔合わせだけだったら先日済ませているのだから、わざわざ『早く来て』などとは言わないはずよね? 何か、別のイベントがあったと考えるのが妥当だと思う。


「で? なんだったの?」


蓬は、一瞬チラリと奥の扉に目をやったと思ったら、私達の正面に浅く座りグッと身を乗り出した。

…内緒話?

せりちゃんに聞こえない様にって事?


「…可愛いかったの。ホントにお人形さんみたいだったのよ。二人にも見せたくて思わずメールしたのだけど…ちょっと間に合わなかったみたい。」


見せたかった?何を?

っていうか“可愛いかった”って何?

せりちゃんの事?いやいや、あの子が可愛いのは知ってるわよ。こないだ来た時に見てるもの。


「せりちゃんは確かにお人形さんみたいだったけど…見せたかったって言う程なら、やっぱり何かあったのね?…あ、ここでうたた寝でもしてたとか?」


「惜しい。」


惜しい?

それなら、せりちゃん絡みなのは間違いなさそうね。


「勿体ぶらずに教えなさいよ。」


まぁそうよね。本人が隣室に居る状況ですもの。ウダウダしていたら機を逸してしまうかもしれない。はい、さっさと話して頂戴。


「最初はね、寄り添っていたの。こう、指を絡めて… 」


…え?

指を絡めて?

寄り添っていた?

え、どういう事?


「髪を撫でたり、触れる程近くで囁き合ったり… 」


「その後も膝枕とかしちゃって…やだ、恥ずかしいわ。」


言うだけ言うと紅潮する頬を両手でおさえてモジモジしだした…

なんだか、よくわからないのだけど…?

つまり、せりちゃんが? ここでイチャイチャしてた? って事よね?

…誰と? え? まさか蓬と? それを見せたかった、と?


「なに? 蓬、あなた、せりちゃんと、そんな事、してたの?」


そうよね!? お菊にもそう聞こえたわよね!?

私だけにそう聞こえた訳じゃないわよね!?


「…なにを言ってるの…?」


「なにをって、今の聞いていたら貴女とせりちゃんが()()()()してた様にしか聞こえないわよ?」


三人ともテーブルに伏せる様に肘をついて、更に身を乗り出す。なんかアレね、旅館とか合宿所で怪談話をしてる時みたいな体勢だわ。話してる内容は怪談ではないけど。

蓬はというと、最初こそ『何故そうなる』みたいな顔をしていたけれど、自分の発言を反芻したのだろう、だんだんと赤いんだか青いんだかわからないような顔色…というか表情に変わった。


「ちっ…!!!ちがっ…!」


思わずといった感じで跳ねる様に身体を起こし、叫びかけた自身の口を両手で塞いで、奥の部屋の方を窺う。

お菊と私も釣られる様に奥の扉に視線を向けた。

…どうやら聴こえてはいないようね…

いや、せりちゃんの事だから、私達が内緒話をしているのをわかってて聞こえないフリしてくれてるのかしら? あり得る…あの気遣いお化けみたいな子ならあり得る。今に限って言えば大変助かっているのだけど、もう少し適当でも良いと思うわ。

聞こえは悪いけど“手の抜き方”も教えた方が良いかしらね?

ああ、本題はそっちじゃないのよ。

今は蓬の話。

ほら、さっさと話しなさいな。


「…だから違うのよ、私じゃなくって… 」


言いながらテーブルに伏せて、さっきと同じ体勢を取ると更に一層声を潜めて


『双子の、お姉さんと、よ。』


「な、なぁんだ…私はてっきり… 」


…それを先に言いなさいな。

要らない想像しちゃったじゃない。

なるほどね、噂の双子ちゃんが噂通り身を寄せ合っていた訳ね?


蓬の説明によれば、お茶のお代わりを用意してする為に席を外した際に、2人がお互いの髪を梳いたり、頬を寄せて囁き合ったり目を合わせて微笑み合ったり…それはもう噂に違わず耽美的であったと。

それで思わずメールを送ってしまったらしい。

少し考えれば、その場面を後から来る私達が目にする事は難しいと判りそうなものだけど…それだけテンション上がっちゃっていたのね。


「…待って。…ここに居たの? お姉さんの方も?!」


「ええ。居たわよ。二人でご挨拶に来てくれたの。」


あ、そうか。そういう事になるわよね。『おうせちまで』なんて変な文章送って来るくらいだもの、この場所で行われた行為だって事よね。それなら納得だわ。

前回せりちゃんが来た後に、花乃と蓮がさんざん煽ってくれたものだから『2人が並んでいるところは是非見たい』というのが執行部内での必達目標となっていたのだから。それを目撃したのなら興奮もしようというものよね。

慌てなくても来週には二人揃って来るってわかっていても、先に見た人に自慢されるとね、ちょっと悔しいのよ。


「あ〜…私、なんで一度教室に戻ろうなんて思ったかなぁ…もうちょっと居ればその場面を見れたかもしれないのね…無念… 」


それはどうかしら…?

流石に上級生が二人いて、かつ、その2人が同時に席を立つ事なんてないでしょう。居たって見れなかったわよ。


「ごめんなさいね。私だけ堪能しちゃって。」


クスクスと笑いながら蓬が立ち上がり、折角だからお茶の一杯も飲んでお行きなさいな、などと如何にも部屋の主人(あるじ)といったセリフを残して奥の部屋へ消えて行く。


「まさか今日来るなんて思わないもの、仕方ないわ。」


「まぁね。けど蓬も蓬よ。せっかく来てくれたんだから引き留めておきなさいっての。」


「そうよね… 」


あら…? そういえば、お姉さんの方…なづなちゃんって…一人で帰ったの?せりちゃんを残して? 二人で来たのに? いや、用事の合間に来ただけで、あまり時間がなかったとも考えられるけど…


「お姉さま、お茶、いかがですか?」


っと、考え事をしている間に せりちゃんがお茶を持って来てくれたらしい。あ、良い香り。ふわりと香る林檎のような淡く甘い香り。何時も飲んでいるお茶と同じ物のはずなのに、いつもより香りが引き立っている。同じお茶でも上手に淹れるとこんなに変わるのね。

こんな風に淹れられるのは蓬とセリナくらいだったから…ちょっと驚きだわ。


「ありがとう、いただくわ。」


お礼を言ってカップを手に…

しようとしたところで、お菊の手が止まっている事に気付いた。カップに手を添えたまま固まっているようだ。

どうしたのかと思って顔を見ると… ポカンとした顔で、目を見開いて一点を見つめているじゃない? 視線を辿って見れば、その先に居るのは、せりちゃん、よね? 確かに可愛い子だけれど、前にも会っているでしょう? 何を驚く事が…あら? 前と、違う? あ、髪の毛が短くなってる?!え?!


「あ、あなた、髪、」


「え? あ、はい。妹と違って、短い方が好きなので。」


妹と、違って、?

ふと視線をずらすと、ニコニコと笑っている蓬と…

目の前の子と同じ顔をした、髪の長い子が目に入る。

後ろの子は少し苦笑気味に微笑んでいる。

目の前の子も少し困り顔だ。



「お初にお目にかかります。鈴代なづなと申します。」








P.M17:15

加筆修正を行いました。

本日はここ迄…のつもりですが…誤字等があれば逐次修正を行います。


次話は明日深夜01:00の予定です。

そろそろ、まともに投稿したいです…。

切実に…。

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