あくしでんと
「どんな色とか形がどうとか、飾りが付いてるとか付いてないとか肩紐…ストラップっていうの?あれが食い込んで痛いかどうかとか、光さんは初等部の頃から着けていたのでしょう?!どういうのが良いの?!…教えて?!」
おぉめっちゃ早口だネ!?
どうしたの一体全体?
っていうか光さん初等部の頃には着けてたんだ?!それはアレだね、大先輩だ。どんなのが良いのかは是非ボクも知りたいところですね。というわけで、よろしくお願いします。
「菫さん、ちょっと落ち着いて?せりも。」
なづなが割って入って菫さんを宥める。
ついでにボクも。
…おっとっと、どうやらボクも前のめりになっていた様だ。自重自重。
「どうしたの菫さん?そんなに慌てて… 」
「…だ…だって…ちゃんとしたのを着けないと形が崩れちゃたり、靭帯?が切れちゃったりするんでしょう?怖いじゃない?」
あ、あぁ〜なるほど。
未知の分野だから、先生の脅し文句というか煽り文句というか…まぁアドバイスだよね、それが必要以上に効いちゃったんだ。いやまあ、先生の言ってる事はその通りなんだろうけれど、菫さんが割とオーバーに受け止めちゃってるっていうのは問題かな。
形が崩れるって部分は誤解している節があるけれど。
それはコッチに置いといて…着けた方が良いっていうのは本当らしいからね、ボク達もママから色々と言われたもん。最初は柔らかいサポートタイプが良いって薦められて暫く着けてたんだけれど、直ぐにスポーツタイプに変えたんだよね。
…サイズの問題で。
思えば、あれから更に成長しているんだから、そろそろ本気で考えなきゃいけなかったんだよ。今着けているみたいなのじゃなくて…こう、立体的なヤツに変える事を。お医者の先生にも『変えた方が良い』的な事言われちゃったし。
ですからね、是非とも光さんのご意見というか…着用実績のある方がどの様な物を使用しているのか、ですね、お聞きしたい、と。そう申し上げているのですよ。
菫さんが。
「…私?!いや、そうだけど!」
「そ、それは理解るわ。でも本当に普通のよ?なんの変哲もない…さっきも言ったけれどごく普通のインナーよ?」
「見せて!」
おぉい!?何を言い出すんですかお嬢さん!?
いくら焦ってると言っても『見せて』は行き過ぎですよ?!実物は専門の売り場行けばいくらでも見られるし触れるんだから!ちょっと落ち着こう?!いやまあ、友人達がどんなのを着けているか気になるのは理解出来るけれど、出来るけれども!それは一旦横に置いといて!
「えっと菫さん、光さん?教室に戻ってからにしない?ここだと、ちょっと… 」
なづなは 少し困った表情でそう言いながら、目だけを動かし周りの様子を伺う。
ボクも釣られて周囲を見ると、これから保健室に向かうのであろう別のクラスの子達が、こちらをチラチラと見ながら通り過ぎて行くのが見えた。ついでに保健室前に並んでいる子達からは注目されていたみたいだ。ボクが列の方を見たら一斉に顔を背けたもの。
ぅわぁお…。
そういや菫さん結構大きな声出してたもんね?
公衆の面前でお胸の話して、挙句『見せて!』とか言ったんだから、そりゃ注目もされるよね。うん。
…可及的速やかに移動しましょう。
「そ、そうね、そうしましょう。」
「賛成だわ。光さんも流石にここでは見せられないわよね。」
…あくまで見せて貰うつもりんだ?
まぁいいや。見る見ない見せる見せないは教室帰ってからにしよう。取り敢えず移動、移動。
そろそろね?列に並んでいる子達からの視線が多くなってきてさ、ちょ〜っと恥ずかしくなってきちゃったんで。
ウチのクラスの子だって何人もボクらを追い抜いて行ってるし、このままだと最後尾になりかねないからね。
さぁさ、行きましょう。
早足で階段を登り教室へ帰ると、既に7割方のクラスメイトが戻っていた。そんなに立ち話してたのかボク達…。
赤池さんや井上さんのような出席番号が早い子達は、すっかり着替え終わってお喋りに興じている。かと思えば、体操服のまま話し込んじゃっている子いるし、着替えの途中で話に夢中になってる子も。まぁ、流石に大体の子は下着姿ではなくTシャツを着ているけれど。
“大体“と言ったのは、ほんの数人…数人だけれど、堂々と上半身下着姿を晒している子が居たんだ。
あらやだ、イカす!
……イカすって知らない?
イケてるって言うでしょ?
え?言わない…?ホントに?
イケメンのイケだよ?
…あれ?!死語なのコレ?!
がーん…ま、まあいいや…。
それでね、菫さんってば、それを目にするや否やその子達の所にすっ飛んで行ってさ、着けている下着をよく見せて欲しいとか、選んでる基準はとか、どんな形状の物があるかとか、それはもう根掘り葉掘り聞いたり着けたままの下着を“まじまじ”眺めていたりと…もう大真面目に質問攻めにしてたんだよね。
聞かれた子達も律儀に答えたり眺めさせてくれたりと、真摯に対応してくれてさ。
ほんと有り難いよ。
だって、光さんが剝かれなくて済んだんだもん。
「ねえ、せり。なづな、菫さんどうしちゃったの?なんかあったの?」
んぉ?!ビックリした!
何故背後に立つかな?!
あ。桂ちゃん。おかえり。
椿さんと満さん、沙羅さんに凛蘭さんもおかえり。
…っていうか、なかなか珍しい組み合わせですね?
あ、いや、出席番号順でみんな窓際の列だから不思議じゃないのか。
「うん、ただいま。で?菫さんはどうしたの?」
「うん、実は… 」
まぁそうだよね。教室に帰って来て目に入ったのが下着姿のクラスメイトに詰め寄る体操服のクラスメイトの図。うん。謎だもんね、解説は必要だよね。そんな訳でなぜ今、菫さんがああなっているか、その原因を説明した。
なづなが。
…ボクが説明するより なづなの方が丁寧で的確なんだから、説明受ける側だってそっちの方が良いでしょ。…言ってて悲しくなってくるけれど…。
「…と、まぁそんな感じ、かな。」
「なるほどね。靭帯の話で怖くなっちゃったかぁ。そりゃそうだよね、知らないうちに切れちゃって、しかも一度切れちゃったら元に戻らないんだもん、怖くもなるよね。」
元に戻らないの!?ってか知らないうちに切れるって何!?切れたら痛いでしょ!?気付くよね普通?!
「いや、それがね。私もお姉さまに聞いたんだけど… 」
桂ちゃんによると、切れたり伸びたりしてもほとんど痛みはないらしい。
しかも自然治癒する事もないので切れたらそれっきり。だから膨らんできたのなら、ちゃんと支えてあげないと駄目なんだそうだ。特に運動部で大きく育った子なんかは切実な問題なので…予防する為に、お姉さま方から震え上がるほど恐ろしい話を聞かされているんだってさ。
各運動部に、それぞれ語り継がれている怖い話があるんらしいんだけれど、その中に必ずお胸に関する怖い実話が混じっているのだとか。
…聞いてみたいような、聞きたくないような…
「あの子達も運動部だからね。その辺りはちゃんと説明するでしょ。」
そうなんだ。なるほどね、あの堂々とした脱ぎっぷりは運動部故に人前で着替える事に慣れてるからだったのか。まぁ淑女的にはOUTな気がするけれど。…ん?今、OUTの発音めっちゃ良くなかった?ほら、また。おぉボク凄い!
「ところで…せり達はどんなの着けてるの?それだけ育ってたら流石にノーブラはないでしょ?なんか最近急に大きくなったみたいだし、それだと買い替え頻度ヤバくない?やっぱり2人ともお揃いの着けてる?それとも別々?」
なづなとボクを交互に見ながら、捲し立てる様に質問を浴びせてくる桂ちゃん。うむ、相変わらずで安心するね。けれど待って。ひとつずつ、一つずつにして?
「私達はスポーツタイプのヤツだよ。サポーター入りの下側で締め付ける感じの。お揃いだよ。」
と、なづなが答えた。
うんそうなんだ。お揃いのブルーグレー。機能重視で可愛いくはないかな。
「へぇ、見せて?」
見せてって、桂ちゃん!君まで菫さんみたいな事を
「良いけど…大して面白くないと思うよ?」
良いのかい!!
いや確かにね、どうせ着替えるんだから脱がなきゃいけないんだけれどね?!こっそり着替えるのと見せるのじゃ訳が違うと思うんだけれど…?!
くっ…!なづなの羞恥ラインがどの辺にあるのかわからない…!
なんて考えてたら、なづなが体操服を脱ぎました。
ズバッと。
躊躇なく。
…やだイケメン!
「ここの色違いになってる所がサポーターになってて上に引っ張ってるんだって。」
「でもこれだとお押さえ付けてる形だから… 」
「そうね、カップが付いていないから少し苦しそう… 」
おおっと、こっちでも下着談義が始まったぞ?
いつの間にか光さんも参戦してるし。
…いかん乗り遅れた。この、乗り遅れた時のうら恥ずかしい感じって何なんだろうね。
まいっか。今のウチに着替えちゃおう。
脱いだ体操服着を椅子の背もたれに掛け、机の上のTシャツを手に取った時
「あの、せりさん。」
はい?なんでしょうか椿さん。
…と、沙羅さんに凛蘭さん。
「あの… 」
「あのですね… 」
「…ちょっと触らせて欲しいんですけど…!」
…………何を!?
申し訳ありません。
日中、加筆致します。
AM11:20
加筆。本日は以上です。
下着回…終わりませんでした…
続きます。
因みに表題の『あくしでんと』は、まだ起こってません。
PM13:10
誤字を発見したため修正
本文の加筆等はしておりません。




