えぴそーどおぶおーでぃなりー⑬
「それじゃあ来週の試験後…あ、月曜はダメなのよね?」
はい、申し訳ございません…新歓祭の準備のために月曜は開けておかないといけないので…。
「大丈夫、大丈夫。クラスの連帯は大事だもの。二年生は修学旅行もあるしね、今のうちに親睦は深めておかないといけないわ。」
「そうそう。こちらは何時でも…でも早い方が良いのだけど…そうね、火曜日以降いつでもいいからお姉さん、なづなさんを連れていらっしゃいな。」
蓬お姉さまをはじめ高等部のお姉さま方は、とてもやさしい声をかけてくれる。ボク達を気遣ってくれているのがよくわかる。よく分かるのだけれど…
ちょっと甘過ぎなのではなかろうか?
いやまぁね、ボク達はその程度で増長したりはしませんよ?しませんけれどね?
話が一段落したところでボクと彩葵子さんはこの場をを辞する事にした。
実はお姉さま方なかなか話が途切れなくてさ、気が付いたら結構時間経っちゃっててね。元々話すのが好きな方なのか、中等部の生徒が珍しのか、実に楽しそうに話してくれたんだ。…それこそ無限に話しが続きそうな勢いだったよ。
流石にクラスの方をほっぽったままにしておく訳にもいかないからね、適当なところで皆と合流しないと…って事で、新歓祭の話題が出た時に
お暇する旨を申し出たんだ。
お姉さま方は、もっとお喋りしたいのに的な事を言っていたのだけれど、蓬お姉さまの『これから先いくらでも話せるでしょう』という言葉で、渋々ながらも解放された感じだね。
ボク達が挨拶をして席を立つと、『送る』という名目でセリナ様が付ついて来た。先程までのキビキビとした動きとは違って、なんかぴょこぴょこしてる。なんというか非常に女の子っぽい。あぁ、いや、勿論女の子なんだけれど、そうじゃなくて、えーと…幼い女の子みたい?って言えばいいのかな?
ちょっと可愛い。
「どう?私だってちゃんと出来てるでしょう?」
ん?何の事…あ、さっきのおさんどんか。
ええ。とても素敵でした。
最初にやっていればもっと良かったのですけれど。
「そうなのよねぇ…でもあれは下の子が優秀過ぎたのが問題なのよ。」
あれ?!ボクのせいですか!?
じゃあボクが大人しく座っていれば良かったと?
確かにね?!外様が勝手に手を出したせいでセリナ様に矛先が向いたと言えなくもないんですが…でもですね、あの場合はですね、やはりお姉さまのお手伝いをしてこそ、だと思う訳なんですよ。
きっと執行部のお仕事では大してお役に立てないはずですし?下手をすれば足手まといな可能性すらあるんですから。せめてそれ以外の部分でお役に立てる部分をですね、見ていただかないと…
「今考えたでしょ?」
ハイ、スイマセン、思い付きで喋りマシタ。
「ま、なんにしろ来週からよろしくね。…来週からよね?」
ええ一応そのつもりですが、先ずはご挨拶に伺わないといけませんよね。なづなはまだ蓬お姉さま以外とはお会いしてませんし。
「あ、そういえばそうね。じゃ最初は遊びに来るつもりでいらっしゃい。今度は私がお茶淹れるから。彩葵子さんもね。」
「え?!あ、はい!」
突然話を振られた彩葵子さんが目を白黒させている。そりゃそうなるよね。
今迄話した事もなかったお姉さまから突然名前を呼ばれたりすれば驚いちゃのも仕方ない。ボクだってセリナ様に声をかけられた時はビックリしたもん。
いやホントに。
「ではセリナ様。失礼致します。」
生徒会室の扉を出た所で改めてご挨拶をする。今回も隣に居るのが なづなではないので、カーテシーではなくお辞儀で。なんとなくだけれど、やっぱり二人でやらなきゃ決まらない気がするんだよね。
「じゃあまたね、来週が楽しみ。」
…なんて言って弾む様に笑ったセリナ様は、やはり綺麗だった。
生徒会室を出て彩葵子さんの手を取り、クラスの皆と合流すべく移動する…つもりだったんだけれど…今、みんな何処にいるの?
彩葵子さん知ってる?
「……どこかしら?ちょっと皐月に聞いてみる。」
ポチポチとスマホを操作して…あ、てっきり電話かけるのかと思っていたけれど、どうやらSNSらしい。ボクなんかはクラスの連絡網的な使い方しかしてないし、自分では…というかプライベートではあまり使わないから、人が使いこなしているのを見ると妙に感心しちゃうね。
因みに返信はすぐに来たようで、彩葵子さんは数回やり取りをしていた。それにしても文字打つの早いなぁ。
「みんなミルクホールにいるって。行きましょ。」
ミルクホール?もしかして休憩中なのかな?
それともミルクホールで撮影してるのだろうか?
「なんか、撮影がてら移動したんだって。まぁそれで、ついでだから休憩中の写真とか撮ってるみたい。」
なるほど、休憩中のスチール写真なら普段の皆を撮れるもんね。
休憩を兼ねているのならば慌てて移動する事はないだろうって事で、少しのんびりと歩く。こうしてると生徒会室では多少なりとも緊張していたんだなぁと思うね。
ボクが、じゃないよ?
彩葵子さんがね。
少し疲れた顔をしてるんだ。
「疲れた?」
「え?…ええ、少しね。せりさんは…平気そうね。」
何故、微妙に呆れた顔をするかな?
「だって、あんな、高等部のお姉さま方に囲まれるなんて思ってなかったもの。」
「…それに、行儀とか所作とか気配りが如何とか…私には、たぶん出来ないわね。」
そんな事ないよ?あんなの慣れだって。行儀や所作なんて言っても極端な話“おままごと“の延長だからね。
「おままごと…?」
そう。おままごと。
あの遊びってさ、ママの…母親の真似でしょ?身近にいる大人の模倣…“お手本になる人を真似て覚える”行為なんだよ。ボクはボクがカッコいいと思った人を、ママとすずな姉ちゃんを真似ただけなんだ。繰り返しね。
それが染み付いたんだじゃないかな。
「私は、おままごととかした覚えが無いわ…。」
あ、そうなの?まぁ『おままごと』は例えだから、した事なくたっていいと思うよ?要は最初は模倣からって事。
なんだってそうでしょ?仕事でも運動でも。行儀作法や所作だってみんなおんなじ。
「そんなものかしら…?」
そんなものです。
ああ、それから最初の話なんだけれど…
「最初?」
お姉さま方に囲まれて平気だったって話。
アレね、入学式と進級式の準備の時、周りが全員年上だったんで慣れました。
…だからなんで呆れた顔するかな?!
ボクそんな変な事言った?!
「いいえ…見かけに寄らず、結構図太いんだな…って。」
…ずぶとっ…!?
12:30
本日の更新はここ迄に致します。
…仕事中にちまちま更新するの、そろそろやめないと…




