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えぴそーどおぶおーでぃなりー

本編再開です。


おはようございます。


鈴代せりです。

…本人か…って、どういう意味?

え?本人ですよ?

何、ボクの偽物でもいるの?…勘違い?…ああ、そう。

そうだよね、そんな訳ないよね。


え…っと

改めておはようございます。

とても麗かな良い朝ですね。

ええ、何時も通りの朝です。

何故かボクが半裸なのも、お腹あたりに なづなが絡み付いているのも何時も通りです。むにゃむにゃ言っているのも普段と何も変わらず、いや、いつにも増して可愛いなぁなづな。ふへへ。

…えふん。

特におかしな事は無いですね。

ただ…ちょっと妙に生々しい夢を…見た様な…よく覚えてないのだけれど。まぁ、昨日はホントに色々あったので、妙な夢の一つや二つ観てもおかしくはないよね。うん。


「なづなぁ…おはよう。」


ぐしぐしとお腹の所にある なづなの頭を撫でて、お約束の様に目覚めを促す。


「………ア…?」


ん?


「あ、…せり、だ…。」


そうですよ。せり ですよ。

なんなの。誰かと間違えたんですかね?

……

………

…………誰かと…間違えた、だと…?

ちょっと!

誰かって誰!?

ボク以外とこんな風に添い寝してると!?

え!?

お姉ちゃん許しませんよ?!

お姉ちゃんはなづなの方だけれど!

あれ!?ボク意外と独占欲強くない?!


「あ〜…なんか、夢見てた…。」


ああ、夢の話か…。

そうか。

そうだよね。

うん、知ってた!


「面白い夢だった?」


「面白い…まぁ面白かったのかな…?ていうか、嬉しかった…?」


嬉しい夢?…ふぅん?

なんかちょっと、わかる気がするのは何故だろう?


「どんな夢だったの?」


「うんと、ね……… 」


ボクのお腹に絡み付いたまま、ひょいと顔を上げてボクの顔を見る。暫くジィ〜…っと。

で、ぽすん、とお腹に顔をくっつけて。


「んふふ…よく覚えてないや。」


…なんだよぅ。

教えてくれたって良いじゃないか。

…まさか、恥ずかしい感じの夢だった?

例えば…ボクと、エッ……な事をする夢、とか…。

待て待て、それ嬉しいか?

ボク…は、どうだ?…嬉しい…かも…

いやいやいやいや!

違う違う!

…うわぁぁぁぁ!なんて事を考えてるんだボクは!

自分の妄想が恥ずかし過ぎて、両手で顔を覆ってボスンボスンと後頭部を枕に叩き付けちゃたよ!

正に悶絶です!ぐおお!煩悩退散!

おおおお落ち着け…!

静まれ、鎮まれぇい!

観自在菩薩行深般若波羅蜜多時 照見五蘊皆空 度一切苦厄 舎利子 色不異空 空不異色 色即是空!空即是色 受想行識亦復如是 …!


気を散らす為というか、落ち着く為というか、兎に角いま頭の中にある桃色な妄想を払拭すべく、うろ覚えのお経を唱えてみたりしたんですが…

ボクの煩悩かなり難敵です。


んでまた、ひょいっと、なづなの頭がお腹から離れた感触があったんですよ。

なんだろうと思って、顔を覆っていた手を退け、なづなの顔を見たんですね。そしたらこっち見てるじゃないですか。

少しの間なんとなく見つめ合っていると、なづながニタァ〜って笑って


「…えっち 」


いやぁぁぁぁ!

バレてたぁ!

ホントすいません!こればっかりはボクが悪いですね!


脳味噌桃色状態から立ち直るのに暫くかかりました…。


歯を磨いる時、朝食を食べている時、制服に着替えている時、不意にリフレインする桃色妄想。浮かぶ度に自分の頬をひっ叩いて、去れカーママーラよ!とか呟いてたら、


「何あれ?新手の警策(きょうさく)プレイ?」


「…目覚めちゃったんだったら、なづなが責任もって相手するのよ?」


「え…?!私が?相手するの?」


「そりゃそうでしょ。ねぇ?」


「まぁ当然よね。」


…とかいう会話がママ、すずな姉ちゃん、なづなの間で交わされてたんですけれど…おおらか過ぎやしませんかウチの家族?

理解があり過ぎるのも問題だな…と、初めて思いました。


それ以外は、ごく普通の朝の情景だったのだけれど。

因みにパパは、そんなボク達の様子を見てニコニコしてるだけ。なんなの、もう。


いつもの朝

いつもの通学路

ボク達は普段からよく手を繋いで歩くのだけれど、今日はちょっと違った。何故かなづなが腕を組んできたんだ。

え、と、腕組みしたんじゃなく、腕を絡めてきたって意味だからね?

なので今日は密着度合いが凄い。

朝の様子とか今の表情を見る限り何か不安があるとかでは無いのだろうけれど。だって超楽しそうで、珍しく鼻歌歌ってるもん。


「どしたの?なんか上機嫌だね?」


「ん〜?んふふ〜、なんでもないよぅ。」


なんでもないって事はないのだろうけれど…まぁなづなが楽しそうなんだから別にいいか。なづなが楽しそうだとボクも

嬉しくなってくるからね、


そうそう。今日から授業が始まるんだよ。昨日までは学校行事と全校集会にHRと、遊んでるみたいなものだったからね。

まぁ、今週は半ドンだけれど。

…『半』はわかる。『ドン』ってなんだ?


「ああ、それならオランダ語の『日曜日』が訛った『どんたく』って言葉が語源らしいよ?半分は日曜日みたいなモノ、半分休日、半分どんたく、で半ドン。」


へぇ!どんたく!

元々は外来語なのかぁなるほどね。じゃあ『博多どんたく』って博多の休日って意味なのかな?


「え…?それはどうだろう…?」


知らんのかい。



それはさておき。

明之星(ウチ)は私立の学校なので、土曜日も半日授業なんだよね。週休2日じゃないの。だから今週は半ドンが木金土と続く訳で、折角だから新歓祭用の映像で撮れる物は撮ってしまおう、という事になったらしい。

とにかくクラスのみんなに時間がある時に素材をガンガン集めてしまおう、『ここに、こういう映像が欲しい』という演出云々は後で追加する方向で、って感じ。

その辺はボクが保健室で寝てた間に決まったみたいだね。

当初の綿密に計画して…とはまるっきり変わっちゃったけれど、こういう勢い任せなのも『お祭り』っぽくて良いかも。

“勝ちに行く“のを諦めた訳ではないが、勢いがあるのは良い事だもん。



「「おはよー。」」


教室の人影は(まばら)だったが、挨拶をすると皆が一斉にボクを見た。うぉ?!何事?!

皆がわらわらと寄ってきて、昨日意識を失ったと聞いたが大丈夫なのかとか、階段から落ちたって聞いたけど怪我はしなかったかとか、撥ねられたって話を聞いたとか、まぁ色々言われました。

いや、ちょっと待って。撥ねられたって…何に撥ねられたんですかね?校内ですよ?

車なんていないし、そもそもボクを撥ねたのなんてネズミくら…い……

ネズミ…?

え、何言ってんの?ボク…。


「ネズミに撥ねられたの?」


「ああ、カピバラとか?」


「あ、あれじゃない?夢の国のネズミさん!」


「ハッハァ!って笑うアレ?」


「アレに撥ねられたら一生自慢出来るわよ!?」


「アレは校内に居ないでしょ…。」


なんか皆さん盛り上がってマスね?

確かにアレに撥ねられたのだったら自慢出来そうだけれど。

…ていうかネズミってなんだ…どっから出て来たんだろう?

ふむ…?


「おはよう。なに盛り上がってるの?」


おや、おはよう菫さん。昨日ぶり。


「あら、それ私も聞きたいわ。」


おぉ、おはよう光さん。

いや、ちょっとボクの言い間違いがね?

面白かったらしくてですね、皆さんのネタになってるんデスよ。えっと、かくかくしかじか、まるまるくまぐま、という感じで、これこれうまうま、なのです。


「……ネズミ…?」


あれ?光さん何か引っ掛かる事でもあるのだろうか?

首を傾げて何かを思い出そうとしてるみたいに、うんうん唸っている。


「なぁに?でっかいネズミに心当たりがあるの?」


「え?いえ、そういう訳じゃ…でも、ネズミ… 」


なんで皆ネズミに喰いついてるんだ。そんなに面白かったかなぁ…?

まぁ光さんだけは皆と喰いつき方が違う気がするが。


「最近ネズミに纏わる何かがあった様な気がするのだけれど…思い出せないわ。ごめんなさい、気にしないで。」


夢で見た…覚えはないしなぁ。

憶えてないだけで、見てるのかもしれないけれど。

そもそもネズミの夢って凶兆なんじゃなかったけ?

あれ?退治する夢は吉兆なんだっけか?


「あ!なづなさん、せりさん!おはよう!」


教室に入って来ると同時に弾んだ声で挨拶をして来たのは、文科系元気っ子の満さん。いつも元気だね。おはようございます。

…あれ?なんか艶々してません…?


「昨日はありがとう!あの後ね、遥ちゃんといっぱいお話したんだ!」


それはよかった。

それにしても艶々してません?

そんな事を考えていたら満さんがボクと なづなにそっと耳打ちしてきた。


「…あとで、話すねっ。」


そう言って自分の席に向かっていったのだけれど、その時の顔が…ちょっと、なんていうか、その…満さんって…あんなに可愛かったっけ?

もともと可愛い子ではあったと思うけれど…なんか一段と。

なづなも同じ様に思った様で、結構驚いていた。


「え、なになに?満さん、何かあったの?」


「満さん今日なんか違わない?」


「うん、なんかキラキラしてる。」


「せりさん!なんか知ってるんでしょ?!」


「さあ!吐きなさい!」


え、ちょ、もう話題が変わった!?

今度は満さんネタですか?!

っていうか、それは本人に聞くべきじゃないですかね!?


「本人に聞いても素直に吐くとは思えないし、知っていそうな人から聞き出す方が簡単だもの。」


うんうん、と皆が頷く。


「と、いう訳で話してもらいましょうか。」


えぇ…?

それはちょっと…話していいのかな…?

いや、ダメだよね。本人の口から聞くのなら兎も角…ねぇ。

ほらぁなづなも困ってるじゃん。

と、その時


キーンコーン カーンコーン


予鈴が鳴った。

助かった…。


「あ~…時間切れかぁ。後で聞かせてもらうわよ?」




いや、だから本人から聞いてってば。











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