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五章 第9話 王子と近衛

「久しいな、アクセラ=ラナ=オルクス」


 開口一番に王子はそう言った。まるで数年来の友人にあったような気安さがそこには込められている。そしてそれは周囲にも感じられたのか、小さなざわめきが発生した。特に傍仕えの少年とストロベリードリ子ちゃんは視線に険が混じっている。


「……ん」


 なんと反応したものか困り果てて頷く。すると王子は一瞬硬直して、強張った笑顔を浮かべてこう尋ねた。


「私のことを忘れたのか……?」


「覚えてる」


 お前、王子だぞ。しかもお披露目パーティーじゃ堂々の主役面で全員強制参拝だったんだ。忘れる方が無理だと思うけど?


「そ、そうか……」


 少し安堵した様子の王子。そして今度はじっと俺のことを見つめ始めた。


「?」


 小首を傾げると彼は気まずそうに目をそらした。

 なんなんだこの男。


「あの日話したことを覚えているか?気にしていないといいのだが」


 あの日、というのはお披露目パーティーのことだろう。あれ以外に王子と話した記憶はない。しかし話したことというのは覚えがない。俺と王子はまともに会話をせずに別れたのだから。せいぜい交わした言葉と言えば……。


『……挨拶ご苦労。オルクス伯に娘がいるとは知らなかった』


『先日まで領地に籠っておりましたので』


 これじゃないな。気にするとかしないとか言うようなことじゃない。それ以外だと……。


『まるで近衛騎士だな』


 あ、これだ。そうか、彼はあの言葉を気にしていたのか。6年も引っ張るようなことには思えないが、それ以外に思いつくやり取りがない。まあ、たしかにあれは貴族の娘に言うならとても失礼に取られるかもしれないセリフだとは思う。

 俺としては彼がどういう意図で言ったかによるんだけど。


「気にしてない」


 それを態々確かめる必要もないだろうと、俺はとりあえず首を縦に振った。言葉の真意が気にならないというよりは、この具合の悪い空間からさっさと逃げたいという思いが大きい。なにせ後ろに控えているお付きの顔が刻一刻と険しくなっている。


「そうか……気にしていないならそれでいいのだ。ところでこの後、時間はあるか?」


 その言葉が飛び出した瞬間、それまでひたすら熱い視線を注いでいたストロベリードリ子がキッとこちらを睨んだ。その目に宿っているのは敵意でも嫌悪感でもない。もっとシンプルな、そして同時にややこしくもある感情。すなわち嫉妬だ。

 この子は分かりやすくていいな。お付きはとりあえず不機嫌としか分からないから対応に困る。


「先約がある。友達とお茶に行く予定。ネンスも来る?」


「え……」


 王子は聞いたことのない言語で答えられたかのように固まった。もしかすると誘いを断られたことがないのかもしれない。少なくとも他人とお茶の約束があるからと言われたことはそう多くないのだろう。あるいはさらに同席を勧められて驚いたのか。自分で言いだした呼び名を呼ばれてショックをうけたわけじゃないことを祈りたい。

 まあ、なんにせよ慣れろ。この学院じゃ誰もが平等だと、自分でそう言ったんだから。


「き、貴様!さっきから聞いていれば殿下に対してなんたる無礼か!」


 当のネンス王子が復活するより早くお付きが爆発した。わりと整った顔を真っ赤にして怒鳴りあげるその姿はとても高貴なお付きとは思えない。


「殿下が直々に誘ってくださっているというのに、先約がある?お前のような卑しい家柄の人間にお声かけくださるだけでももったいないというのに!それを先約があるだと!?」


「あるものは仕方ない。他の友達も一緒でいいなら来ればいい。1対1で話したいならまた明日でいい?」


「な、こ、この……いいわけがあるか!殿下をどなただと思っているのだ!?」


「ネンスはネンス。クラスメイト。友達未満の知り合い?」


「き、貴様、どこまで、本当に、どの口で!!」


 お付きは怒りのあまり言葉が出てこなくなったらしい。少し怒りっぽすぎやしないか……。


「大体、さきほどから殿下の名前を何度呼び捨てにするつもりだ!?」


「そう呼べってネンスが言ったはず」


「また!あ、あれは普通のクラスメイトに対しておっしゃったことだ、お前ではない!」


 おいまて、俺は何時から隣のクラスに転属になった。

 珍しいことに内心を俺の顔が映してくれたようで、燃え上がるモスグリーンの瞳に怪訝そうな表情の少女が反射して見えた。


「なんだその「は?」みたいな顔は!お前が、オルクスの娘なんぞが殿下のお名前を気軽に読んでいいと思っているのか!?」


「お、おいやめろマレシス!」


 血管が心配になるほどヒートアップして叫ぶお付きを、ようやく事態に頭が追い付いたらしい殿下が呼び止める。少年、マレシスは怒りっぽいかわりにお付きとしては優秀だったようで、主人から静止の声がかかった瞬間に口を閉じた。顔はまだ真っ赤でこめかみもひくついているが瞬時に止まれるのは実に素晴らしい。


「いいお付き」


「ふざけるなよ貴様、俺は近衛騎士だ!」


 殿下が止める間もなくマレシスが吼える。手がなかなか見事な速さで左腰に伸びた。空を掴んだ感触に彼の表情が悔しそうなものに変わる。そこに何もなくとも動作だけで分かった、彼は今剣を抜いて切りかかろうとしたのだと。俺同様にその動作の意味が分かる者は騒然となる。それまでは成り行きを黙って見守っていたレイルとアベルも驚愕の表情を浮かべ、エレナに至っては片手を胸の高さまで上げていた。俺が教えた魔法の早撃ちに移る姿勢だ。もし剣が吊ってあったら大けがをしていたのはマレシスだったろう。

 マレシスも怖いけどエレナが数倍怖い……仕方ないのかもしれないけど。

 とはいえ今回は俺が悪い。褒めるつもりがとんだ無礼をしてしまった。騎士は誇りに生きる人種だ。それをお付きと間違えれば、まあ怒る。


「剣がなかったからわからなかった。失礼を謝る、ごめん」


 クラスはまたもざわめきだす。最悪のイメージを持つオルクスの娘が素直に謝ったことに。それを意外に感じたのはマレシス本人もだったようで数秒彼はキョトンとしていた。が、すぐに顔の赤みを取り戻して口を開く。


「ふん、所詮は卑怯者のオルクスか。剣の有無でしか判断できないとは!どうせ冒険者としての地位も金で買ったのだろう?汚い金を振るっても買える地位が冒険者のものというのが実に下賤な輩らしい!」


「マレシス!」


「……失礼いたしました」


 マレシスは俺が冒険者の地位を買ったのだと勘違いした。しかも冒険者自体をえらく下に見ているフシがある。しかも昔のアティネも斯くやと言う程オルクス伯爵家がお嫌いの様子だ。


「せっかくの申し出だが、お茶会は辞退しよう。また日を改めて声をかける」


 さすがにこのままお茶会に合流は無理だと思ったのか、最初から俺とタイマンで話がしたかったのか。いずれにしても王子はそう言って。教室を後にした。最後に一言だけ言い置いて。


「もちろん私をネンスと呼ぶことは許す。少し驚いたがな」


 その頃になると彼も王子らしい微笑を取り戻していた。


「……あまり調子に乗らないほうがいいですわよ」


 ネンスを追いかけるストロベリードリ子ちゃんがボソっと釘を刺してくる。さらに彼女に群がっていた煌びやかなご令嬢方も意味ありげな一瞥をくれていった。

 あーあ、女は怖いね。


「さ、お茶行こ」


「え、あ、そうですね?」


 なぜか疑問形になるアベルを連れて俺たちはカフェに向かった。


 ~★~


「アクセラちゃんはときどき煽ってるようにしか聞こえないよね」


「……やっぱり?」


 学院の商店街にあるカフェの中でも比較的空いていた2階建ての店でお茶を飲みながら、エレナからの指摘に眉根を寄せる。折角の2階テラス席だが、目の前に大きく張り出す街路樹の枝で景色は緑一色。それがこのカフェだけやや空いている理由だが、それは今どうでもいいことだ。


「自覚あったんですね」


「というかいっつもあんなカンジなのか……」


 アベルとレイルに呆れられてしまった。


「ん」


 自分のしゃべり方がまるで相手を煽っているようだということについては、結構前から察しがついていた。まったくそんなつもりはなくとも、端的に事実と感想だけを飾らず言えば大抵角が立つ。ただ分かっていてもどうにもならないことはあるのだ。今生の体はどれだけ頭を使っても端的にしかしゃべれない。長文でしゃべることも口をつぐむこともできるが、空気を読んだ表現というのが口をついて出てこない。なぜか皮肉を飛ばすときだけはきちんとストレートでない物言いができる当り、我ながらどうなんだと思わなくもないが。

 人間、無理なことは無理なんだ。仕方ない。諦めも大事だよ。

 表情筋が死んでるんじゃないかと思う程動かないこの顔にももう諦めがついている。


「その点マリアはすごい。ちゃんと言いたいことは言うけど、角は立てない」


「そ、そうかな?」


「ん」


 くすぐったそうに笑うマリア。素直さは美徳だと言うときの「素直さ」とは彼女のこう言う所なのだろう。俺のはただ剥きつけなだけだ。布教のためには反感は買いたくないというのに……。


「そういえば今年のAクラスは豪華ですよね、面子が」


「ん、そう?」


 アベルが違う話題を出したのでこれ幸いとそちらに飛び乗る。隣でエレナがジト目を向けてくるが気づかないふりだ。


「まず王子殿下と近衛騎士最年少と言われるマレシスくんです」


 現国王には王子と王女が3人ずついる。長子であり継承権1位のネンスを筆頭に弟2人と妹3人がいるわけだ。未来の王として極めて丁寧に育てられたため、品もよく優しいが同時に世間知らずなところがある。聡く賢い質なので学院生活が彼の世界観を広げてくれると貴族界の重鎮たちは期待しているのだとか。

 マレシスは最年少で近衛騎士になった凄腕。小さい頃から王子の付き人をしていたらしい。代々騎士団に所属している子爵家の出身で大人たちの都合もあり、生まれたときから王子の近衛になるよう育てられた男だ。

 最年少とはいえ、あれで近衛騎士か……この国の騎士団はそこまで強くないのかもしれないな。

 オルクス伯爵領の騎士たちの方がどう考えても彼より強い。ダンジョンを多く抱えていてもとは武闘派だったといっても、今のオルクス領の軍事力は脆弱の一言に尽きる。それに対して王国の近衛騎士は少数精鋭、国の威信を守る王の剣だ。レイルより強い程度で務まる気はしない。


「それにルロワ家のアレニカさん、フォートリン家のレイル、トライラント家の僕……各派閥の有力な家が集まってます」


 ルロワ侯爵家は政務長官、宰相の下で国務をまとめる役職を担っている家だ。代々実力で政務長官のポストを守り抜いている優秀な家だが、同時に家名を守るためならどこまでも冷酷になるとも噂される。ちなみに宰相はリデンジャー公爵が務めているのに、ルロワ家はザムロ公爵派の筆頭らしい。ナンバーワンの部下が他派閥の人間でいいのだろうか。

 フォートリン家はレグムント侯爵派、トライラント伯爵はリデンジャー公爵派の重鎮。ビシケント侯爵派からは重鎮と言う程の人物が来ていないが、このクラスにはそれ以外の四大貴族派重鎮と王族が揃っている。裏切りのオルクスまでいると考えると、たしかに豪華だ。


「一波乱ありそうで、僕は既に胃が痛いです」


「アベルが悩むことはないだろ」


「……じゃあレイルも騒動を起こさないでくださいね?」


 胃痛の原因たる男があっけらかんと答えれば、アベルはじっとりと澱んだ目で釘を刺す。この2人の関係は大人になっても変わりそうにない。


「アベル、私のトラブルは仲裁しなくていい。自分で始末つける」


「なんでトラブル起こすこと前提なの?」


「ふ、2人とも穏便に、ね?」


 オルクスのネームバリューもさることながら、さっきのやり取りだけでトラブルが発生するのは目に見えている。王子は日を改めて誘うつもりで、マレシスは様々な理由で俺のことが嫌い。そして純粋な嫉妬を叩きつけてくるストロベリードリ子ちゃんの存在。これで2か月トラブルが起きなかったら逆に陰謀を疑う。

 でも騒動は嫌だな、面倒くさいし。強い相手と戦えるなら別だけど。


「お待たせ!」


 我ながら戦闘狂らしいことをぼんやり思っていると、溌剌とした声が後ろからかけられた。なにかと思って振り向くとそこには2人の男女が。艶やかな暗紫のクセ毛を後ろで一つにまとめた姿は6年前の面影を濃く残している。ようやく再会の叶った最後の友人たち、アロッサス姉弟だ。


「アクセラとエレナもいるのね」


「全員そろうのは6年前のお茶会以来だっけ?久しぶり」


 真っ先に俺とエレナに近づいてきたアティネはじっとこちらの顔を覗き込む。釣り目がちな暗紫の瞳が嬉しそうにまじまじと見てきた。そこで彼女がうっすらと化粧をしていることにも気づく。学院は派手でなければそういうことも許可されているので問題はない。しかし問題どうこうの前になんだか違和感があった。

 まあ、男はどうしても化粧に苦手意識があるしな……よかった、まだそういう感覚は残ってた。

 化粧以外にも変わったところは多い。友達の中じゃ彼女が一番大人びた気がするくらいに。身長はエレナよりやや高い。個人差はあれど成長が止まるまでもう少しあると考えれば、彼女の背丈は女性の平均よりやや上くらいに落ち着くだろう。成長期にブレやすい体幹も落ち着いている。3枚重ねの制服を押し上げる胸元は、身長同様この場の女性陣で一番だった。エキゾチックな髪色と纏う白のコントラストからは妙な色香まで漂っている。


「何の話をしていたの?あたしにも聞かせなさいよ!」


 アティネは椅子を引っ張ってきて俺の隣に座り、身を寄せてぐいぐいと話題に食い込んでくる。こういうアグレッシブなところは昔から変わらない。無邪気に押しあてられるふくらみの弾力がすごい。頭の程度まで飛び切り大人びたわけじゃないようだ。


「ズルいなぁ、俺たち以外そろってAクラスに入ってさ」


 じゃれつく姉君の隣に弟が着席し、苦笑を浮かべてレイルに言った。彼も姉同様に著しく成長している。身長はレイルより高く、体つきも筋肉のしっかりついたものに。少し気がかりなのは彼の筋肉の付き方がやや騎士らしくないことか。レイルは騎士の剣を中心に武芸百般を叩きこまれているので型にはまった体形でなくてもおかしくない。しかしティゼルは正道の騎士として訓練されているはずなのに、重心の動かし方がどちらかというと軽戦士っぽいのだ。


「なんでオレ限定で言ったんだオイ」


「お前限定ってこともないよ。でもアベルやマリアがAクラスに入るのは納得だからさ。エレナとアクセラもね」


「やっぱオレだけじゃねえか!」


 同じ武闘派なレイルがAクラスで自分たちがBクラスなことが不服のようだ。といっても口調は穏やかだし、口元に笑みも見えるので冗談だろう。軽口の応酬をする姿に影はない。違和感も単なる方針転換の結果かもしれない。


「まあまあ、レイルもすごく勉強したんですよ?」


「う、うん。試験の少し前から、暗記したこと以外、な、なにもしゃべれなくなってた、から」


「それはさすがに引く」


「オイ、アクセラおまえ!」


 素直な感想を言ってやっただけだ。


「そういえば皆の寮はどこなの?ちなみにあたしはレッドローズ寮」


 レッドローズ寮は女子寮の中でもブルーアイリス寮と遠い。ぐるっと教室棟を回り込まないといけない。


「ブルーアイリス寮。ここ3人とも」


「うわ、遠いわね」


「むぅ、ほんとに。でも放課後なら簡単に会えるね」


「そうね。お茶にもショッピングにもいけるわ」


 彼女たちは完全に武闘派なので、冒険者の資格を得て外に行くというのも楽しそうだ。なにより一度この面子でダンジョンに挑んでみたい。


「オレとアベルはレッドフォックス寮だぜ。校舎から少し遠いやつ」


「俺はブルーバード寮。ブルーアイリス寮と対になってる所で、校舎に一番近いよ」


 なるほど、男子寮は動物の名前が充てられているわけか。それで色ごとに対応する男女の寮があると。


「ちなみに王子殿下とその近衛騎士がいる寮だよ」


 うわ、もしイベントがあったらあの連中と組むことに……それは面倒極まりないな。


「でも見事に寮まで別々ですね」


「楽しみだったのに、残念だわ」


 クラスも寮も違うとなるとやっぱり遊ぶ機会は減る。


「まあ、休みはできるだけ集まれるようにしよ」


「そうしてもらえると俺たちも嬉しいよ」


 ティゼルの穏やかな笑顔でその話題は締めくくられた。

 そのあとはただ時間が流れるまま、お互いの近況を語りながらお茶を楽しむ。なにせ6年だ、手紙で書けないこともたくさんあった。近況が終われば思い出話に、思い出話が終われば学院に入ってからのごく短い日々について、それも終われば将来について。そしてそのまま空の片隅が夜の色に染まるまで続いた。

 こんなに語り続けたのは何時が最後だったろう。さすがにエレナと2人きりでここまで話をすることはないし……そうだ、エクセララを造ったすぐの頃だ。大勢の同志と毎晩語り明かしたっけ。懐かしいなぁ。


 ~★~


「フローネ先生、どうしましょう……」


 学院の教員室、一人の女教師が絶望に染まった表情でとなりの机の女性に話しかけていた。ヴィヴィアン=ケイラ=シャローネ、1年のAクラスを担当する新米教師だ。


「ヴィアちゃんのしたいようにすればいいのよ」


 あっさりと難しいことを言う女性はフローネ=フォル=イリンダ、1年B2クラスを担当する教師だ。Aクラス以下は一つランクが下がるごとにクラス数が増える。なので彼女は2つあるBクラスの片方を受け持っていた。ちなみに教科は戦闘学で、もとは騎士団に在籍していた女傑でもある。


「だって!だって!!」


 半泣きになるヴィヴィアンにフローネは苦笑いを返すしかない。なにせAクラスの名簿は彼女も見ているから。

 聡いが世間知らずと噂の王子殿下。王子のためならどこまでも暴走する猪近衛。各派閥屈指の有力貴族跡継ぎたち。貴族界では知らない者のいないオルクス家の息女。

 なんでこんな色濃いメンバーで編纂したクラスを新米に任せるのか。学院長の考えはフローネに理解しかねるものだ。とはいえあの老人はニコニコと人のいい笑みを浮かべてドギツイ試練を課してくる。分かりかねるというよりも分かりたくない。


「ま、がんばれヴィアちゃん」


「フローネせんぱぁい!!」


 つい昔の呼び名になってしまっている後輩に苦笑を深めつつ、フローネはフローネで自分のクラスに頭を悩ますことになる。今年の新入生は、質も癖も一塩だ。


~予告~

王子ネンスを危機が襲う。

そのとき不思議なことが・・・!?

次回、煌めく稲妻


ネンス 「怒る!!」

マレシス 「殿下、それは違うヤツです!」

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