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帰還勇者の内事六課異能録  作者: 大正


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86:みんなでとれーにんぐ! 2

 午後に入り、一通りの人に身体強化の基礎を施した。フィリスのほうも徐々に人が増えてきて、光魔法による浄化の基礎を覚え始める者も出始めたため、フィリスは複数人同時に円陣を組んで同時に話し始めた。あっちは忙しそうだな。


 カルミナも自分の得意な種類の魔法の使い方を複数人に伝授し始め、徐々に人気が出だしている。俺はというと、午前中教えた身体強化に加えて各属性に値する魔法の種類についてイメージの伝達法を伝え、どのようなイメージを作っていけばより手早く効率的に強化していくことができるか、新しいコツみたいなものはないのかなど、色々と面倒くさいことを担当することになった。


 そのタイミングで、内村課長が戻ってくる。内村課長も俺の列に並び、身体強化を覚えるのか。


「六課の長が何もできないじゃ意味ないからな。俺も一つ頼むわ」

「わかりました、お手伝いします」


 本来若いほうがこういった技能の習得には向いているんだが、内村課長もかなり年上だ。その歳で新しい異能力を習得するには時間がかかるだろう。今日中に身体強化まで身につけられれば充分に頑張ったと言えるんじゃないかな、と、この時は思っていた。


「わははは、これは楽しいな。動き放題やりたい放題だ」


 ものの数分で身体強化のコツをつかむと、ぴょんぴょんジャンプしながら訓練場を駆け回る内村課長の姿があった。新しいおもちゃを与えられた内村中年は童心に帰ったがごとく、壁走りをしたり天井に張り付いてそのまましばらく保持したり、空中二回転半ひねりをして着地するなどやりたい放題動きたい放題にやっている。


 まあ楽しそうだから良いか。とりあえずこれでほぼ全員が異能力者としての素質を持った人間として第六課に所属していることになる。他の都道府県の異能力率を考えても、かなり高い割合で、もしかしたら京都辺りは全員異能力に目覚めているのかもしれないが、それでも二番手三番手あたりには位置づけることができるようになったはずだ。


 今後激化するであろう異能力者対策犯罪においても、バックアップメンバーを含めて異能力を使えるようになっている、というのは好都合だろうし、もし第六課というだけで身辺に危険が及ぶことになってもある程度自衛はできるようになった、というところだろう。


「進藤、他には何か面白い技とか技術はないのか。せっかくだし覚えられそうなものはあらかた覚えてしまいたい。たとえ初級でも心構えが出来ているのとそうでないのでは大きく変わるだろうし、今度京都府警の査察が入ったとしても楽しい結果をお返しすることができるだろうしな」

「そうですね、浄化を全員使えるようになることでシフトの効率化を行うことができるようにはなるでしょう。あとは異能力犯罪が起きた時に鎮圧に向かうメンバーを増やすこともできるはずです。その為に人払いの結界の技術を身に付けることも悪い話ではないはずです。それ以外の戦闘に関することなら大体のことは出来ますので思いついたことを教えてくれればそれなりに対処できるようにはできると思いますよ。まずは何がしたいか、ですね」


 まずは一通り覚えるのではなく、何がしたいから何を覚えたい、を明確にしてくれる方がアドバイスはしやすいし、それぞれの能力や技能についての講習もしやすい。内村課長が何をしたいか。


「そうだな……浄化と人払いは覚えたいところだが、向き不向きがあるだろうし、私が前線にでて戦うようなことは稀有なケースになるだろうからほどほどではいいとは思いつつも、みんなが色々出来て楽しそうな所に一人置いてきぼりにされるのも寂しいしな。しかし、やってみたいことか……そういえば、空中を歩いたりするのは出来るのか? 」


 少し考えた後内村課長からそんな提案をされる。空歩か。出来ないことはないが三種類のやり方があるし、俺はあまり得意ではないほうの技術だな。


「出来ないことはないですが、まず試行方法に三種類あります。風魔法の延長として自分の身体を浮かせて移動する、というパターン。これは風魔法に習熟することで、風を身にまとって風と一体化することで使用可能になる、という感じになります。もう一つは重力魔法ですが、これはかなり習得難易度が高い魔法になりますし、俺もどちらかというと苦手な部類になります。最後の一つは完全に異能力として空中を移動することができる、といった具合の指向性を持った異能力として身に付ける、と言った形になると思います」

「ふむ……どれも今日中にスパッと覚えてサクッと出来る、という部類ではないわけだな。わかった、ちょっと今のところは諦めて他の技能を習熟することに集中しようと思う」


 納得したのか、じゃあ何にしようかな……と考えながら、内村課長は列を離れていき身体強化の扱いを十全にできることのほうに情熱を傾けはじめた。


 そもそも、これだけの人数の異能力者を増やすこと自体がかなり珍しい出来事である、ということにはまだ気づかれていないらしい。このまま誰も気づかないほうが俺としては安心するんだが……と、鈴木さんが次の番か。さっき言ってた火魔法の強化方法について学びに来たらしい。


「一通り巡ってきたので帰ってきたわ。火の魔術の火力をもっと上げたり扱いをうまくする方法はないのかしら? 」

「まず、どういうイメージで火の魔術を使っているか、ですかね。そのイメージの方向がそもそも間違っているとか、俺達のやり方と違ったものだった場合、一から術式の組み直しをしてそこからイメージを組み上げていくような話になると思います。なのでまずは鈴木さんの火の魔術の術式構成から見ていく必要があるんですが」

「結構面倒くさいのね。一口に火が使える、ではダメなの? 」


 鈴木さんが不思議そうに尋ねてくる。そこから説明しなきゃいけないのかあ。


「まず、魔法という一つの構成要素があって、そこから火の魔法が使えるのが俺やフィリスやカルミナになります。同じ世界の同じ理の中から生まれた概念なのでそこは理解していただけると思いますが」

「そうね、三人そろって全然違う理屈で火の魔法を使っていたらそのほうが不思議よね」

「次に、たまたま同じような構成要素がこちら側の世界にもあって、それをベースにして魔法を行使している、という可能性があります。異能力者のほとんどはこれに当たる可能性があります。その為にはこちら側の世界の知識や概念、理屈を練り上げて形にする必要があるので、膨大な時間と膨大な人手が必要になります。いわゆる陰陽術とか西洋魔術とかがこれに当たりますね」


 俺も自力で調べた中での話になるのでうまく説明できないが、あっちの世界の理論とこっちの世界の理論があって、それぞれ通ってきた道は違うが最終的な出力として火が出せる、という形になっているということになる。


「最後は一番特殊ですが、火が出せることが結果として先に決まっていて、その間の術式や理屈はすっ飛ばしてしまえる部類になります。いわゆる異能力と呼べるのはこっちのほうが近いのかもしれません。理屈とか術式とか詠唱とかそういうものをすっ飛ばして、使えるから使えるんだ、という形のものになります。鈴木さんがどれに当たるのか、そこからまず調べなきゃいけないのでちょっと手間はかかりますが、とっかかりさえ作れば後は根性と努力でなんとかなる範囲だとは思います」

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― 新着の感想 ―
課長が可愛いなw
ちょっとした事で忍者か新体操選手みたいな動きを軽々こなせるようになったら楽しいだろうなあ
これで神のような存在を介する術とかあったら更に面倒になる
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