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031 母は強し

 3人の超人たちを再現した、MOB。

 それが目の前に現れ、自分のHPを一応確認した。


 HPは残り2割、トナカイは操られている。……これはダメだね。お手上げだ。

 ごめんね由鶴、翼さん。私を信じてくれたのに、こんな結果になっちゃって。


「ひどいお顔ですよ小雛さん。まさかもう諦めたわけではないですよね?」

「あはは、そりゃ諦めるよ。真紀さんいい性格してるね」


 性格がいいね、ではなくいい性格してるね。

 似てるようで、まったく意味合いが違う言葉を投げつけた。


「諦めてしまいましたか。そこまでするつもりはありませんでしたが……ではここで勝利の美酒に酔うとしましょう」


 真紀さんが手を挙げ、一斉攻撃を命令しそうになった。




 ーーーーその時だった。




 突如、天から人が降ってきた。

 親方! 空から女の子が! とかいう呑気なスピードではなく、弾道ミサイルかな? ってレベルの速度で落ちてきたのだ。

 都合よく、私と真紀さんの間に。


 漁夫。

 バトロワ系のゲームだとほぼ公用語として使われるこの言葉。

 2人が戦っている中に途中乱入して、その2人が消耗しているのをいいことに無双する、誰からも好かれないプレイングだ。


 その少女は長い金髪を携え、吸い寄せられるような真紅の瞳を気高く光らせていた。

 顔つきをみるに、18歳くらいかな。かなり若いのは間違いない。

 その少女の登場に、真紀さんは大きく狼狽えている。

 ……あんな冷静な真紀さんが、何でここまで狼狽えるの?


「お」

「お?」

「お母さま……」

「へー真紀さんのお母さま……お母さま!?」


 お母さまってあのお母さま!? Mother的な意味の、お母さま!?

 うっそでしょ。見た目18だよ? 真紀さんが17と仮定して、この人はいったい何歳なの……?


「真紀、随分と派手に遊んでいるのね」

「あ、いや……その……」

「前に他のゲームで遊んでいた時にも言いましたわよね? ゲームに支配を持ち込むなと」

「ひ、ひえっ……」


 うわ、なんか真紀さんお母さんに怒られてる?

 気まずい……私はどんな顔して突っ立っていればいいんだろう。

 もじもじしていると、真紀さんのお母さんが振り返って私の瞳を見つめた。どう見ても18歳前後にしか見えない。何なんだこの人。


「サンタクロースさん、ごめんなさいね。わたくしの娘がご迷惑をおかけしましたわ」

「い、いえ。そもそも普通にゲームで遊んでいるだけなので問題はないんですけど」

「いいえ。問題ありですわ。なぜならこの子はわたくしが叩き込んだ帝王学・心理学をゲームで悪用して人身掌握していたのですから」

「へー……え?」


 じゃあトナカイたちが操られたり、ユナちゃんたちが真紀さんの部下になっているのは真紀さんの心理操作ってこと!? ゲームから与えられたスキルではないってこと? こっわ……


「真紀、貴女の才能は認めています。ただそれを国民が遊ぶゲームの場で発揮することは禁止していたはずですわ」

「……はい」

「さぁ、遊ぶにしてもみなさんの洗脳を解いてからになさい。サンタクロースさん! 今日はうちの娘の負けです。でも、この子は自分1人の力でも立ち上がれますわ。その時はまた、相手してくださる?」

「は、はい! 喜んで!」

「ね、お友達というのは人身掌握しなくてもできるものですわよ」

「……はい」


 叱られた真紀さんはしょんぼりしながら私を見つめ、そしてそのままログアウトしたようだった。

 ……なんか、嵐がすべてを持っていったなぁ。

 でもこれも、真紀さんのお母さんが来るまで由鶴と、翼さんで時間を稼いでいた賜物だ。


「……でも、今度は真剣勝負で勝ちたいなぁ」


 私は空に手を伸ばして、ぎゅっと拳を握った。

真紀ちゃんのお母さま、アリス様の活躍は「天才令嬢アリス様が征く異世界パーフェクト攻略記」で(о´∀`о)

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