029 ペットにしたい
私はトランシーバーを握って、翼さんに語りかけた。
「翼さん、今から私は交戦に入ります。…………翼さん?」
返事がない。まさか翼さんがやられた!?
「よそ見ー?」
「うっ……!」
足元に魔法陣が投げられた。罠師とは名ばかりで、魔法陣をぶん投げて爆発させてくるんだからタチが悪い。
翼さんのことは一旦忘れよう。今は目の前のユナちゃんと真紀さんを倒すことにのみ集中するんだ!
「プレゼント・フォー・ミー!」
白い袋に手を突っ込む。引き抜いた手には黒くて四角い武器が握られていた。
「スタンガン!」
汚水の入ったバケツとかよりはマシなの出てきた!
「ユナさん、分かっていますね?」
「もちろんです姫様」
ユナちゃんは私がスタンガンを持った瞬間に離れた。戦い方が洗練されてる。イベント戦から成長しているみたいだ。
どうしよう、時間を稼げるならこちらに有利だけど、そんなこと許してくれるわけもない。どうしよう、どうしようどうしようどうしよう!
「小雛お姉さんってさ、可愛いよね」
「え、えっ? 何?」
あまりの唐突さに聞き返してしまった。
「ミニスカサンタなのを抜きにしてさ、小さいし、なんか全体的に白いし、可愛い」
「あ、そ、そう? ユナちゃんも可愛いと思うけど」
「だからもし私が勝ったら小雛お姉さん、滅びの国に入ってよ。そして私のペットね」
「……へ?」
「ずっとペットが欲しかったの。でも弱いペットはいらない。でも強いからと言って男のペットもいらない。お姫様みたいなご主人様タイプも違う」
ユナちゃんの顔は赤く染まっており、興奮が前面に出ていた。これは……アカン性癖をお持ちのようだ! 佐々木小雛人生最大のピンチ!
「わ、私も嫌だけど! 由鶴も翼さんも嫌がると思うから無し!」
「何いってるの? ペットは小雛お姉さんだけで十分。あのスナイパーは気が強そうで嫌だし、宝石お姉さんは背が高すぎて嫌」
「なんてわがままな!」
2人ともとんでもない魅力を持った女性なのに!
「ユナさん、お喋りはそのくらいに」
「はい姫様。よく考えておいてね小雛お姉さん。私のペットになれば、この世全ての快楽をあげる」
「なんか怖いからいらないけど?」
「マジックトラップ・プレゼント」
「えっ!?」
気がつくと私のスタンガンに黄色の魔法陣が現れていた。まさか、これが爆発する!?
「ばーん」
ユナちゃんの言う通り、私のスタンガンは大爆発を起こした。
「…………あっぶな」
「嘘、なんで生きて……」
私のプレゼント・フォー・ミーで出たアイテムは、時間経過で消えてしまう。今回はペットにするだのの話で時間が長引いたから、スタンガンが爆発と同時に消え、爆発のエフェクトだけが残ったのだ。
あとは驚いているユナちゃんを倒すのみ!
「ふっ!」
地面を蹴って加速した。
ここから先は、1ミリたりともミスできない!




