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023 順調!

「いっちょあがりー!」


 ギルド戦開幕と共に、由鶴の威勢のいい声がトランシーバーを伝って耳に入ってきた。

 流石というべきか、由鶴はビルの中から確実にヘッドショットを決めているみたいだ。

 願わくば、私の出番がないといいんだけど……


『こちら由鶴。回復中に1人そっちに行っちゃった』

「了解!」


 HPを使って銃を撃つという特性上、どうしても回復時に隙ができてしまう。その穴を突かれたら、私たちの出番だ。

 防衛拠点にはエリアフラッグという倒されたらエリアを奪われるキーアイテムがある。私はそれの真ん前に立って、仁王立ちしていた。


「見つけたぞ! 仲間の仇め!」


 アサシンのような姿の敵が、防衛拠点にやってきた。

 あれが滅びの国のメンバーなのかはわからないけど、向かってきた以上倒すのみ!


 ……まぁ、それをやるのは私じゃないけどね。


「翼さん、今です!」

「ぐあっ!?」


 アサシンのような敵は上から降ってきた宝石に押しつぶされ、身動きが取れなくなった。

 これが防衛拠点を護る二重構え。私一人が守っていると見せかけ、直近のビルに待機している翼さんが宝石攻撃で奇襲する。

 そしてトドメは……


「頑張ってトナカイたち!」

「ぶん!」


 私の使い魔的な存在である、8頭のトナカイに蹂躙してもらう。

 これぞ3人しかいない小規模ギルドであるPhoenixが取った、必勝戦略だ。


『小雛、翼さん、そっちはどうですか?』

「バッチリだよ! 由鶴の撃ち漏らしはちゃんと倒した!」

『言い方にトゲがあるな〜、生意気な小雛ちゃんは後でお仕置きだぞ〜』

『二人とも、目の前の敵に集中してください』

「『はーい』」


 ゲームに真剣な翼さんに叱られちゃった。


『……っ! こちら由鶴! 敵の大群を発見! 何あの数……50はいる!』

「ご、50!?」


 50人も一斉動員できるギルドって何!?


『なるほど、滅びの国がなぜあんなにもたくさんのエリアを獲得できるのか疑問でしたが、人海戦術だったのですね』

「人海戦術……物量で圧倒するってことですか?」

『関係ないよ。アタシの役割は1人でも多く、仕留めること!』


 トランシーバーからスナイパーライフルの狙撃音が聴こえてくる。きっと由鶴は無理してでもたくさんの敵を倒す気だろう。

 私も、準備しておかないと!


「プレゼント・フォー・ミー!」


 白い袋に手を突っ込み、何かを掴んで引っこ抜く!

 ふわふわして、心地いい感触。これは……


「しょ、」

『しょ?』

『しょ?』

「食パン!?」


 紛れもない、食パンだった。

 トースターでこんがり焼いてやろうか!!! このギャンブルスキルめ!!!

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