020 挑戦状
第二層にどっしりと構えられたカフェ、「brilliant」。
ここは座席数もライトの数も第一層のカフェとは桁違いに多い。カフェというより小さなパーティ会場みたいだ。
ここへ私たちを誘ってくれた御陵院真紀さんは、優雅に紅茶の入ったカップを口元に当てた。
「えっと……」
「ここにいる代表は頭のいい話が苦手なのでアタシが代行して話します。なぜアタシたちをカフェに誘ったのですか?」
「いえ、深い意味はありませんよ。空飛ぶサンタクロースがいるだなんて聞いて、落ち着いていられませんでしたのでお呼びしました」
私のこと!? まぁ悪目立ちしていたのはわかってるけど……普通声かけてくるかね。
「ギルド名、お伺いしてもいいですよね。それくらいの権利はありますよね」
「はい。【滅びの国】の代表を務めさせていただいております」
「ほ……」
「滅びの国!?」
滅びの国といえばエリア獲得数No1の最強ギルド! そして、翼さんがイベントで負けたのは滅びの国の副代表って言ってた!
「あら、ご存知でしたか?」
「え、えぇ」
「お2人のギルドをお伺いしても?」
「……Phoenixです」
「あら、偶然。斉藤が世話になりましたね」
斉藤さん……翼さんが言ってた副代表の名前と一致している!
「本当に偶然ですか? 申し訳ないですけど、アタシたちには貴女が信用できないです」
「あら、残念。どうすれば信用していただけますでしょう」
「腹、割って話せるのなら」
「……それは随分思い切った発言ね、黒川由鶴」
……!?
真紀さんの雰囲気が、一瞬で変わった!?
そ、それに……
「なぜアタシの名前を……?」
「調べはついているわ。イベント戦ではずいぶんと暴れたみたいね」
「待ってください。なんで由鶴の情報がそんな簡単に流出するんですか?」
「黒川由鶴がイベントで倒した人の中に、滅びの国のメンバーがいたのよ。うちのギルドは大規模なれど玉石混合。黒川由鶴程度に負ける人もいるわ」
「程度……?」
由鶴がぴくっと動き、声に怒気を込めた。
「ま、待ってよ由鶴! 喧嘩は……」
「先にふっかけてきたのはあっちでしょ!?」
「ふふ、熱くなりやすい方ですのね」
「……真紀さん、本当の目的を教えてください。どうしてここに私たちを?」
「えぇ、挑戦状を叩きつけにきました」
「挑戦状……?」
どういうこと? PVPでもしたいっていうの?
「明日のギルド戦、我々【滅びの国】のメンバーを数人、エリア1に向かわせます。もちろん私や斉藤ではないのでご安心を」
「なっ……」
「宣戦布告……しかもこんな小さなギルドに?」
「小さなギルドですが、あなたたちは大きな可能性を秘めている。放っておけば、いずれ大蛇になって私たちの脅威になると評価しての行動よ」
そう言って真紀さんは立ち上がった。
お会計を全部済ませた真紀さんは、こちらにひと目もくれずにどこかへ消え去ってしまう。
「小雛……」
「……やろうよ、由鶴! エリア1を守るんだ!」
私たちは決意を固めた。




