#4
わたくしはお父様のことが嫌いだから、素直に指示を従う気はない。
前世では何時かは逆らってやろうと思っていた時に命を絶った。
二度目となった今、わたくしはバーネット家の住人や使用人に復讐する。
たとえ反抗期であろうかなかろうかは問わずに――
「わたくしはおとうさまに……」
そう言いかけた時、部屋の扉が叩かれた。
時計の時刻は午後三時を回っている。
おやつの時間だ。
「お嬢様、おやつをお持ちしました」
お昼の時はメイドだったが、今回は執事がおやつをワゴンに乗せて入ってくる。
先ほどのメイドよりは数倍まともだ。
「きょうのおやつはなにかしら?」
「本日のおやつはプリンでございます」
「わぁ、かわいいですし、おいしそうですわ!」
食器はプラスチック製品なのは変わらないが、季節のフルーツをふんだんに使い、どうにか工夫してプリンを盛りつけたのだろう。
紅茶を注ぎながら執事は朗らかに笑っている。
「お嬢様。お気に召していただけましたでしょうか?」
「ええ。とっても!」
「ゆっくり味わってくださいまし」
執事は「また提げに伺います。失礼いたしました」と言い、退室した。
彼が持ってきたプリンをスプーンですくい、口に入れる。
とても美味な味わいだ。
少しプリンの型から取る工程に失敗してしまったのかは分からないけれど、頑張って作りました! という感じが伝わってくる。
少し失敗してしまっても、多少の誤魔化しかもしれないが、見た目はフルーツでカバーしたのかもしれない。
「おしいところではありますが、おいしいのはたしかですわ」
使用人はおそらくわたくしのご機嫌取りをしているのではないかと思っている。
お父様や一部のメイドに風当たりのよくない対応をしているのだから、わたくしの部屋に入る者は渋々食事やおやつを運び、機嫌を取るシステムを作っているのではないかと――
「ごきげんとりもほどほどにしていただきたいものですわ」
わたくしはご機嫌取りもいらないし、誰が部屋に入ったとしてもそこまで気にしない。
使用人だろうが、メイドだろうが、執事だろうがは問わない。
「これからこわしていきましょう。わたくしのまわりのかんけいを――」
まだまだ壊さなければならないものがある。
今は穏やか関係が続いていたとしても、いずれはその関係をすべて壊さなければならないから。
2022/09/30 本投稿




