第九七話 巨星の明晰夢
周布は常夜で近頃良く目にする謎の光景について、解析する。
巳代が鷲頭らと情報共有を行った日、周布と弥勒は常夜にて稽古を積んでいた。
「よく食らいついているな、弥勒。稲葉も顔負けの技量だ」
「それはさすがに……過大評価ですよ。剣だけでも稲葉さんに並べる様になれば……僕は皆の許に帰れるんです。もっと稽古を続けてください!」
「駄目だ、やりすぎても意味はない。過ぎたるは及ばざるが如しだ、休みなさい」
周布は弥勒と共に稽古場の常夜から現世へ戻り、弥勒を家へ返す為、皇家の送迎車まで送り届けた。
その後再び、周布は常夜へ入っていった。
そして祈祷台の前に座り、神通力の研究をすべく、八百万の記憶を覗いた。
その中で周布は、この頃よく映し出される光景に、頭を悩ませる様になっていた。
「また隕石が落ちる光景か……太古の昔ならまだしも、こんなビル群に落ちたことなど……ニュースの記録には残っていない」
それが未来の出来事なのかとも勘繰ったが、それも違うと思った。感覚的に、それが未来予知とは異なるものだと思ったのだ。
「つまりこれは……」
それは所謂、夢の様なものだと周布は理解した。それから周布はその意味を理解しようと、古文書を読み漁った。時にはインターネットを頼り、古文書の画像や原文を掲載している記事を読み漁った。
「巨星が落ちるというのは偉大な人物の死を表す様だが……現状に置き換えるならば、帝の譲位か。太陽が登り鳥が空を飛ぶのは、即位と祝福。しかしこの景色は……東京ではない。つまりはやはり……九州で帝の譲位と即位に異常が起こるということか! どこだ……これは九州のどこなんだ……!」
周布はそれからも、答えを見つけることは出来なかった。
弥勒と神通力の鍛錬をし、剣の稽古をし、神通力の研究をして、ラーメン屋に立つ。
「どこだ……どこなんだ……!」
明くる日もまた、鍛錬、稽古、研究、ラーメン屋と繰り返す。
「明日もまた、研究時間を夢の解析に費やすことになるだろうが……見つけ切はなくては、時間が無い……!」
その日の夜、周布は古文書を読み込んだ後、明かりを消して眠りに付いた。すると夢の中で、再び、巨星が落ちる景色が見えた。
「またこの景色……だが今は、現世だ。これは……本当に夢の中なのか?」
周布は自身が夢を見ていることを自覚しながら、夢の中で巨星が落ちてくる景色を見ていた。
「ここはどこだ、手掛かりを見つけなくては……!」
周布は、隕石の落下に巻き込まれまいと逃げ惑う人々を掻き分けながら、周囲を見渡し、ここがどこであるのか、場所を探った。
そこには、見覚えのあるゆるキャラがプリントされたお土産が、棚に陳列してあった。
「この黒いクマ、なんというクマだっただろうか。確か……」
隕石が衝突し地割れが起きる。衝撃波による瓦礫の破片が体に突き刺さりそうになった瞬間、周布は目を覚ました。
それからすぐに、弥勒へ連絡を入れた。
『譲位で問題を起こす不届き者の居場所が分かった。次の目的地は、熊本だ』




