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第七四話 兄弟子

 周布との訓練を経て、弥勒は周布との会話である事実を知る。そして神通力の底力についても教わる。

 周布は、余裕の笑みを浮かべていた。膝を突きながら息が上がっている弥勒を見ながら「勝負ありだな」と告げた。

 しかし周布は満足していた。奇策とも呼べる動きを見せた弥勒に、期待以上の居合が出来たと感じていたからだ。

「どこであんな動きを学んだのだ。まさか独学ではあるまい」

「日向分校在学中に、先輩の、棒術の泰斗稲葉潤から学びました」

「あぁ……通りであんな実用的な動きが出来た訳だ」

「ご存知なんですか……?」

「勿論だ。私が鍛えた」

 周布は、稲葉潤に棒術を教えていた。つまり稲葉は、弥勒の兄弟子ということになるのだ。

「どの様にして出会ったんですか。場所も離れていますし」

「六年前、彼が中学一年の頃に専属の師範として、彼に剣を教えていた。私は中退した後も暫くは、惟神学園所属の、非常勤の剣術師範だった」

「マスターが教えたならば、納得です。彼の動きは人外ですから」

「誰が教えても、彼は一流の剣士に成れただろうと私は考えているがな。彼はすぐに、槍や薙刀などの棒術、鎌術、体術で私を超えた。極めていたんだ。だから私は……彼の許を離れて、学園を去った。私の剣術は誰かに伝えたのだから、あとは在野で神通力を探究し、誰かにそれを託すまでだと思ったのだよ」

「もしそうならば、いつか僕の許をも去ってしまうのですか」

「分からない。極めてもいない神通力を、どの様に教えきるというのか」

「一つ質問してもいいですか」

「もうしているじゃないか、なんでも聞けばいい」

「以前マスターは、単に身体を強化する感覚感応よりも、神通力の真価は図り知れない……という様なことをしていたと思います。その時は流してしまったのですが、僕は巳代から、感覚感応も神通力も、人間が理解するために名前を付けられた概念というだけで、同じ様なものだと聞きました」

「そうだな、身体を強化したり、認知能力が向上したりする辺り、日本土着の概念か海外由来の概念かという違いでしかないと、そう考えることも出来る。だがそれは、どちらもよく理解しておらず表面だけしか見えていないからこその景色だ」

「つまりやはり……本質的に異なるものなのですか……?」

「そうだな。神通力は八百万の神と自らを通す力で、底力が違う。大小様々だが、心を通わせることで、いうことを聞いてもらうんだ。聞こえない耳の代わりに心を読んでいる君や、まだ人の形を保っている霊を自らに憑依させるイタコの様な小さなことから、火を纏ったり、天候を操り氷や雷を自在に操ったり、時間や空間を歪ませ破壊し再生させるなんてことも出来る。当に神業だ」

「マスターも……それが出来るのですか?」

「ある程度はな。触れずに物を浮かせたり、火力を操作してガス代を浮かせたりくらいはお手の物だ」

 周布は笑った。渾身の冗談だったが、弥勒は真面目に聴き入りすぎて、笑ってくれなかった。周布は、少しへこんだ。

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