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第五三話 突然の事件

 弥勒を除く生徒らを、迎えの車が来る大通りまで連れていく周布。しかし大通りで、衝突事故が起こって……。

 周布すふの、もっと話したいという誘いを、弥勒は承諾した。しかし弥勒を一人で店に残す訳にも行かず、周布すふは全員を連れて通りの方へと向かった。店から僅か数百メートル、扉を締めてから、二分程で辿り着く道だ。そこで迎えが来るまで、待つだけである。本来は、そうなる筈だった。

 タイヤが滑る高音の後、大きな衝突音が響いた。その後クラクションのロングトーンが鳴り響き、群衆のざわめきだした。

 先頭を歩いていた周布すふは、車が車へ衝突する瞬間を目撃していた。

 周布すふは、とにかく現場へ近づくべきではないと判断した。あと数十秒店を出るのが早ければ、巻き込まれていたかも知れない距離での事故だ。慌てふためく五条ら学生達の安全を確保すべく店へ戻そうと思い、振り返ったその時だった。

「小野の売女ばいたがぁぁぁ!」

「待て私は小野ではな……」

 男性二人のやり取りの直後、二発の発砲音が聞こえた。

 周布すふは気付いた。暴力団が、人を殺したのだ。なんと運が悪いと思ったが、逃げ惑う群衆がラーメン屋へと続く狭い通りへ雪崩込んできた。

 このまま店に辿り着いたとしても、もう扉の鍵を開ける時間もなく、下手をすれば学生らが群衆と壁に挟まれ怪我を負いかねない。そう感じた周布すふは、途端に体が動いた。

 背が低い隣の青果店の屋根の上に置かれた台車が、見えた。周布すふは咄嗟に跳躍して台車を掴むと、通りへ蹴落とした。

 突然の出来事に、群衆は足を止めた。僅か数秒ながら猶予が出来た。その隙に周布すふは通りへ飛び降り、鍵を開けてラーメン屋へと戻り、鍵を閉めた。

 群衆が通りを、左から右へと駆けていく。尚も銃声やクラクションが響いていた。

周布すふさん……今の動きって、第八感絶対認識ですか……?」

 弥勒の声が聞こえ、周布すふは「そうだ……田舎者だからか、私も感覚感応者だ」と答えた。

「皆、怪我はないか……突然のことだったが、不幸中の幸いというやつか」

 周布すふがそういった瞬間、すぐ近くで銃声が響いた。それは僅か、四〜五メートル先での発砲だった。

「ちゃんと殺れたか、学生五人と頭にタオルの巨漢とのことだが」

「死体は見てない。もう一般人も殺したんだ。ここで逃がす訳にはいかん」

 扉やガラス窓のすぐ近くで聞こえたその会話に、全員が息を飲んだ。会話の中の人物が、当に自分達であることに、全員が気付いていたからである。

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