60話 差別の濃度。
60話 差別の濃度。
「あなたと同じクラスだというだけで、身が引き裂けそうなほど恥ずかしいですよ」
「はは。ラスって、ほんと、口と性格が悪いよねぇ」
と、おかしそうにケラケラわらっているレクの隣、
ポニーテール担当のリノが、おずおずと、
「あのさ……どうして、クロッカ様は、あのセン先生を、ダソルビア魔術学院に送り込んだのかな? 実験って言っていたけど……お遊びで、そんなことするかな?」
ボソっとそう言った彼女の発言に、
ラスが、椅子に深くもたれかかり、腕組をして、
「クロッカ様が、ウワサ通りの人物なら、お遊びで魔人を魔術学院に送り込むこともありえると思いますよ。……ただ……」
「ただ……なに?」
「……クロッカ様は、何かを企んでいる……という噂もありますので……『そっちのウワサ』をメインにして『予想をたてる』とするのであれば……これは、『挑発行動』……ではないでしょうかね」
その発言に対し、ギャル担当のレクが、
「は? どういうこと? 全然わかんないんだけど、かみくだいてくれない? そうじゃないと、マジでなんもわかんない」
「……この学校の理事であるエトマス様は、パルカ様直属の十七眷属です。だから、この学校を卒業した有能な学生は、『パルカ様の派閥の組織』に配属されることが多い。ようするに、魔術学院は、『パルカ様の派閥のコマを育てる機関』とも言えるわけです。そんな魔術学院に、クロッカ様が、ご自身の犬をねじこむ……それも、ただの配下ではなく、魔人を……これは、もはや、破壊工作……ある種のテロ行為と言えるでしょう」
「えっとー、ようするにぃ、クロッカ様が、パルカ様に嫌がらせするために、あの変態を、ここに送り込んだってことー?」
「その可能性は、それほど低くはないと僕は考えます。クロッカ様は、かなり奇抜な思想の持ち主であり、もしかしたら、『革命』を考えている可能性もなくはない……という奇異なウワサも、たまに耳にします。それがもし事実であるなら、魔人を学院に送り込んでもおかしくはない」
そんなラスの発言に対し、ギャル担当のレクが渋い顔で、
「流石に、それは、飛躍しすぎじゃない? 革命とかは……流石に、やんないんじゃない? だって、意味ないしさぁ」
「僕も、クロッカ様が実際に革命を起こす可能性は低いと思いますよ。しかし、クロッカ様とパルカ様は、お互いに対して、よい感情をいだいていない……という噂はよく聞くので……あの魔人を学校に送り込んだ理由が、『クロッカ様なりの、パルカ様に対する嫌がらせである』という可能性は非常に高いと思いますよ。……というか、おそらく、その辺が事実でしょう」
「それがマジだとしたら、ウチら的には、めっちゃ迷惑じゃねー?」
「ええ、僕らとしては、迷惑極まりない話です。上流階級の兄妹ゲンカに、巻き込まれる形になるわけですから」
と、そこで、クラスの内気担当、
前髪目隠れの陰気女子『ハプ』が、
「……ぁ、あの……」
と、掻き消えそうな静かな声で、
「……魔人の兄妹? が……これから、クラスメイトになるって話……あれ……みんな……どう思った?」
その問いに、ラスが、
「ありえない話ですね。魔人と同じクラスで勉強するなど……本当に勘弁してほしいですよ。親戚にバレたら、なんと言われるか……はぁ……」
と、深いため息をつくラスの隣、クラスの『遊び人担当』の自由人『マト』が、
「あの兄貴のほうはどうでもいいけど、妹の方はそれなりに可愛かったから、おれとしては別に文句はねぇけどなぁ。むしろ、ラッキー」




