278話 レスバ最強!
278話 レスバ最強!
「んー……そうですねぇ……とりあえず、罪を認める、ということはないですねぇ。そちらのパッサ先生に、暗殺を依頼したことはないので」
「しらじらしいな。口だけなら、なんとでも言える」
「それは、こちらのセリフですが、このままでは水かけ論ですね。ちなみに、俺が暗殺を命じたって証拠って、なにかあります?」
「私の部下が嘘をつくはずがない」
それを聞いたセンは、
(えぇ……マジぃ? それだけ? 何かしら、俺がやったように見える捏造証拠とかなし? 信じられねぇ。笑えてくるぜ……)
心の中で呆れつつ、
「なるほど。了解です。じゃあ、失礼します」
そう言って席を立とうとする。
そんなセンに、ヒークルが落ち着いた声音で、
「どこに行く気だ」
「証拠はない様子ですので、魔人たちの指導訓練に戻ります。俺、忙しいんですよ」
「ナメているのか? それとも、この審問会を侮辱しているのか」
「いやいや、あのねぇ、ヒークル様。……その言いがかりが通るんだったら、法とかいらないんですよ。なんだったら、俺も、クロッカ様に言いましょうか? ヒークル様に殺されかけたって。クロッカ様も、きっと、ヒークル様と同じことを言ってくれますよ。『私の犬が嘘をつくはずがない』って。そっちの理屈が通るなら、こっちの理屈も通りますけど、大丈夫ですか? ヒークル様よりクロッカ様の方が『立場が上』なので、『屁理屈のゴリ押し合戦』になったら、そっちの方が不利ですよ。それとも、こんなしょうもないことで、ガリオ様に、泣きつきます? 別にいいですけど……恥をかくだけだと思いますがねぇ。そうでしょ、ガリオ様」
そんな風に問われたガリオは、
冷めた声音で、
『ごちゃごちゃ言っていないで、説明責任を果たせ。センエース、貴様は、ヒークルの部下を脅して、ヒークルを暗殺しようとしたのか?』
「メリットがないっすね。あと、もし、俺に、ヒークル様を殺す気があるなら、確実な方法を選びます。少なくとも、ヒークル様の部下を暗殺者には選びませんねぇ。あらゆる角度から見て、成功の可能性が低すぎる。この状況で、俺を犯人扱いするのは、相当なアホですが……ガリオ様の知能指数はいかほど?」
『相変わらず、ナメた口の利き方だ。暗殺云々関係なく、もう、いっそ、この場で殺してやりたいよ』
「まあまあ、落ち着いて、落ち着いて。一休み、一休み」
そこで、ガリオは、大きく深呼吸をしてから、
『……いったいぜんたい、カラルームの街は、どうなっているんだ。諸々の経過報告を聞く限りでは、極めて順調に、壊滅の道を進んでいるようにしか思えないのだが?』
「そうでもないでしょう。現状、即席のセンエース戦闘団がうまいこと機能しつつあります。アンデッド軍団は撃退し、民衆に被害はありません。練度が足りていなかった『ヒークル様の部下たち』は、ボッコボコにされた上、内部分裂で暗殺事件とかも起きていますが……俺の方は、極めて順調に、カラルームの街を防衛できております。ヒークル様の視点でばかり状況を見ずに、ぜひとも、こっちの視点で戦況を見て欲しいですね。そうすれば、正確な現状が把握できると思いますよ」
そこで、ヒークルが、
「内部分裂など起きていない。テキトーな中傷で、私の名誉を傷つけるのは許さんぞ」
「一生、ブーメランが刺さってんですけど。俺、今、やってもいない暗殺事件の首謀者にされそうになってんですけど」
そこで、ガリオが、
『水掛け論はその辺でいい。……ヒークル、何か証拠になりそうなものはないのか。センエースが暗殺を企てたという証拠』
「そんなものはございません。まだ調べているわけでもありませんから。私は、昨夜、殺されかけ、暗殺者に、殺意の理由を尋ねたら、センエースが黒幕だと言われた。それだけです」




