272話 十八番。
272話 十八番。
流れの中で、センは、センエース戦闘団に、
『カラルームの魔人たち』を混ぜ込んで、
数十人規模の魔人部隊に仕立てると、
「いくぞぉおおお! 殺せ、殺せ、殺せぇえええ!! SATUGAIせよぉおおお!」
猟奇的な号令を出して、
リッチたちをボッコボコにしていく。
クロッカ直属の精鋭10人は、みな、存在値50前後という、
だいぶイカつい実力者たち。
ジバ&ビシャを合わせれば、『十七眷属全員とほぼ同等』と言ってもいい、とんでもない戦力。
その膨大な戦力が、カラルームの魔人たちと力を合わせ、
センエースという絶対的リーダーのもとで一致団結。
暴風のように、
リッチを飲み込んでは殺戮していく、
残酷なショーと化した舞台。
休むことなく、暴れて暴れて暴れて暴れて、
途中で、ヒークルをちょっと回復したり、
パーリナンとカイにも手伝ってもらったりして、
残っているヒークル精鋭部隊の手も借りて、
……どうにか、こうにか、
カラルームの街は、『数十体のリッチ』という災害を殺し切ったのであったとさ。
めでたし、めでたし。
★
カラルームの街の住人たちは、
センエース戦闘団に、深く、感謝の念を抱いた。
魔人に対して差別的な面々も、
これだけの災害にあって、かつ、
『その災害から命がけで救ってくれた』という事実があると、
さすがに、いつまでも差別的ではいられない。
……もちろん、中には、『道具が主人を助けるのは当たり前』『もっとはやく助けにきやがれ、そうすれば、被害をもっと抑えることができた』などとのたまう、差別意識ゴリゴリのバカもいるにはいるが、割合としては、多く見積もっても半々。
基本的には、『助けてもらってありがたい』という、当たり前の感情でもって、センエース戦闘団を受け入れた。
……その事実が、とにかく面白くない……どころか、普通に『許せない』とまで思ってしまうのが、我らがヒークル様。
くそったれな性根は、命の危機を乗り越えた今も変わらない。
変わる事などない。
むしろ、ヒークルの中での、センエースに対する憎悪は、さらに深く重く増している。
『恥を棄てて、助けてくれと叫んだのに、シカトしやがったクズ』
それが、ヒークルの中でのセンエースの全部。
結果として、センは街を救ったし、なんだかんだヒークルの命も救ったわけだが……そんなことは関係ない。
どうでもいいのだ、そんなこと。
喉元過ぎれば熱さを忘れる。
「この、糞犬がぁああああ!」
リッチ戦の後処理が、あらかた終わって、落ち着いたところで、
ヒークルはセンエースを会議室に呼び出し、
顔を見るやいなや、
バギィ!
「ぐえっ!」
思いっきりぶんなぐった。
センエースが近くにいると、とりあえず殴る……というのが、もはや習慣になってきている。
センは殴られた箇所を押さえながら、
「すげぇっすね。あれだけ頑張った俺に対して、暴力をぶちかますとは……」
「頑張っただと?! ふざけるな! いったい、どれだけの犠牲が出たと思う! 貴様がモタモタ闘っていたから、私の精鋭部隊はほぼ壊滅状態だ!」
「でも、住民には、ほとんど被害が出ていませんよ。まあ、『リッチにされてしまった人たち』は死んでしまったわけですけど……でも、それは、俺のせいじゃないんで」
「住民などどうでもいい! どうせ、放っておけば勝手に増える! それよりも、私の手足たる精鋭部隊の方が問題だ! 貴様のせいで、壊滅してしまった! どうしてくれる! 責任をとれぇえええ!!」
支離滅裂は、もはやお家芸。
十八番と言ってもいいレベルの暴挙。
センは、呑気なトーンを貫いたまま、
「仕方ないですねぇ。では、責任を取って、この街を守らせていただきます」
「なに?!」
「これまで、ヒークル様の精鋭部隊が担っていた『街の保安』を、今後は、我々、『クロッカ様直属部隊センエース戦闘団』が、責任をもって取り仕切っていこうと思います。それで、問題ないですよね」




