267話 デスを倒せ。
267話 デスを倒せ。
『ドラウグル戦に参加し遅れたのはチャラってことにしませんか?」
『……』
「まだ、何かご不満点でも?」
『噂のアンデッドを……デスを倒せ。それが私の命令だ。一連の面倒事の処理は、全て、その命令に関連していること。その面倒事の処理に失敗し、多くの死傷者が出ている。今の貴様は、報酬の上乗せなど言える身分ではない』
「ほうほう、なるほど。命がけで戦い続けてきて、疲弊しきっている俺に……そんなことを言いますか。世知辛い世の中ですねぇ」
『……』
「一言ぐらい、ねぎらいの言葉があってもよろしいのでは? 実際、ほら……こんなにボロボロになって、この街を守ったんですよ?」
『……』
ガリオは、しばらく考えてから、
『デスを倒せ。そして街を守れ。そのために……できることを全てやれ。命令だ。わかったな』
「はーい。了解です」
そこで、ガリオとの通信を切った。
すると、それと同時、
真っ赤な顔をしたヒークルが、
「がぁあああ!」
と、思いっきりぶんなぐってきた。
ガツンと頬にぶちこまれたが、
しかし、下痢で体力を消耗しているせいか、力がほとんど入っていない。
「いきなり、なんですか、ヒークル様。……体調不良のせいか、その拳、全然痛くありませんが……殴られたという事実が不快ですねぇ。なんで、俺が殴られなきゃならんのですか? 俺、なにか悪い事しました? 頑張っているだけですよ。ついでに、そこそこ結果も出していますよ」
「やかましぃいいいい! いい加減にしろ、貴様ぁああああ! うわぁあああああ!!」
と、癇癪をおこした3歳児のように、ただただ不満を叫ぶヒークル。
ひたすら、センに、殴る蹴るの暴行を加えて……
その途中で、ズリっと、
「うおっ」
自分の暴力に、体が振り回され、
足をすべらし、その場で、すってんころりん。
体勢の崩し方がまずく、頭から地面にダイブ。
「ぐぁああああっ!」
とんでもなくみっともない姿をさらしているヒークルに、
センは、ソっと、手を差しのべて、
「だいじょうぶですかー? 頭、なでなでしましょうかー?」
と、バッキバキに煽られて、
「うぎいぃいいぎぎぎっ――がっ」
限界以上にブチ切れてしまい、
結果、血管が切れてしまったかのような、
プツンとこときれた顔で、そのまま失神してしまった。
死んではいないが、青い顔で白目をむいている。
だいぶ心がすり減っているのが見て分かる。
センは、ヒークルのケアを、パーリナン&カイに任せて、
会議室を後にした。




