265話 センの問題。
265話 センの問題。
ガリオも含めた通信会議の結果、
ドラウグルの暴走は、
『セラフ』の差し金であり、
卑劣な奇襲である……と結論づけられた。
アンデッドが、アンデッドを作成するというのは、よくある話なので、
誰も、その結論に疑問をはさまない。
今回はなんとか撃退できたが、
今後も、こんな奇襲が続くとなると、街が疲弊しきってしまうと懸念。
ただ、あれほど強力なアンデッドは、そうそう作れないだろう、だから、しばらくは大丈夫だろう……
という、楽観的な結論で落ち着いたりもしてみたり。
……そんな風に、現状の理解と、今後の対応策等を、一通り、会議し終えたところで、
『センの問題』に話がうつった。
問題というのは、もちろん、
『登場するのが遅れたこと』
センエースが、もっとはやくに出動していれば、被害はかなり抑えられたはず。
『いったい、何を遊んでいたのだ』……とガリオ&ヒークルに詰められたセンは、
まっすぐな顔で、
「トイレでふんばっていました。誰だって、お腹が痛くなることはあるでしょ?」
シレっとそう言う。
ヒークルは、ふざけるな、と切れ散らかした。
お前の責任だ、お前が悪い、
と、アホウのように叫びまくるヒークル。
その途中で、センは、無詠唱で魔法を使い、
ヒークルの腹部に攻撃をしかけた。
効果はシンプルだが、地獄的。
『生ガキに当たった時ぐらいの下痢』になる魔法。
「うおっ……」
腹を押さえて、真っ青な顔になるヒークル。
説教中なので、頑張って耐えようとしたが、
しかし、
「ぐ……うっ……急用をおもいだした……少し……席を外す……」
そう言ってトイレにかけこむヒークル。
そんな彼のあとを、ダッシュで追って、
センは、
「大丈夫ですか、ヒークル様! ケツをふく紙、ありますぅ?」
と、『ヒークルがトイレにこもったこと』を『センが認識したこと』を、わざわざ伝えてから、
会議室に戻り、
ガリオに通信魔法を使い、
「ヒークル様がトイレにこもってしまいました。ガリオ様との会議中だというのに、なんということでしょう。まあ、でも、仕方ないですよね。腹痛って、そういうものですから。誰も責められません。そうですよね、ガリオ様。俺、何か、間違ったこと言っています?」
『……センエース。流石に調子に乗りすぎだ』
「そうですか? でも、調子に乗るぐらいは許した方がいいんじゃないですかね? だって、俺がいなかったら、この街、終わっていましたよ」
『……』
「噂のアンデッドが、どんだけヤバいか、今回の件で、少しはご理解いただけましたかね? 噂のアンデッド……もう、めんどいんで、名前つけましょうか。えっと、『死神』にしましょう。安易ですがわかりやすいでしょ。……デスは、相当強いアンデッドですよ。今回、俺が追い返した、デスの配下……『俺のフォースアイ』で見通したところ、『王級モンスターのドラウグル』ってやつでした。いやぁ、ほんとびっくりしましたよ。マジで強くて」
『王級……』
「それほどのモンスターを、激しいゲリで体力が低下していた状態でも倒してしまった俺、すごい! そう思いませんか、ガリオ様」
『……王級のモンスターなど、ただの伝説で、実在はしない。いい加減にしろ』
『最上級(存在値120相当)』が『モンスターという種の限界』で、
それ以上は『眉唾の伝説』でしかない……というのが、この世界のモンスターの階級に対する常識。
『アカシックレコードに触れることができる魔法』とかも存在するので、
モンスターの階級に『神級』や『大神級』というのがある……というのを聞いたことはあるが、ガリオは信じていない。
『センエース、あれだけ豪語しておいて、結局のところは、このありさまか。カラルームの街は、貴様の怠慢のせいで、壊滅寸前ではないか。領主のヒークルは大ケガを負い、街の防衛の要である精鋭部隊も大打撃を受けた。その責任……どう取るつもりだ』




