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263話 命の重さを思い知れ。


 263話 命の重さを思い知れ。


「謝罪していれば、許してやったのに」


「……ぇ」


「この場での選択肢で、全部、裏目を引いたな。生き残れる可能性は、各所で、普通にあったのに、常に自分から、投げ捨てていやがる。愚かにもほどがある」


「……ぁ……」


「流石に可哀そうになってきたから、最後にもう一度だけチャンスをやるか。……これが本当の最後だ。気合い入れて結論を出せよ。死ぬ気で謝罪するか、それとも――」


「もうしわけありませんでしたぁああああああ!!」


 必死になって、声を枯らして、

 救いを求めていくディック。


「お願いします! 許してください! お願いしますぅうう!」


 と、何度も、何度も、必死に謝罪の言葉を述べるディック……

 センは、そんな彼の肩に、ポンと手を置いて、ニコリと微笑み、


「ゆるすわけねぇだろ、ぼけぇ」


 と、底冷えする声で、そう言った。


「……へ」


 真っ白な顔で、目が点になるディック。

 そんな彼に、センは続けて、


「こういう遊びを、お前らは、魔人相手に、よくやっているよな。希望を与えてから、叩き落す。その方が面白いから。お前もやったことあるだろ? 言っておくが、嘘ついても意味ねぇぞ。事前に、この街の兵隊に関する調査は済ませてあるから。まあ、やったのは俺じゃないが」


 邪教団ゼノが調べた情報を、センは、一応共有している。

 知りたくもない胸糞案件ばかりだったので、出来れば目を通したくなかったが、これは自分が背負うべきものだと割り切って、全ての事実と向き合った。


「今、俺がお前にやったのとは比べものにならんぐらいの腐れ外道な行いを……おまえは、これまで、魔人に対し、散々やってきている。そうだろう? ま、お前だけじゃないが、お前もやっているのは間違いない。だろ?」


「……」


「お前らに弄ばれ、すりつぶされてきた魔人たちの怒りを………………思い知れ」


 そう言いながら、

 センは、自分の影から、『不可視化状態のセラフ』を呼び出して、

 ディックに、無詠唱で、


(――不死賛歌ランク17)


 『対象をアンデッドモンスター化させる魔法』をかけさせる。

 よほどレベル差がないと通らない魔法だが、

 セラフとディックのレベル差はいかついので、余裕で通る。

 さらに、これだけ高ランクの魔法になると、相当上位の不死種モンスターに変化させることが可能。


「グ……ギギィ……」


 セラフの魔法により、ディックは、

 王級モンスター『エターナルコール・ドラウグル』へと変化した。


 人だった頃の自我を失い、創造主であるセラフの命令に忠実なアンデッドとなる。

 その存在値は『150』に到達しており、

 単純な数値だけで言えば、『世界最強の悪役令嬢クロッカ』とほぼ同等。


 センは、ドラウグル化したディックを尻目に、

 5人のガキと、ついでに、ダカにも、


「こりゃ、大変だ。なんでか知らんけど、ディックさんが、恐ろしいアンデッドになってしまった。こいつは強すぎて、俺ではどうしようもないな」


 と、棒読みで、そんな事を言ってから、


「おっと……アンデッドになったディックさんの強さがハンパなさすぎて、俺の限定空間内にとどめておくことができない! くっそーっ」


 ひたすら棒読みでそう言いながらパチンと指を鳴らすと、

 ディックだけが、限定空間の外に放り出される。


 この空間の外は、もちろん、カラルームの街。

 ようするに、『クロッカに匹敵するアンデッドが、街に解き放たれた』ということ。

 ――その恐ろしい現実を理解するぐらいの頭はあるので、ガキどもが、


「「「「「あ、あああっ!」」」」」


 と、両親や知人や友人等が惨殺される可能性を想い、悲鳴をあげる。



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― 新着の感想 ―
「ゆるすわけねぇだろ、ぼけぇ」の一言が最高にスカッとしました!相手が今までやってきた悪行を、そのままの形で、しかも何倍もの絶望にして叩き返すセンの冷徹さがたまりません。
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