262話 ハンマーセッション。
262話 ハンマーセッション。
ここでセンがいうところの『クロッカにやらせたい』というのは、直接的な躾をやらせるという意味ではなく、
『こいつらの親への教育に関する指導』や、『ガキのしつけに関する国の方針決め』を、クロッカにやらせたいという意味である。
『公共の場で走り回って他人に迷惑をかけるガキを見つけたら、周りの大人全員で、ぶんなぐって注意しましょう』――というのを条例として組み込む。
……みたいな感じ。
本来の『王』の仕事は、そういうもの……というのがセンの中の認識。
センは、そこで、ガキ大将の目を、とても強い視線で睨みつけ、
「想像力の欠けたバカは、『痛み』を伴わないと、学習しねぇ。『体罰は問答無用で悪』――なんて論法でガキと対峙していたら、ワガママ放題のカスが量産されるだけだ。『対話で理解できる賢いガキ』をわざわざ無意味にぶん殴る必要はないが、『殴らないと理解しないバカガキ』がいるのも事実なんだから、そういうゴミは、ボッコボコに殴って矯正すべきだ。まあ、たまに、『どんだけ殴っても意味ねぇサイコ』もいるから、殴ればいいってわけでもないんだが……ほんと、教育ってのはムズイよな。だから、関わりたくねぇんだ、ほんとはな」
と、個人的な持論を展開しつつ、
ガキ大将に、
「クソガキ……てめぇには『痛み』を教えた。『他人に向けた悪意』はいずれ、自分に、そっくりそのまま返ってくるっていう、シンプルな『ハンマーセッション(脳天に響く授業)』。……てめぇが『年端もいかねぇガキだ』ということを最大限考慮し……今回だけは、これで見逃してやるが……ここまで手厚い配慮は、今回限りだ。次、俺の前で、てめぇが、一個でも……何か、一つでも……俺のイラつくことをしたら……その時は容赦なく殺す。迷わず殺す。拷問した上で、一族郎党皆殺しにする。わかったか、クソガキ」
「ひっぐ……は……はい……」
声を殺してうなずくガキ大将。
センは、そんな彼の後ろで絶句しているばかりのガキどもにも、
「てめぇらにも言ってんだよ、返事しろや、クソガキども。それとも、同じ目にあいたいか? ……ていうか、あわなきゃ分からんか」
その言葉に、ガキどもは、慌てて、返事をするが、時すでにお寿司。
センは、握りしめた拳を、ガキどもの脳天に一発ずつ叩き込んでいく。
全員を平等に殴ったあとで、センは、ハレバレとした顔で、
「やはり、暴力はいい。暴力だけが、俺のかわいた心を潤してくれる」
などと、猟奇的なことを口走る。
センに対する恐怖心で頭がおかしくなりそうなガキども。
そんなガキどもに背中を向けて、
センは、ディックの元まで舞い戻ると、
頭から血を流して動かないディックの胸倉をつかみ上げ、
最低限、喋れる程度に回復魔法をかける。
「さて……ディックくん……お待たせ。第二回戦といこうか。ここから、じっくりと死のうねぇ」
「あ……あ……ぐ……」
意識を取り戻したばかりで朦朧としているものの、
現状に対する理解は、それなりにしっかりしている様子のディック。
……もはや、命乞いをしても無駄だと悟ったディックは、
「……ば……バカめ……調子に乗っていられるのは今だけだ……お前は終わったぞ……ヒークル様によって粛清される……法のもとに、凄惨に……で、できるだけ苦しんで死にやがれ……地獄で会おう……」
と、『どうせ死ぬなら、最後に一発かましてやろう』の精神でセンに、そう呪詛を吐く。
センが、タメ息交じりに、
「バカだな。ここで誠心誠意、謝罪していれば、許してやったのに」




