261話 俺は、わめくガキがマジで死ぬほど嫌いなんだ。
261話 俺は、わめくガキがマジで死ぬほど嫌いなんだ。
「こんなに嬉しいことはない……だろう?」
そう言いながら、センは、ゆっくりとした歩調で、
5人のガキどもに近づいていく。
5人のガキどもは、あまりにも震えすぎていて、逃げるどころか、指一本動かすこともできない。
ブルブルと震えながら、ボッタボタと大量の涙を流しながら、
「「「「「ご、ごめんなさ~い」」」」」
と、鼻声で、必死に許しをこう。
だが、センにそんな泣き落としなど通じない。
「キモいから泣くのやめろ。俺は、わめくガキが死ぬほどきらいなんだ。5秒以内に泣き止まなかったら、テキトーに選んだ一人を殺す。1、2、3……」
えげつなく容赦がないセンの威圧感に、
ガキどもも即座に『あ、これ、マジだ』と理解したのか、
先ほどまで動かなかった指を必死に動かし、
自分の頬をつねったり、足をひねりあげたりして、
どうにか、泣き止もうと必死。
「……4、5……おっ、やるじゃねぇか。まだ涙が止まってないカスも数人いるが、ウザったい鳴き声は止まったな。いいぞ。少しだけ褒めてやる。良かったな。死ぬ前に、ちょっとだけ褒められて」
カラカラと渇いた笑い声をあげてから、
「さて、それじゃあ、どうしようか……んー」
と、センは数秒考えてから、
「難しいところだな。……流石に、御咎めなしってわけにはいかんが……だからといってなぁ……んー……」
さらに、深く思案してから、
「よし、決めた」
そう言いながら、石を手にもち、
ガキ大将の足めがけて、
「よっ」
と、かなり調整した投擲をぶちかます。
ちゃんと速度に乗っているので、
「ぎゃっ!!」
ガキ大将の足は、しっかりとした大ケガを負う。
肉がえぐれ、血があふれる。
ガキ大将は、傷ついた足を押さえて、その場でのたうちまわる。
その様は、先ほどのダカと瓜二つ。
完璧に調整された投擲は、ガキ大将の足に、ダカが受けたダメージと、寸分変わらないダメージを与えたのだった。
「うわぁあ! あああああ! 痛いぃいいい! 痛いぃいいいいいい!」
と、泣き叫ぶガキ大将と、
その様を目の当りにして絶句する取り巻きのガキども。
あと、ついでに、ダカも、普通に絶句していた。
ガキ大将の鳴き声だけが響き渡る。
そんな空間を10秒ほど静観してから、
センは、
「石を投げられたら、どんだけ痛いかわかったか、クソガキ」
そう言ってから、パチンと指を鳴らす。
すると、ガキ大将の足のケガがスゥっと治っていった。
秒で痛みは消えたが、しかし、恐怖心からか、
まだ涙が止まらないガキ大将。
嗚咽と、時々、漏れ出る悲鳴。
センは、眉間にシワをよせ、
「びーびー泣くなっつってんだろうが。同じこと、何度も言わせんな。ウゼぇなぁ。……殺すぞ、マジで。俺は、ガキの鳴き声ってやつが、マジで、シャレじゃなく、ガチで、死ぬほど嫌いなんだ。『なにを甘え腐ってんだ』って、イライラするから。『泣くだけで事態が好転すること』なんか、この世に一個もねぇんだよ。あと、お前らより、よっぽど泣きたい生きざま晒している連中が山ほどいるのに、そいつらを差し置いて、なんで、てめぇが我先に泣いてんだって、さらにイラつく」
「ひっ……ひっぐ……ひっぐ……」
まだまだ泣きたかったが、
しかし、センの声音が、ガチトーンだったので、
ガキ大将は、先ほど同様、必死に泣き止まざるをえなかった。
無音ではないものの、比較的静かになった現場で、
センは、タメ息交じりに、
「本当は、こういうことは、全部、クロッカにやらせたいんだよなぁ……ガキの躾なんか、俺の仕事じゃねぇ。俺は、ただ、自分を研いでいたいだけなんだ。自由に、静かに、豊かに。……他者の面倒とか見ているヒマはねぇんだ」




