260話 秒で殺せる。
260話 秒で殺せる。
センの暴挙にビビリ散らかしているのは、5人のガキどもだけではなく、
ダカも、普通に、センに対して、ばちばちの恐怖を感じていた。
『いくらなんでもヤバすぎるし、怖すぎる』という、
純粋無垢な恐怖心で、6人のガキどもは、金縛りにでもあったように、
その場からピクリとも動かない。
そんなガキどもの、恐怖に歪んだ視線に気づきつつも、
センは、己の暴挙を止めることなく、
ディックの全身を燃やそうとしている炎を一旦消して、
また『絶妙な塩梅の回復魔法』を使ってから、
「あとは、お前を魔人に変えて、全ての罪をなすりつける……とか言う方法もあるぜ」
そう言いながら、ちょっと前に『ラス』にやったような、
誰の目にも魔人に見えるようになる高位の幻覚魔法を仕掛けていく。
センは、アイテムボックスから鏡を取り出し、
ディックに、向けながら、
「ほら、一秒で、立派な魔人のできあがり。見て見て」
鏡で自分の顔を確認したディック。
センが言う通り、魔人の姿に変わっているのを見て、
「ひっ……ひぃ……っ」
と、多角的な恐怖におののく。
鏡を見た際に、自分の姿がゴキブリに見えた時のことを想像してほしい。
ディックの心境は、それと、完璧イーブン。
「ほかにも、たくさんあるぜ。今、パっと思いつくだけでも、50通りぐらいはある。あまりにもたくさん思いつきすぎて、どれが一番いい方法か分からなくなってきた……なあ、お前も一緒に考えてくれよ。どうするのが一番いいと思う?」
そんなセンの問いかけに、
ディックは、震えながら、
「こ、こんなことして……ど、どうなるか分かっているのかっ……ひ、ヒークル様が絶対に許しはしないぞ!」
と、まだ頑張るディックの顔面に、
センは、『まあまあエグい質量の拳』を叩き込みつつ、
「あんなカス、俺がその気になれば、秒で殺せる」
と言い捨てながら、
拳で爆散したディックの頭を、秒で回復させていく。
脳が吹っ飛ぶと同時に再生する……という、
ディック的に、もう、何が何だかというホラー状況。
くらくらしているディックに、
センは、さらに殴る蹴るの暴行をくわえて、
痛みという痛みを叩き込む。
5分ほどかけて、徹底的に痛めつけたことで、
さすがのディックも、
「も、もうやめて……ください……お願いします……ゆるして……」
と、センに慈悲を懇願しはじめる。
そんなディックに、センは、
「もちろん、許さない。お前には既に、何度も生存ルートを示した。もし、お前が、誠心誠意の謝罪をして、相応の慰謝料を払っていれば……まあ、ぶんなぐっていたとは思うが、殺しはしなかった。お前は自分で、自分の生きる道を閉ざしたんだ」
「……ごめんなさい……お金……払います……いくらでも……もうしわけ……」
「いらない。もう謝らなくていい。意味がないから」
「……」
「せめて、最後まで自分を貫けよ。最後の最後まで、どうどうと、糞野郎として生きて、無様に死ね。そうすりゃ、俺の心に残るぜ。3時間ぐらいはな」
「たすけ――」
「助けない」
そう言いながら、センは、ディックの顔面に回し蹴りを入れた。
バターン!
と、頭から倒れて、大量の血を垂れ流して……そしてピクリとも動かなくなった。
そんなディックを指さしながら、
センは、5人のガキどもを睨みつけ、
「よくみろ、ゴミ共。これが、一分後の貴様らの姿だ」
と、子供だろうと関係なく、容赦なく、脅しつけていく。
5人の子供のうち、3人は、センの脅しで失禁し、
残りの二人は、失神して、その場に倒れこんだ。
センは、
「気絶で逃げられるなんて思うなよ。俺を怒らせた罪をナメんな」
そう言いながら、魔法で、
気絶した二人を強制的にたたき起こし、
「さて……それじゃあ、道徳の授業を始めよう。短い人生の最後の最後に、濃密な授業を受けて死ねる……こんなに嬉しいことはない……だろう?」




