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258話 慰謝料。


 258話 慰謝料。


「人間社会を殺そうとしているとしか思えないぜ」


 と、ゴリゴリに煽っていくディック。

 センエースがセラフを追い返したのは知っているので、

 当然『強い』ということは理解しているが、

 しかし、だからといって『好き放題できる』とは認識していない。


 それに、何より、

 ディック的には、今回の件、

 ガチで本当に、大したことではないと認識している。

 『魔人のガキに石を投げて、血が出るぐらいのケガさせた』

 ……この程度で、文句を言われる筋合いはない……と本気で考えている。


 イメージとしては、『ゲーム配信中に台パンしたぐらい』にしか思っていない。

 『はしたない行動』なのは認識しているが、指さされて文句を言われるほどのことじゃない……という認識。


 ディックにとって、魔人は道具。

 だから、ある程度、粗雑に扱ったとしても、問題は何もない。


 ――そんな思想を有するディックに、

 センは、


「一個だけ聞いておく。このガキに、謝罪をし、相応の慰謝料を払う気があるか?」


 と、自分の中のルール通りに、メッセージを発信する。

 そんなセンの言葉に、ディックは、


「は?」


 と、一度、何を言われているのか分からない、という顔をしてから、


「はははははははっ!」


 と、小ばかにするわけでもなく、本気でおかしそうに、腹を抱えて笑ってから、


「はいはい、面白い、面白い! 聞いていた通り、だいぶユニークな犬だ!」


 と、嗤ってから、

 ゆっくりとした歩調で、センに近づいてくる。


 ダカは、一瞬、反射的に、ビクっと体を震わせてから、

 センの方をちらっと見た。


 ダカの目に入ったセンの横顔は、

 とてもフラットで、

 だからこそ、強く恐怖を感じた。


 ディックなどよりも、はるかに重たい狂気を、

 センの瞳から感じとるダカ。


 ディックも、ダカと同じく、

 センから、異質な威圧感を感じ取ったが、

 しかし、『所詮、相手は魔人』というナメ腐った思考をしているので、


「おらっ」


 と、センの腹部に、しっかりと拳をぶち込んでいく。


「人間にナメた口きいてんじゃねぇよ。魔人風情が。人間様に御大層な口をきいてしまった、その罪は、万死に値する。……と、本来なら、ここで、お前を正当な理由で、ボッコボコにするところなんだが……さっきのお前の発言、ちょっとだけ面白かったから、この一発だけで許してやるよ。泣いて喜べ」


 と、普段通りの、魔人に対するいつもの態度で、

 そう言い捨てて、ペっと、センの顔にタンを吐き捨てる。


 そんなディックの一連の行動を、

 すべて、しっかりと見届けてから、

 センは、


「俺に対して、理不尽な暴行を加えることは……この世界で最も大事な法源である龍法で、罪と定められている……という事をご存じ?」


 そう問いかけると、

 ディックは、


「ん? くく……法がどうとかは知らんけど……なんか、ヒークル様からお達しが出ていたな。お前や……お前の所有物である魔人の扱いについて、なっ!」


 そう言いながら、もう一発、センの腹部を殴る。


「お前に好き勝手させるな。徹底的に身分をわからせろ。それが、上からのお達しだ。今後も、カラルームの住民全員のオモチャとして、せいぜい、面白おかしくシッポふってろ、バカ犬が」


 センは、そこで、パチンと、大きく指を鳴らした。


 その瞬間、

 センとダカとディックと5人のガキどもは、

 何もない真っ白な空間に閉じ込められる。

 限定空間。

 ほかの誰も邪魔できない8人だけの世界。


「な、なにをっ!」


 突然、魔法で閉じ込められたことで、

 普通に焦りを見せるディック。


 そんな彼に、センは、


「……教えてやるよ。命の重さ。……お前は運がいい。俺にモノを教えてもらえるやつは、そういない。己が幸運に感謝するがいい」



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― 新着の感想 ―
殴られてもタンを吐かれても、 どこまでもフラットなセンの横顔が一番恐ろしい……。 ディックのような小物には分からない、 格の違いが描写からビシビシ伝わってきました。
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