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256話 ゴミ虫。


 256話 ゴミ虫。


 ――『魔人の子供』は、掃除から始めるのが基本。

 家畜のクソの始末だったり、街のゴミの清掃だったり、害虫の駆除だったり。


 今日も、彼……5歳の魔人『ダカ』は、

 朝早くから、街の掃除に勤しんでいた。

 ゴミを集めて、魔法で燃やすという職務。

 この仕事は、『炎の魔法』を使える者が担当するのが基本。

 ダカは『炎球ランク2』の魔法が使える。

 5歳でランク2の魔法を扱えるというのは、なかなかのもので、

 人間の5歳で、同じことができたら、かるく『神童』としてもてはやされていたことだろう。

 しかし、彼は魔人だから、虫ケラのように扱われている。


 ……いつものように、街を駆けずり回り、大量のゴミを集めて、

 街の外の所定区域で、ごうごうとゴミを燃やしていると、


「……あ、今日も、ゴミ虫が、ゴミを食べてるよ。きっもぉ」


 と、5人ぐらいの、人間の子供のグループが、遠目に、

 ダカを指さしながら、


「良かったな、ゴミ虫! 食べるものがいっぱいあって! うらやましぃ!」


 ダカは、今はゴミを燃やしているだけだが、

 たまに腹が減った時、ゴミの中から食べられそうなものを見つけて腹に入れることがある。


 魔人は、財産を所有しておらず、自由に食べ物を購入することができない。

 基本、街から配給されたエサを食べているのだが、

 だいたい少量なので、ずっと、腹が減っている。


 だから、当然、ゴミでもなんでも食べる。


 ……魔人たちが、道具・奴隷として、頑張ってくれているから、

 人間社会は、ある程度、潤っており、だから、

 『人間の子供が飢えて大変』みたいなことは、この世界だと少ない。

 ……だから魔人に感謝をする……などということはない。

 少なくとも、ここにいる五人組のガキどもに、

 その精神は皆無。


 一般の大人たちと同じように、

 というか、大人たちの背中を習い、

 魔人という下等生物をバカにする。


「おい、聞いてんのかー、ゴミ虫! 返事ぐらいしろ! 人間様が話しかけてやってんだぞ!」


 そう言いながら、五人組のリーダーと思しき、比較的体が大きいガキ大将が、

 拾った石を、ダカに投げつけた。


 20メートルぐらい離れているので、

 別に、直撃したりはしない。

 ガキ大将も、ダカを狙撃するつもりで投げたのではない。

 いわば、威嚇というか……ちょっとした遊び、パフォーマンスに過ぎない。


 ガキ大将に続いて、残りのメンバーも、

 それぞれ、テキトーに石を拾って、ダカの方に向かって投げる。

 ニヤニヤと楽しそうに笑いながら。


 ――ヒマな子供にとって、『イジメ』は一番の遊び、もっと言えば快楽。 

 弱者を甚振る……狩る……凌辱する。

 それによって、生の実感を得て、明日への活力とする。


 ……とはいえ、『殺戮を好む』というわけではないので、

 『ダカを本気で殺そう』とか、『ボッコボコに痛めつけよう』とか、

 そんなことまでは考えていない。


 あくまでも、お遊びとして、

 『川に石を投げて、何回跳ねるか確かめる』……みたいなノリで、

 5人のガキどもが、ダカに石を投げていると、


 そこで、5人の背後から、


「それじゃあ、届かないぞ。だめだめ」


 などと言いながら、

 一人の大人が近づいてきた。

 ヒークルの精鋭部隊の一人で、

 存在値35ぐらいある兵士。

 名前はディック


 セラフとの闘いにも参加していた一人。

 ほかの精鋭部隊の面々は、セラフから受けた毒が重く、まだ療養中だが、

 生まれつき、毒に強い耐性があるディックは、

 回復魔法でサクっと回復できたので、

 普通に飯をくって、のんびり腹ごなしの散歩をしていた。

 

 そんな時、魔人の子供に石を投げている5人のガキグループを見つけたディックは、

 自分も、魔人のガキで遊んで、『セラフにボロ負けしたウサ』を晴らしてやろうと、声をかけてきたのだ。



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― 新着の感想 ―
5歳のダカが懸命に生きている姿と、それを取り巻く人間たちの残酷な対比に、読んでいて胸が締め付けられました。 「川に石を投げるノリ」でイジメる子供たちの描写が、 リアリティがあって本当に恐ろしいです………
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