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255話 罪と罰。


 255話 罪と罰。


「……それが……ガリオ様の御命令なら……したがいます」


 通信を切ったあとで、

 リバーディが、


「これから魔人を……優遇していくのですか? あ、あんな汚らわしい連中と同列で生きるなど、耐えられませんが」


「ふざけたことをぬかすな。あいつらは、ただの道具だ。それ以上にはなりえない」


「しかし……ガリオ様が……」


「過剰な手出しを禁じられただけだ。今後、理由なく殺したりはしない……が、犯罪者は当然、拷問した上で殺す。そして、この街の法は私だ」


「……な、なるほど。犯罪者にしたてあげれば、これまで通り、自由にできると」


「なにが魔人の地位向上だ、バカバカしい。あんな生きる価値のない、気持ち悪い連中は、永遠に、惨めに、みっともなく、無様に這いずり回っていればいい。それがあいつらの正当なる運命だ」


「しかし、それで、あの犬がヘソを曲げた場合……ガリオ様に迷惑がかかるのでは?」


「そもそも、あの犬の力などいらん。カドヒトの撃退など、私がいれば十分だ。ペリアとルッキズは、バカで雑魚だっただけ。私なら魔人のテロリストごときに負けたりせん」


 ★


 ガリオとの通信を終えたヒークルは、部屋の外に出ると、すぐ、

 目の前にいるセンに、


「貴様が魔人の監督者になったのは聞いている。だが、だからといって、好き放題できるなどと思うな。この街での法は絶対に守ってもらう。もし、少しでも破ったら……その時は目にモノみせてやる」


「大丈夫ですか? また頭痛くなるんじゃ……」


「刑を執行するのは私ではない。魔人を解体するような気持ち悪い仕事は、魔人にやらせるさ。そうだな……『罪を犯した魔人は、てめぇの家族に生きたまま食われること』……という法でも定めようかね。くくく」


「わーグロテスクかつ悪趣味ぃ」


「罪には罰をあたえる。当たり前の話だ。それに文句をいう資格など、誰にもない」


 ニタニタと笑いながら、そんな事を言うヒークルの顔を見つめながら、

 センは、冷めた顔で、


「そうですね。当たり前の話ですね。その論理には、誰も文句を言えない。誰もね」


 と、静かに、そう言い捨ててから、

 ヒークルに背中を向け、


「じゃあ、一応、監督者になったことですし、D地区の様子でも見てきますよ」


 そう言いながら、この場を後にした。



 ★



 カラルームの街の『Ⅾ地区』には、現在、50人ほどの魔人が住居を構えている。

 人間に飼われている魔人の仕事は、基本的に、死んだモンスターの解体や、腐乱死体の処理、街の『清掃(人間がやりたがらない場所全般)』、異常性欲処理、薬などの実験体などなど。

 『人間が忌避する仕事』を押し付けられているのが基本。

 ほかにも、冒険者がモンスターを狩りに行くときの傭兵として運用されることも少なくない。

 魔人は、一応、役に立つし、さほど文句も言わずに働くので、『使える道具』として認識されているが、やっている仕事の内容が内容なので、そういう意味でも『汚らわしい存在』として忌避される悪循環。


 『人が嫌がる仕事をやってくれているから、ありがたい』という視点で魔人を見る者は少ない。

 中には、そういう奇特な人間もいるにはいるが、

 だいたいの人間は、普通に魔人を差別しているし、

 自分の子供には『汚いから近づくな』と教えている。


 カラルームの街だけではなく、だいたいの街で、一定数の魔人が『養殖』されている。

 魔人同士で、適当に数を増やしてもらい、人間の道具・奴隷として利用する。

 ――そんな扱いに耐えきれなくなった魔人が逃げ出し、どこかの辺境地域で、他の脱走魔人と村を形成することもあるが、大概は、すぐに見つかって、『汚物は消毒だ』とばかりに殲滅される。



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― 新着の感想 ―
人たちの置かれている「養殖」や「清掃」という残酷な設定が、この世界の歪みをリアルに突きつけてきて胸が締め付けられます。そんな中でヒークルの挑発を冷めた目で見つめる センの静かな怒りが本当にかっこいい……
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