248話 底なしの欲望。
248話 底なしの欲望。
『……改めて問おう。強欲すぎると思わないか?』
「俺はずっと、正当な報酬を望んでいるだけです。もっと言えば、俺に対する報酬と、もっと真剣に向き合っていただきたい」
『……どういう意味だ?』
「現時点では、まったく契約が果たされていないと言っているのです。……この街の統治者であるヒークル様は、『死ぬ気でアンデッドを撃退した俺』に理不尽な暴力をふるってきました。魔人の地位などまったく向上していない」
センの、その非難に対し、ガリオの頭の中で
(それは、貴様の性格に大きな問題があるからだと思うが……)
と、軽く呆れつつ、
頭の中で思ったことを、そのまま、
『ソレは貴様の素行の問題だ。これを機に、態度を改めろ』
と、ガツンと叱っていくが、
センは、毅然とした態度で、
「俺が殴られるのは、まあ別にいいですよ。仰る通り、俺は頭がおかしい病気の変態なので。……けど、『特に態度が悪いわけでもない魔人』もヒークル様に好き放題殴られていますので、それは十分に大問題と言えるでしょう」
『……』
「現状、俺の要求は何一つ通ってはいない。これ以上、こちらの要求を軽視し続けるのであれば、俺は、玉砕覚悟で龍神族に逆らわせていただきます」
『そんなことをしたら、死ぬだけだが? 自分が首に、何をはめているのか、忘れたか? パルカから――』
「もちろん、『裏切りを悟らせないように、巧妙に立ち回りながらの反逆』に決まっているでしょう。裏でカドヒトと手を組んで、俺の正体をバラさず、世界中の上級国民に神風テロリズムを敢行させていただく。最悪、バレても、別にかまわない。死んで本望。命をかけた俺の特攻をナメない方がいい」
『……ずいぶんと、私を脅してくれるじゃないか。極めて不快だ』
「その視点、だいぶズレていますね。というより、それこそが問題の中枢と言ってもいいかもしれない。俺がやっているのは『交渉』です。ずっと、それは変わらない。俺は、ずっと、一貫して、あなたとの対話を求めている」
『……』
「俺を優遇している間、龍神族は、俺を『便利な剣』として乱用できる。どんな鬱陶しい敵がきても、俺は死ぬまで戦い続けますよ。仮に相手が、伝説の邪神だったとしてもね」
『……』
なんだか、見透かされている気がして、ひどく不快な気分になるガリオ。
センエースと対峙すると、いつもこう。
心が無駄にザワザワして鬱陶しい。
ちなみに、言うまでもなく、センも邪神伝説は知っている。
というか、知らない者はいない。
『世界を滅ぼす邪神伝説』は、どの世界にも存在するから。
「ガリオ様、きわめてシンプルな話ですよ。わざわざ無意味に俺を敵にするか。ソレとも、『ゴミみたいな魔人をあてがうだけで気分よく働いてくれる便利で強力な俺』を味方にしておくか」
『……』
「ここで一つ、本音を言わせていただきますが……実は、この街の魔人で一人、個人的にタイプのメスがいるんですわ。俺はそいつをどうしても性奴隷にしたい」
『……ほう』
「性欲ってヤツは、実際、何よりの原動力ですよね。エロがあるから男が気張って社会が発展する。……今後の、俺の地位向上や、パイプ作りのために、あなた様からの魔人もいただく必要があるわけですが……それにプラスして、あのメスもどうしても欲しい。発情期になったペットの可愛いワガママを、どうか聞いていただきたい」
『ならその女だけ――』
「そう思うでしょ? ところが、そいつが、なかなか厄介な女でね。知り合い全員を優遇してくれなきゃ、俺に股は開かない、と、こう来るわけですわ。『いうことを聞かないと殺すぞ』と脅したりもしたんですが、こいつがなかなか頑固でね。死んでも意見を変えないっぽいんですわ」




